白い部屋
「うーん・・・これは」
光に包まれてどこかしらに飛ばされる直前、隆二の思考を占めていたのは
人影の事だったが、考えた所で答えは出ないかと早々に打ち切った。
そして今、頭を悩ませている原因は目の前の光景にある。
てっきり予想していた転移先は本命が最初の町の転移門、時点で闘技場のような場所
大穴で「おお勇者よ死んでしまうとは情けない」だと思っていたが
実際には真っ白い空間だった。
正確には真っ白い空間にいくつかの選択肢のあるウィンドウが1つだけ浮かんでいた。
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現在の所持金を使って、転生条件を変える事ができます。
変更しない場合、ゲーム開始時の状態でスタートします。
血統
□王の血統 10000000G
□剣士の血統 50000G
□戦士の血統 50000G
□暗殺者の血統 50000G
□魔法師の血統 100000G
□来訪者 0G
階級
□貴族 1000000G
□商人 50000G
□市民 10000G
□流人 0G
■犯罪者
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「転生って・・・しかも金で買うのか」
階級というのは、確かにβでもあって金で買えた。
しかし血統というのはどうなんだろうか。
そんな項目はプレイ中には見たことがなかった。
そもそもβでのデスペナルティは所持金の1割を失うことで、こんな場所には来ることはなかった。
全てを失うとは新しく始めるという事だったのだろうか。
だとしたら転生とはよく言ったものだと隆二は思った。
血統というのは基本的に特定のステータスが伸びやすくなるものらしい。
このゲームではレベルアップした時、自動で上昇するのとは別に
レベル分の振り分けポイントが得られるのだがそれに偏りがでるらしい。
剣士は振り分けポイントの上昇が2減り筋力値が3増える。
同じように戦士なら耐久値、暗殺者なら敏捷値に偏るようだ。
魔法師は筋力、耐久、敏捷全ての上昇値が1に、MPが5になり
魔法攻撃力が1.1倍になるようだ、なかなかピーキーな血統である。
逆に万能なのが王でレベルが上がるごとの振り分けポイントが1.5倍、チートである。
しかし価格設定が脱出できる値段な所には嫌らしさを感じる。
早々と死ぬつもりもないが、もし死んでしまった時はじっくりと検討しよう。
階級はそのままの意味でゲーム内でできることが変わるらしい。
また同じ階級のNPCの好感度が上がりやすくなるとか・・・
これはゲーム内でも変更できたから気にする必要はないだろう。
どちらにせよ試すつもりで死んだ自分は所持金不足だ。来訪者で流人しか選べない。
犯罪者というのは、罪を犯した人なんだろうが選べないし、選びたくもないのでスルーする事にした。
選択肢がない以上、このまま始めるしかないが問題は――これを伝えるか否か。
もしこのシステムが知られる事になれば利用しようとして故意に死ぬ人が出るだろう。
リスクが確定しない以上、そうなる事は不本意だし伝える内容はデスペナルティだ。
これはとりあえず自分の胸にしまっておこう、隆二はそう考え選択終了ボタンを押した。
強い光に目を瞑った隆二が気がつくと、そこは『ラム』の転移門で
目の前には『称号≪最初のペンギン≫』を取得しましたというシステムメッセージがあった。
あくまでVRMMOとして続けていくつもりです。
呼んでくださっている方々、ありがとうございますm--m