表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀の魔王と白金の巫女姫+勇者  作者: 葉月風都
第一部 蝦夷編
6/13

第3話 目標は世界征服です

第三話です。


お付き合い下さいませ。

<第三話>


「ふむ。何となくは把握した」←魔王

「同じく」←巫女姫

「微妙・・・」←勇者


 飛鳥による三人へのレクチャーは一時間程度で終了した。


「要約してやろう、範馬」

「あ、ありがとな、ルイン・・・


①この世界全体の名称は「地球」である。ジ・アースとも呼ばれる。

②この国の正式名称は「日本皇国」である。

③国家元首は天皇と呼ばれる。敬称は陛下。

④日本は、全部で6つの地域「州」に別れている。北から蝦夷、奥州、関東、中部、西国、九州となっている。それぞれに鎮守府と呼ばれる小政府があり、将軍をトップとした統治体制が敷かれている。

⑤天皇陛下は、西国京都御所にお住まいである。首都は京都御所。

⑥現在国内での争いは起きていない。

⑦周囲を朝選国、華国、南方アジア連合国に囲まれた海洋国家である。

⑧周辺国家との関係は良くもなく悪くもなくである。必要であれば協力するし戦いもするというところ。

⑨科学技術が発達しているが、古来より伝わる陰陽術など「魔術」と呼ばれる技術も細々とではあるが残っている。


「合っているか?」

「はい。だいたいそのようなところです。私は科学者ですが、魔術と科学の融合を試み、独自に魔技(マギ)理論を展開していたため、科学側・魔術側両サイドからハブられている状態であります・・・」


 自分で言っていて悲しくなったのか、飛鳥がうつむいてしまう。

 要するに「今さら魔術なんて(*´艸`)プギャーwww」言われていたわけである。


「その理論が正しかったことは我らが証明しているのだろう?」

「そうよ、結果が出ているんだから胸を張りなさい」


 励ましているのだろうか?


「は、はい。私はこの結果をもって学会に復讐してやります!」

「その意気よ!」

「うむ。汚名は返上せねばならぬ。誇りを取り戻すための戦いは是であるな」

「ありがとうございます、ルティアラ様、ルイン様!」


 少し元気になったらしい飛鳥。

 だが、また表情に陰りが見える。


「どうした?」

「いえ、その。先ほども申し上げたように、私は学会の鼻つまみ者。コネや伝手があまりないのです。送還までの生活を保障して差し上げたいのですが、先立つものが・・・」


 要するに、金がないので面倒を見きれないかもしれないというのだ。


「この研究所は私のモノなので、場所はあるのですが。食料や資金が・・・」

「そりゃ困ったな。バイトでもすればいいのか?」

「範馬、バイトとはなんぞや?」

「短期の仕事で金を稼ぐことだよ」

「そんなことをこの私にしろと、範馬?」

「そりゃ姫さんはそんな経験無いだろうけどさ」


 考え込んでいたルインが顔を上げる。


「相分かった。無いものは手に入れねばなるまい。そうだろう?」


 実に悪そうな笑みを浮かべてルインが言う。

 整った顔をしているだけに、余計悪そうに見える。


「うわ、悪そうな顔・・・」

「うるさい、範馬。我は魔王であるぞ。悪いのは当たり前だ。なあ、巫女姫?」

「あー、何考えてるか分かってきたわー。でも、それってあり?」

「あるもないもない。我は魔王だ。やることなど一つしかあるまい」


 そう前置きするとルインは言った。


「世界征服だ!」


 ドヤ顔である。

 ルティアラと範馬が「やっぱりか・・・」という顔だ。


「る、ルイン様?」

「うむ、飛鳥。そなたには申し訳ないが、我はこの国を手始めに世界を征服することにするぞ」

「本気ですか?」

「うむ。前の世界では穏健派であったからな。せっかくの魔王ライフを異世界で楽しんでみたいではないか」

「最悪ね、アンタ」

「褒め言葉と受け取っておこう。第一、お前も嫌いではあるまい、ルティアラ」


 ニヤリと笑うルインに、華のような笑みを浮かべるルティアラ。


「勿論よ」

「お前ら、どっちもどっちだよ!!」

「お主にも働いてもらうぞ、範馬。勇者の力、期待している」

「悪の勇者になりたい訳じゃ!?」

「す、素晴らしい!!」

「へ?」


 飛鳥の感極まったような叫びに範馬が間抜け面を晒す。


「どうか、私もその計画に乗らせて下さい!」

「良いのか? 祖国を滅ぼすことになるやもしれぬぞ?」

「元より承知。私に不遇を囲わせたこの国になぞ未練はありませぬ」

「良かろう、飛鳥。そなたを魔王軍技術長官に任命する」

「ははーっ! ありがたき幸せ!」

「範馬、お前は軍務長官でよかろう。ルティアラ、お前は宰相に任ずる。働きに期待しておるぞ?」

「勝手に決めんなよ!?」

「宰相ね・・・。まあいいわ、世界の半分で手を打ちましょう」

「おいぃ!?」


 どこの悪の竜王だ。


「範馬、あきらめなさい。私達が世界征服をするのは決定事項なの。あなたも別段元の世界に未練はないでしょう。この世界を手に入れて、みんなで幸せになりましょう?」


 にっこり。

 美しさと腹黒さが同居する、有無を言わせぬ笑みであった。

 範馬は何も言えず、がくりと崩れ落ちた。


「よい。ではここに新たなる魔王国の誕生を宣言する。世界を我らの手に!」

「我らの手に!」


 こうして、不思議な実験により召喚された魔王と巫女姫+勇者の世界征服は始められたのだった。

お読みいただきありがとうございます。


良ければ評価などポチッとお願いいたしまm(._.)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