前書きに代えて。
南溟の怪魔シリーズの新作です、予定では「天魔」連載終了後直ぐに始める予定でしたが、第一話が完全新作で思ったより時間が掛かってしまいました。
今回は海戦だけでなく、空戦や陸戦も織り交ぜてお届けする予定です。
前書きに代えて。
先の大戦が終結して多くの年月が流れました。この間、私が編集長を務めた「Historical War Ships(日本語版)」や姉妹誌の「戦う翼」には戦争経験者の自身の体験談の寄稿や遺族からの手記や資料の提供の申し出が数多く寄せられました。
特に、「Historical War Ships(日本語版)」へ寄稿頂いた装甲巡洋艦「草薙」の設計者のお一人だった西尾氏の死去に伴う追悼特集や、「戦う翼」へ連載した檜山氏の手記には連載中から多くの意見や同じ戦場を共にした経験者諸兄の体験談が寄せられ、中には掲載に値する一級の資料も有りましたが、諸事情により埋もれたままに成っていました。
しかしながら、終戦も50年を過ぎる頃より経験者の皆さんの高齢化に伴いこうした貴重な経験談が埋もれたままに成ることが危惧される様に成りました。
そこでこの度、先にお寄せ頂いた手記や資料等を精査し、幾つかの作品として掲載することと成った次第です。また手記の多くが文章量が少ないため短編集と成る予定です。
題しまして「南溟の断証」とタイトルを付けました。
この中で、(だんしょう)の(しょう)が❝章❞ではなく❝証❞なのは、皆様から頂いた手記や資料を、皆様からの証言と位置付けようとしたことからこの「断証」を使うことにいたした次第です。
また副題の(ゴリアール)とは、ヨーロッパ中世において形骸化した教会組織に反抗し、その主張を詩やパフォーマンスで表した聖職者集団から発した吟遊詩人の名称です。
今回はその反骨精神旺盛な者達の名をお借りすることによって、政府や軍等が編纂した公式の記録や文章には載らない、戦争の中に実際に身を置いた皆さんの体験を時の中に埋もれさせない決意を表したものとしています。
なお、記念すべき第一作目は、装甲巡洋艦「八坂」の砲術長を努め、戦隊の砲術参謀や砲術学校での教官経験もお持ちになり、終戦時には最後に残った装甲巡洋艦「三種」の艦長をされていた有川尚繁氏の手記を元にした『「八坂」激闘譜』を予定しています。
財団法人 平和と歴史研究所 理事 大久保 晶治
お読み頂きありがとうございます、前書きですので軽く行きました。
本編は翌日に掲載予定です。
何時も通り誤字脱字等が有りましたら感想などでお知らせ頂くと助かります、勿論感想や意見、兵器のリクエストも有りましたらお願いします。