第1−8話 八坂激闘譜 Ⅷ
お待たせしました、クライマックスです。
頑張って書いたら物凄い量に成ったので三話に分けてとうこうします。
では第一弾をご覧ください。
八坂激闘譜 Ⅷ
前檣楼頭頂部を直撃した敵の砲弾は防空指揮所の右舷側に着弾して第一艦橋を貫通して下層の作戦室の左舷側に抜けたとされています。
この被弾で「八坂」は艦橋に居た艦長を含めた艦の頭脳となる指揮組織の主な者と、眼となる防空指揮所の見張員が根こそぎ奪われました。
奇跡的と言っても良い偶然で生き長らえた私たち主砲射撃指揮所の面々は、情報伝達の手段を絶たれ、構造的にも基部を破壊されたことから前檣楼の頭頂部で孤立するのを避けるために、下層の第二艦橋へ向かいました。
しかし、先に記した様に前檣楼頭頂部に直撃を受けた事により前檣楼内部での下層への移動手段は失われており、残された前檣楼の外壁背面に設置されていた艦外ラッタルを使う他に路は有りませんでした。
無論、ここにも懸念が有りました。
頭頂部の射撃指揮所で見たように、前檣楼のすぐ後ろに有った巨大な煙突が基部から消し飛ばされていたのです、その直前にある艦外ラッタルが無傷と考える事は不可能と言う他有りませんでした。
それでも他に方法は無く、先行して様子を見に行ってくれていた榊、疋田両名の点検結果を信じて降りて行くことに成ったのですが、私は内心恐る恐る体で皆の後について行ったのです。
案の定、途中で数段の踏板の欠落が有りましたが、先導する両名のお陰で特に障害とも成らずに降りてゆくことが出来ました。
これには不幸中の幸いと言うべきか、「八坂」の機関が停止していたため艦は惰性でゆっくりと進む状態となっていたこと、加えて海上も比較的に穏やかだった事もその理由とすることが出来るでしょう。
私たちは先ず、艦外ラッタルを使って三層下の副砲射撃指揮所甲板まで降り、そこから前檣楼内へ入ることにしました。これは第二艦橋の有る階層に外部への出入り口が無いためで、その先は外筒内に設けられた艦内ラッタルを使って移動する事になります。
それは、私たちが副砲射撃指揮所甲板へのハッチの有る踊り場へ降り立った時のことでした。
突然周囲が昼間のような明るさに照らされました。
それは上空の友軍機から投下された吊光弾の光です。
それより一呼吸おいて右前方の遥か彼方の海上に閃光と、一瞬遅れて轟音が轟きました。
閃光は二つ、敵戦艦が稼働可能な二基の砲塔の主砲を放ったと私は判断し、素早く前檣楼外壁の影に身を隠しました。
敵が再び、「八坂」への砲撃を開始したと私は考えたのです。
随行の皆も同じ考えだったらしく皆が踊り場の上に蹲りましたが、飛来音は一瞬にして彼方後方へ消え去りました。
「『八坂』が目標ではないのか?」
榊水兵長は立ち上がると、そう呟きながら敵艦の砲弾が飛んで行ったと思われる彼方を見遣りました。
その言葉と前後して、今度は飛来音がして敵戦艦の少し離れた海上に水柱が噴き上がりました。
しかし、その水柱は「八坂」の三一センチ砲弾のそれを見慣れた目には酷く小さく見えました。
私は急ぎハッチに向かい砲撃戦の様子に見入っている皆に呼びかけました。
「第二艦橋へ急ぎましょう。」
それ以上を語る必要は有りませんでした、皆が友軍の援来を確信しましたが、飛来する砲弾を見るところそれは最大でも重巡洋艦の二〇センチ砲弾でした、随行の重巡洋艦は二隻、「鳥海」と「衣笠」です。
どちらも四〇センチ砲艦である敵戦艦と単独で正面から殴り合いが出来る存在では有りません。
現状で何が起きて居るのかを把握しないと援軍まで失うことに成りかねないのです。
ハッチを潜り前檣楼内へ入ると電源が生きている事に気が付きました。
