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平SHRINE奮闘記  作者: 田中次郎
さよなら現世はじめまして来世
2/5

人生の終わりの見方

20xx年8月31日午後11時20分

日本 某所


「「「お疲れ様でした!」」」

企業戦士の声が重なる。

デスマーチが終わって心の底からでた言葉であり、同僚を労う声だ


多くの脱落者がでてしまったがやっとこのプロジェクトが終わった…システムエンジニアとして働いてはや10年…

ブラック企業戦士として働いて今回は86連勤が今終わった所だ。



他の生き残った企業戦士も髭はボーボー、髪もボサボサで疲れ果てているようだ。無惨だ…



かくいう俺も幾多の戦場を乗り越えたが今回はしんど過ぎた…


歓喜の声が収まるとバタバタと床に机にと倒れる…もとい睡眠を貪る戦友(同僚たち)


俺も例にもれず睡眠に入るつもりだ…

おもむろにタバコを取り出し自分を労う一服。


美味かった…やりきった感が溢れてくる…とりあえず同僚に倣い俺も寝る!

これでもかというくらい寝てやる!

視界がだんだん狭くなる…瞼が重い…戦友よまた会おう!










ワイワイ…ガヤガヤ…


なんだ…えらい騒がしいな…

もう皆復活したのか。

しかし…あと五分…あと五分寝かしてほしい…



「もしもーし!ここで寝ると邪魔ですから起きてくださーい!」


誰だそんな事言う奴は!俺は自分の机で寝たんだから邪魔もなにもあるか!それにあと五分で起きるから…



「このやり取りもう5回もやってるのに…警備員さーん!この人起こしちゃってくださーい!私仕事残ってるんであとはお任せしますね。」


「了解しました!おい!ほらもういい加減起きろ!ほら!!」


丸太のように太い腕に分厚い胸板を装備している警備員?に起こされる


「んだよぉもう!起きればいいんだろ起きれば!


……ここどこ?あんた誰?」


目の前には羽の生えたおっさん。

さらには地面はやけにふわふわしているし、天井は金色で所々虹がかかっている。なんじゃこれ?


「ここは天界で俺はここの警備員だ。わかるか?ここはて・ん・か・いだ!」


「天界ってあんた…俺はさっきまでソルジャーとしてプログラム組んで…そして疲れ果てて寝ただけなのに…天界ってなんだよ!意味わかんねぇし!ここどこだよ!」


ムキムキな警備員に掴み掛かるがエンジニア一筋のモヤシでヒョロヒョロな俺がかなうわけなく簡単に突き放される。


「えぇい!うるさい!とりあえず落ち着け!俺は貴様の事はわからん!全くわからん!ただの警備員だからだ!!

とりあえず深呼吸してみろ!なんならタバコもいっとくか?」


おっさんの勧めに従いタバコで精神安定。しかしメンソールとは意外だ。苦手だが仕方ない。


「どうだ?落ち着いたか?」


「えぇおかげさまで。先ほどは取り乱して申し訳ない。」


「そいつはよかった。さっきの事は気にするな。ここではよくある事だからな。」


このおっさんええ人じゃないですか。優しさに久々に触れた気がする。


「落ち着いた所で改めて聞くが、お前さん自分の状況はわかるか?」


「気づいたら知らないとこで羽の生えたマッチョがいる事しかわからないですね。天界というワードがありましたがアニメかゲームの世界ですか?そして取り乱す人が多発するって事ですかね。そして何故俺がここにいるかはなんとなくですが死んだとか?」


「まぁ大体は合っとるな。まずは天界は現実に存在している。現にお前さんがおるしな。そしてもちろんお前さんがおるという事は前の生は終了…つまり死んだという事だ。

俺は警備員だからお前さんがどうなったかの事はさっきも言ったがわからん。しかし、個々人の事はデータに入っとる。あそこの受付に自分の前世の閲覧ができるから落ち着いたら一回覗いてみろ。

俺が教えれるのはそこまでだ。

じゃ仕事があるからここで離れるぞ!達者でな!」


足早にさっていく筋肉お化けのおっさんを見送り、いざ自分の姿を手で確認する。

髭…ボーボーのまま。髪…寝癖が大変な事になっている。服…ヨレヨレのスーツとシャツ。靴…サンダル…

まんま最後に寝た姿だな。

まぁ何はともあれおっさんに教えてもらったし自分の最後を見に行ってみるか。


「あっ!ずっと寝てた人だ!やっと起きたんですね♪」


なんだこの眩しい笑顔は…ってか会ったことあるのか?


