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序章に代わる三つの小篇 ~勇者の場合~

序章その2です


その3は15時投稿予定です。

<序章に代わる三つの小篇 ~勇者の場合~ >


 今、オレの目の前には大きな石造りの扉がある。


「遂にここまで来たぜ・・・」


 思えば長い道のりだった。

 オレ、(くろがね) 範馬(はんま) はいわゆる「召喚勇者」だ。


 異世界に唐突に呼び出され、「勇者様、邪悪な魔王よりこの国をお救い下さい!」と美少女なお姫様に泣きつかれる、ようするにテンプレだ。


 もともと戦い、もとい喧嘩には自信があった。

 体格にも恵まれたし、武道の類もそれなりに嗜んでいた。


 それに加え、魔法のような召喚によるチート(テンプレ)能力も手に入った。

 召喚によるボーナスなので、チートで間違ってないだろう、多分。


 訓練こそ面倒だったものの、それが終わってしまえば魔王の城まで辿り着くのはさほど難しいことではなかった。

 時間はそれなりに掛かったが。


 だが、それも今日で終わる!


「魔王。今こそ決着の時だ!」


 召還後の愛用武器「聖光纏う戦槌(ブライティアハンマー)」を構え、オレは高らかに宣言する。


 勇者なのにハンマーってどうよとかツッコミは無しで頼むぜ!


「ふむ・・・。お前で一体何人目の勇者だろうか。懲りない女狐だ」

「何を訳の分からないことを。いざ尋常に!」


 魔王が何だかよく分からんことをのたまっているが、無視して身体強化魔法を発動。

 ぶん殴って一気に終わらせてやるぜ!


 魔王は避ける素振りもない。

 なめやがって!!


 ガゴッ!!!


 鈍い音が広間に響いた。

 魔王が自分の左腕でオレのハンマーを受け止めたからだ。


 だが、それだけだった。


「折れたか。最近の勇者の中では一番の戦果だな」


 そう魔王が呟いた瞬間、オレは吹き飛ばされ、床に這い蹲っていた。


 何が起きたのかわかんねー。

 指一本動かせない。


「なに、命までは奪わぬ。帰ってあの女狐に伝えろ。自分で来いとな」


 無様に転がるオレを見下ろしながら、魔王はそう言った。


 だから何言ってるかわかんねーんだって・・・。


 そう思った時だった。

 オレの体を真っ白な光が包み込む。

 そして浮遊感。


「あ、これ・・・。前にもこんなことがあったような・・・」


 あ、前に召喚されてきた時とそっくりだわ、これ。


 そこでオレの意識は途切れた。

お読みいただきありがとうございます。


評価などポチッとしていただけましたら幸いです。

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