前檣楼に入って直ぐの階層は副砲射撃指揮所甲板です、ここには副砲射撃指揮所や参謀長休息室が有りましたが、この時そこでは負傷者の治療が軍医や看護兵の手で行われており忙しく手当に当たる看護兵の様子や苦痛に呻く負傷兵の姿をその電灯の明りの下に見ることが出来ました。私は同行してきた部下の中で負傷している者に治療を受けるよう命じて残りの者で第二艦橋へ向かいました。
艦内ラッタルを降りて第二艦橋へ続くハッチを潜るとそこには一転して騒然とした空間でした。
「確認されし、艦影は一!方位三〇。」
「そうです!確認出来た友軍艦は一隻、重巡洋艦です。」
声の主を探すと、第二艦橋の一番奥、海図台の前で航海長の小川中佐が見張員からの伝言を電話の主に伝えているとこでした。
第二艦橋は当然かも知れませんが、上部の第一艦橋とほぼ同じ造りと成っていますが中央の外筒の直径がこちらの方が大きい分やや狭くなっていました。
その艦橋内には十名ほどの航海科の面々が次々もたらされる報告や情報の整理に当たっているらしく忙しく動きまわっていました。
「一隻!それは不味くないですか?」
その報告を聞いて私の口から思わず言葉が転げ落ちました。
「砲術長、有川砲術長無事でしたか。」
その言葉を聞き止めて小川中佐がこちらを振り返りました。
それに答えて「何とか・・・。」と言おうとした言葉は、しかし電話の主に拠って遮られることに成りました。
「有川中佐がそこに居るのか?居たら電話に出てもらってくれ。」
「了解です。
砲術長、司令塔の副長からです。」
小川航海長はそう言って受話器を私に渡してきました。
「有川中佐です。」
「砲術長、無事だったか。」
「辛うじてですが。生きています。」
「そうか、それは良かった。
それで上の連中は?」
受話器の向こうから聞こえて来たのは副長の浪川中佐の一見すると緊張感に欠けた声でした。彼の問う❝上の連中❞と言うのは第一艦橋に居た艦長を始めとした艦の指揮陣の事でした。
「残念ながら第一艦橋で生き残った者は居ません。
防空指揮所、測距室も同様です。
私達は運良く生き残りましたが下との連絡網が絶たれたのでこちらへ移動した来ました。」
「判った、すまんがこちらは司令塔を離れられない、
取り敢えず現状はそこにいる小川航海長に聞いてくれ。」
「了解ですが友軍の重巡はどうします?
このままだと轟沈の可能性が有りますが。」
あまりに普段と変わらず淡々と事を運ぶ浪川副長の言い方に私は少々苛ついたのかも知れません、私はそんな事まで口走っていました。
「どうしようもないさ。
下手に動けばこちらにあの砲弾が降って来るからな。」
「味方を見殺しにするのですか?」
「落ち着け、ホチ。
連中だって別にヤラレに来たわけでは無いさ。」
「しかし・・。」
「それに連中は、俺たちへの助太刀が目的じゃないだろう。」
「どういうことです?」
「この後に来る輸送船団、そいつを守らんきゃならん。
そう言うことだ。」
彼の言い口に反感を感じた私でしたが、彼の言うことは一々尤もなのです。
「あの戦艦がここにいるのはこの後来る輸送船団の進行の阻止が目的だ、
そう考えれば、チョッカイかけてくる奴なんかは徹底的に攻撃する必要はないさ、
つまり、圧倒的な戦艦の砲撃力で撃沈より撃退が目的というわけだ。」
来援の重巡もここに敵の戦艦が居ることは知っているはずです、それを承知で来るからには無策ということは考えにくと副長は言っているのです。
それは頭では判ります、しかしながら感情としては味方が攻撃を受けているこの状況下で何もしないと言う選択はし難いと言うことなのです。
「すまんが、他からの損害報告も聞かんと成らんからな。
一旦切るぞ。」
「はい。」
「頼むぞ、お前さんは「八坂」の次席指揮官なんだからな。」
そう言って、副長からの電話は切れました。
「相変わらずの❝死神中佐❞ですな。」