「警備員の人がくるまで私が必死に起こしてたんですよ?結局は起きなかったんですけどね。」


眩しい笑顔だわぁ。天使だなまるで…

この子も羽生えてるし天使でしたか。


「それはすまなかった。眠さがはんぱなかったからな。

それよりもここで俺の最後が見れると聞いたんだが…」


「次はちゃんとベッドで寝るようにしてくださいね?

ご自分の人生を閲覧するにはあちらの端末をお使いください。

出身星、国、名前と生年月日を音声入力すると見れますよ。」


「出身星?まぁいいか。やってみればわかるか。

ありがとう。やってみるよ。世話になったね。」


「来世に幸あらんことを。いってらっしゃい♪」


うんで、これがその機械か。まんまデスクトップパソコンだな…

マイクに話してくださいねぇ。

で、出身星とか言っていくわけね…

出身星はまぁ地球ですよね…で日本…

田中一郎っとで最後に生年月日を言うわけね。


入力が終わると俺の歴史…俺史がでてくる…

ちゃんと日本語ででるんだからありがたい。

生まれた年からイベントごとに詳しく見れる。おい…告白してから振られたとか初体験まで出てくるのはやめてくれ!


まぁいいか…んで俺の最後は…

享年29歳で過労死にて生を終える


んー捻りもなんもないな…

ん、当時のニュースあり…か。

どんなんか見てみるか。


「6時のニュースです。

従業員の多数過労死を出したということで経営者が業務上過失致死の疑いで逮捕されました。

この会社では日常的に過重労働により今までも労働基準局から注意も受けてましたが、改善もされず、社員は連日のサービス残業をしていたとのことです。

今回は10人が社内で倒れている所を警備員が発見し、全員が搬送されましたが、3人が死亡確認されており…」


なるほど…んで俺は死んでしまったということか。

社長のあいつは捕まってざまぁだな♪



うん…あなたの通信簿?ってゲームかよ…

でも気になるから見てみるか。


精神耐性 99

肉体耐性 59

知力 72

武力 19

統率 78

政治 25


あなたは大変忙しい時やどんなに苦しい時でも精神を壊すことなく、平常心を保てます。また身体も適度に健康です。創世記の繁忙期や成熟期の忙しさもなんなくこなす事ができるでしょう。

ただ、身体は適度に休まないと壊れることがありますのでなんとなく行けそうだとか精神論で行動すると失敗しますのでご注意下さい。

また、理不尽な事には文句をいいつつもこなすあなたは上司から見たら大変使いやすい人でしょう。

さらに、統率の高さからあなたは現場の潤滑油として活躍できるでしょう。さらに、少ない人員の最適な配置などもできたのではないでしょうか。

しかし、頼まれると断れない事は多くなかったですか?その性格で面倒事ばかり押し付けられて出世とは程遠い人生だったのではないでしょうか。

嫌な時は嫌と、また自分で抱え込み過ぎるのは控えてください。


*この通信簿は各個人に一番なじみやすい表記になっております。

また、あなたの前世をもとにしておりますので来世で変更になる可能性もあります。


天界はKOEIさんと提携してるのか?パラメーターけっこう高いのが嬉しいもんだ。

そして注釈が意外に当たってるのがなんか悔しい。

しかし、死んだらこの後どーしたもんか。さっきの天使に聞いてみるか。


「さっきはありがとう。俺の最後がわかってスッキリできたよ。

で、いきなりの質問で悪いんだがこの後はどうすりゃいいんだ?」


「ちゃんとわかったみたいでよかったです♪

ここは輪廻天性の間と呼ばれておりまして、次の転生先を見つけるところです。

あちらのブースに来世の生を募集していますのでご自身のスキルや経験を考えて決めてくださいね。

ただ…」


「ただ?」


「ただ…人気のある職業や星、国は人気がありますので希望通りいくとは限りません。

中にはさらに来世に期待するとのことでいったんなりやすい職業になって再度生まれ変わる方もいらっしゃいます。」


「へぇー。生まれ変わるのも競争かよ。どんなのが人気なんだ?」


「例えば王族や勇者、あとは天然記念物の動植物は人気が高いですね。逆に微生物や弱い生き物は不人気ですが生まれ変わるのも早いのでそこはメリットですね。

あっちょうど生まれ変わりにきた方が来ますよ。ほらあそこに♪」


振り返るとそこには…ミミズがいた…


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