修学旅行へ行こう!2
ここは、沖縄県。
広い海が広がっている。
「海が青い!」
スイーツワールドでは、海はオレンジ色だ。
それも甘酸っぱいオレンジジュース。
「空も青い!」
こちらも、スイーツワールドでは色が違う。
輝く虹色だ。
パステルカラーが多いスイーツからと比べて人間の国の色は、はっきりと鮮やかであった。
なんといっても自然が美しかった。
「なんだかいろいろ考えちゃうだろー?」
「うん!素敵ね。とても」
「スイーツワールドにもこんなところがあればなんて思わないか?」
「それいい!」
「だろう?だから、今回の修学旅行の目的はそれだ。ここの素晴らしい自然、人々のこと、全部焼き付けて帰るんだ!しっかり学べよ!」
「はーい!……でも……
なんだか今が夏ならいいのに」
「?」
クッキーは首をかしげた。
わかっていないなぁ。
「海で泳ぎたかったもの!」
「ああ!そういうことか。それ、いいな。夏なら泳げる」
「そうでしょう!なんで冬なのぉ」
「まあまあ。冬来たのには理由があるんだよ」
「え、なになに?」
「秘密だよー」
「気になるな!」
クッキーはくすくすっと笑って私をみた。
「可愛い」
「!?!!!え!」
「あはは。北海道へ行けばわかるよ」
照れてるのが恥ずかしくて慌てて走りだした。
「ちょっと!待てよー」
「早く行かないと日が暮れちゃうよー?」
「いや、まだくれないから。大丈夫だってー落ち着いて」
その日は、沢山の場所を訪れた。
全てをスケッチして、メモした。
こんな所がスイーツワールドにもあれば……
そう、何度も思った。
しかし、今日1番の感動は意外なものだった。
ーーー図鑑や、小説。
すてきだと思った。
沢山の写真が収められている図鑑や、夢の世界を描いた小説。
今日であわせて20冊ほど購入した。
紙というものがスイーツワールドには存在しないのだ。
そんなに買って!おもたいでしょ!とクッキーには怒られたが聞こえないふりをした。
これもスイーツワールドのための立派なお勉強である!
夜は小さな旅館に泊まった。
そこではクッキーを無視して本を読み漁った。
「おーい。マカロンさーん?」
「……」
「ねえー本ならいつでも読めるでしょう?」
「……」
「おーーいーーマカロンさあーーん」
「ねえクッキー」
急に話しかけられて驚いたみたいだった。
「あ、え?なに?」
「スイーツワールドは日本語をつかっているの?」
「え、そうだけど?」
「なぜ?」
ほんの。ほんとに。
ごく僅かな一瞬。
クッキーの表情がぐしゃぁっとなった。
そんな気がしたのだ。
たしかに、嫌そうな顔をした。
もしかして……
「クッキーでも、しらないことあるんだ?」
「え、あ。んー。そうだね。
知らないことはあるけど、これは知ってる」
あ、そうなんだ。
なら、なぜ?
「日本人が作ったんだ。スイーツワールドを」
「へー。そうなんだ!だから、修学旅行が日本なんだね」
「あ、そうそう!実はそうなんだ。あはは」
クッキー。
「嘘つくの、下手」
「え!いや、嘘なんて……」
「クッキーはずっと何か隠してるじゃない!
日本が関係してるの?」
「マカロン……」
「ねえ。教えてよ…」
「マカロン。寝ようか。明日は早いんだ」
「なんなの!?」
かぁぁぁっと頭に血が登った。
クッキーは、なんで私に隠し事するの!?
布団に潜った。
そして、眠った。
……いや、眠れない。
クッキーが何かしている。
寝ているふりをしているから、わからないけど何かしているのだ。
五メートルくらい離れているか?
分からない。
「………」
声を殺して、泣いていた。
かすかに聞こえた泣き声。
胸がぐううっと締め付けられた。
だけど、声はかけられない。
チラリ目を開け、見た時すぐにわかった。
クッキーが持っているのは写真。
何が写っているがわからないが少なくとも人間だと分かる。
スイーツワールドにはカメラがない。
もしかして、もしかして、
もしかして、もしかして、……
なんとなくだか、女の勘というものか?
クッキーの恋人。
そんなことか頭に浮かんだ。