おそらく憮然とした顔で受話器を返す私の不満を察でしょう、渥美一等兵曹がそう言って慰めてくれましたが、この時ばかりは皆が言う❝死神中佐❞と言う綽名が尤もだと思えました。
「小川航海長、現状の報告をお願いします。」
気を取り直して、私は目前の若い中佐に報告を求める事にしました。
「はい、こちらを見て頂けますか。」
そう言って、第二艦橋内の外筒の外壁を示しました。
よく見るとそこには青焼き(青写真のこと)で引き伸ばされた艦内平面図で各甲板ごとに計十枚程が貼りだされていたのです。
『何だこれは?』とその図を覗き込むと、各区画は三色に色分けされているのが判りました、朱(赤)墨(黒)そして何も塗っていない白(実際には淡い青ですが)です。
「これは?」
「損害概況図と呼んでいます。
損害状況を色で塗り分けしています、
朱が火災若しくは損傷して使えない箇所、塗っていないところは損害なしか或いは状況不明で・・」
「黒は浸水箇所だね。」
私が先回りするようにそう言うと、小川航海長は「はい。」と小気味良い返事をして頷きました。
『成程』と言うのが実感でした、 彼の話を聞いてもう一度、損害概況図成るものを眺めてみると確かに被弾箇所が明確に成って損害の状況が把握し易い事に気が付きました。
「こいつは良いですね。
これなら迅速に応急処置の指揮が出来ます。」
それが私の正直な感想でした。
「これは誰の発案ですか?」
「それは副長の浪川中佐です。」
私の問いに小川航海長は自慢気に今しがたまでの電話の主の名を答えましたが、それに反応したのは私ではなく私の同行者でした。
「つまり、そいつは❝死神中佐❞の発案ってことですか?」
それまで黙って話を聞いていた鷹野特務少尉が素っ頓狂な声を上げたのです。その語り口は普段の寡黙な彼には珍しく周囲の皆の笑いを誘っていました。
先ほどの電話の主、装甲巡洋艦「八坂」副長を務める、浪川順史氏は私より少し年嵩でベテランの田口機関長を除けば「八坂」の最先任の中佐でした。
この艦長に次ぐ本艦の次席指揮官であり司令塔を根城にする浪川中佐には一風変わった綽名が有りました。
それが先ほどから渥美一等兵曹や鷹野特務少尉が口にした「死神中佐」或は「死神」がそれでした。
別に彼の容貌が不健康そうで死を連想させるとか、一緒に居た者が必ず死ぬとか言う訳では無いのです。
浪川中佐自身はやや細身で顎がとがった印象を与えるものの、鍛え上げられて良く潮風に焼かれた体躯を持つ当時の典型と言える青年士官でした。
しかし、彼が特に評価されていたのは肉体よりもその頭脳の方で、その能力は艦の内政的分野で発揮されていました。
そう考えると「艦の保全責任者」と言う副長と言う役柄は彼に最適な職務と言えるでしょう。
話を元に戻しましょう。
なぜ、その内務に関してのエキスパートである副長が「死神」などと言う不吉な綽名を持つに至ったのか、それは彼の能力故と言う事が出来ます。
これまでに記したように「草薙」「八坂」「八咫」の三隻の「草薙」型装甲巡洋艦の就役は開戦間際だったことも有って、練度の低さが問題とされました。
此れに対する対策は訓練の繰り返しによる習熟度の向上以外に道はなく、猛訓練で有名な帝国海軍に有って更に訓練を重ねることで既存艦に負けない練度を目指す結果となりました。
そうした訓練の中には応急処置に関する訓練も有りました、実際には応急処置訓練を単独で行うことは稀で多くは他の訓練、主に対空、対艦の戦闘訓練に便乗する形に行われていました。
艦内の構造に関しても不案内で、配置に付いても不慣れな乗員にとって訓練は確かに有用では有りましたが、回を重ねるに従い艦や環境に慣れてくると定常化した訓練は緩みを生み、乗員たちは惰性で訓練を行うことに疑問を感じなく成ます。
