体育館
陽射しが照りつける暑い夏。
そんな馬鹿暑い時に体育館で体育。まるで蒸し風呂…いや、拷問だ。
僕は暑さにやられ、体育館のステージの隅で大の字になり1人寝転がっていた。
まあ、1人では無いと言った方が良いのか。
ステージど真ん中に小さな男の子が突っ立っている。そのことに誰も気付かない。言い方を変えれば見えていない。
そう、属に言う「幽霊」って奴だ。
あまり関わりたくないから僕は無視。とにかく無視していた。
ぼーっと古びた天井を眺めていたら目の前にいきなり顔が出て来た。
「ぬぁぁぁぁぁぁ?!」
突然のことに間抜けな声を出し飛び起きる僕。
顔の正体は、松崎健太一応友達って奴だ。
「お前体育やんねーの?」とてつもなく、めんどくさくて無視した。
しつこく同じ言葉を繰り返すこいつは、分類にわけるならさわやかなイケメンだろう。
ワックスをつけていないのに、セットしたかの様な短いツンツンヘアーに整った顔立ち。
馬鹿だけど運動が出来る。
なんで返事しねぇんだよー。と愚痴愚痴良いながら持っていたバスケットボールを使ってドリブル。
バンバンとボールがステージを叩く音が聞こえる。
「あれ…?なんか涼しく…つーか、寒くなった気が…」
寒い?気になり僕は健太の方に首だけ向ける。
寒いはずだ。さっきまでただ突っ立ってただけの男の子が健太の腰辺りにしがみついていた。
「なあ、誠。もしかし…なんか見えます?」
僕が見えることはだいたいの人間が知っている。こいつ。健太が言いふらしたため。
そのせいで色々心霊関係の相談をされるようになり、うんざりしていた。
僕はわざとに言ってやった
「あぁ、お前の腰辺りに頭から血流した男の子がしっかりと…。しっかりとしがみついてる!!!」
この言葉を言い終わるか終わらないかの辺りで健太の悲鳴が体育館に響き渡った。