この事態に危機感を抱いたのが副長である浪川中佐でした。
彼は「艦の保全責任者」と言う立場から応急処置の実務責任者であり、訓練の指揮責任者でもありました。
そこで彼は一計を案じたのです。
それは、意図的に訓練参加者を「戦死」させる事にしたのです。
彼は訓練中に現場で乗員を名指しで「戦死」と指名して以後の作業への参加を禁じ、残された乗員で作業をさせることで予期できないシナリオを作り、現実に於いて有り得る事態を体験させようとしたと言うことです。
その為に、ともすると冷淡とも言える淡々とした言動と相俟って喜々として乗員を戦死者扱いする浪川副長に付いた渾名が「死神中佐」という訳で、鷹野特務少尉もまたその犠牲者の一人で、以後、彼は浪川副長を苦手とすることに成った次第です。
但し、浪川中佐に関しては、当時、攻撃一辺倒で防御に関しては装甲を厚くする事で対処しようとする直接防御の考え方が主流の中で、応急処置、更に進んでダメージコントロール等の間接防御の活用でしぶとく戦う発想を持っていた彼は稀有で貴重な存在と言うことが出来るでしょう。
それに加えて、損害概況図に見られる発想の斬新さも評価されるべきだと私は考えています。
「では、説明をお願いします。」
「はい。」
私の言葉に頷くと小川航海長は指揮棒を手にしてその損害概況図の前に立ちました。
「現在までのところ、敵主砲弾の着弾を確認したのは、
第一砲塔塔、第一副砲塔、前檣楼上部、煙突、第三主砲塔、内火艇収納庫の六ヶ所です。」
そう言いながら彼は指揮棒の先端を該当場所に滑らします。それらはすべて破損、炎上中を示す朱墨で塗られており損害の深刻さを視覚的に示していました。
「これらの被弾箇所は何れも重大な損傷を受けていますが、特に艦橋と煙突への被弾は特に深刻です。」
彼は新しく朱で塗られた前檣楼上部とから煙突へと指揮棒の先端を走らせそこで止めました。
「但し、深刻さから言うなら煙突の被弾とそれに拠る機関部の損傷が一番と言えるでしょう。」
「煙路も防御がされていたのでは・・・?」
渥美一等兵曹が、それは有り得ない、と言う表情でそう問いましたが、それは私も同感でした。「草薙」型装甲巡洋艦には先に建造された「大和」型戦艦で採用された蜂の巣装甲板に拠る煙路の防御がされているはずでした、その厚さから四十センチ砲弾の直撃にも耐えられるとされていました、加えて機関室そのものも分厚い装甲板で覆われたバイタルタート内に設けられていて、そう簡単に破損される訳が無いのです。
しかし、小川中佐の言葉は意外なものでした。
「何が起きたのか今のところ不明ですが、煙突に命中した敵の砲弾はその直後、煙路内で炸裂して機関区画へは達しないはずでした。
しかし、その着弾の直後に動力が失われ機関指揮所との連絡が途絶しました、各缶操縦室、機関操縦室も同様です。
確認のために機関区画に向かった者の報告に拠れば、機関区画は火災による高温の為に近寄ることも出来ないそうです。」
「草薙」型装甲巡洋艦の「八坂」の機関は、「大和」型戦艦と同型式の艦本式ボイラーを搭載していましたが、「大和」型が十二基のボイラーを25kg/㎠325℃で使用しているのに対して「草薙」型では37kg/㎠370℃のボイラー八基としていました。
これは「草薙」型が高速艦であるため艦体を可能限り細くする必要が有ったからであります。
機関であるタービンは同じく艦本式の物が、高圧・中圧・低圧と巡航の四基を一組としたものが四組み搭載されていて四本の推進軸を駆動させて合計一七〇〇〇馬力の出力を発生させていました。
さて話をもう一度元に戻しましょう、煙突の被弾時に機関区画に何が起きたのか、現物が失われている為に推測で語るしか有りません。
しかしながら「八坂」の最後は日米双方の関心を引く一件であったらしく、戦後になりますが多くの調査と検証が成されました。
それらの報告書に拠りますと、敵の主砲弾は煙路内部、煙突の基部付近の蜂の巣装甲板の直上で炸裂したとされています。
その結果、爆発エネルギーの大半は煙突を根元から吹き飛ばすことで失われましたが、一部の爆風が衝撃波と成って直下の蜂の巣装甲板を通過して缶室内のボイラーに吹き戻される形で達したと考えられます、蜂の巣装甲板を引き抜けた爆発の衝撃波はボイラーを煙路側から破壊して缶室内を炎上させて炎熱地獄にするのと同時に、出口であるタービンへの蒸気管も破裂さてタービンの有る機械室へ高温高圧の蒸気を吹き込む形で破壊したとの推測が成されています。
結果的に、この一撃は動力源の喪失と言う「八坂」の戦闘艦に対して、致命的傷を与える結果成ったと言う事ができるでしょう。
これは単に推力を失ったと言うことではありません。
主機であるボイラーが生み出す高圧蒸気は艦の主要部の動力源と成っていました、特に主砲塔はその旋回と俯仰角の駆動源や装填装置の動力源に圧力水で駆動される水圧装置を使用していました、この高圧圧力水も又、高圧蒸気に拠って駆動されたポンプに拠って生み出されていたのです。
加えてもう一つの動力源である電力も、艦内で使用される電力の内、ディーゼル発電機と蒸気圧を使用したタービン発電機によって二五〇〇キロワットづつ計五〇〇〇キロワットの供給されていた訳ですので、蒸気の供給停止で発電量は半分に成り、そこに重なるように被弾時の損傷でディーゼル発電機の半分が破損して発電が不能と成り結果的にボイラーの破損はイコールで戦力の喪失と成っていた訳です。
結果として主機の喪失は、反撃する手段も退避する方法も奪い去り現状の手も足も出せない状態を作り出したと言う訳です。
しかし、「八坂」が被った損害はそれだけでは有りません。
小川中佐は報告を続けます。
「このほか、前檣楼被弾後に敵駆逐艦から雷撃を受けて三発が命中、右舷側で浸水が広がっています。」
彼が言うように右舷側の第一主砲塔から第三主砲塔の間には浸水を示す黒で塗られた箇所が三ヶ所ありそこから隣接する他区画へ浸水が広がっている状況が見て取れました。
「浸水が広がっていませんか?」
私はその図を見ながらその状況に対して疑問を挟んだ。
「ええ。」
「どういう事です?」
今度は鷹野特務少尉です、これまでも浪川副長を中心に被雷時の水防訓練は数多く行われてきました、そうした事態に備えてきた筈なのにこの結果は納得いかないと言う事でしょう、それは私も同様です。
「理由は幾つか有ります。」
鷹野特務少尉の詰問にも近い問いに答えて小川航海長は艦中央へ指揮棒を走らせませた。
「先ず何より、直前に第一艦橋が被弾して僅かな時間ながら指揮系統に空白が出来たこと、そして先ほど申しました様に機関区画の破損で動力と通信系等が失われて対応が後手に回った事が有ります。
加えて雷撃を仕掛けてきた敵の駆逐艦が雷撃とともに主砲弾を打ち込んできて一発が前檣楼基部に命中、一時司令塔との連絡が不通に成り更に対応が遅れました。
現在は反対の左舷側に注水して傾斜を回復していますが、艦中央の排注水管制所が機関区画の被弾の際に破壊され、その為に注水箇所が艦首側に偏っている為に艦首側が沈み込んでいるのが実態です。」
そこへ新たな見張員からの情報が入りました。
「友軍巡洋艦反転、海域を離脱する模様。」
何か策が有るのか,それを確認する間もなく友軍重巡は反転して行きました。しかしながら、報告はそれだけでは有りませんでした。
「敵戦艦が砲撃を受けています。」
「方位二四五に新たな艦影、
敵艦を砲撃中!」
済みません、話が長くなって二万字近くなったので三つに分けました。本日中に全て投稿の予定です。
誤字脱字が有ったおねがいしますね。




