夕暮れの紫も、真夜中の群青も、朝焼けの白磁も、これから始まる物語のそれぞれの君へ、失う怯えを抱えながら愛せる喜びを綴る詩。
「両想い」は、恋のゴールだと思っていた。
想いが成就し、恋人になった僕たち。傍から見れば幸せの絶頂にいるはずなのに、僕の胸を占めるのは、いつからか「この幸せを失う恐怖」だった。
何故こんなに苦しいのだろう。何故こんなに切ないのだろう。
触れ合っているのに、どこか遠い。 隣で眠る君の背中は、真夜中の群青に溶けて届かない。 少しずつ、けれど確実に離れていく君の心と、かつての輝きを取り戻せない僕の想い。
これは、結ばれたからこそ始まる、あまりにも切なくて美しい「恋の終わり」の物語。 変わっていく空の色にのせて、僕が「君」へ贈り続ける、日常の抒情詩。
どこにでもある平凡な日常のなかで、誰かにとっての「一番だいじな人(君)」へと贈る、『君へ』に続く12の愛おしい抒情詩。
これから 続く物語の、それぞれの君へ贈る抒情詩。
夕暮れの紫が深すぎて泣いてしまう。
心が結ばれたはずの僕たちを包み込む、美しくて、曖昧な時の空気感。
手に入れたはずのその紫は、触れているのにどこか遠く、繋いだ手の温もりを確かめるたび、その幸せを失う怖さが静かに痛みに変わってゆく。
今日も君が僕の隣で笑ってくれますように。僕たちの間の心地よい沈黙を君も願っていますように。
そして、それがいつまでも、いつまでも緩やかな風に乗って続きますように。
そばに居るのに、縮まらない心の距離。
そんな時も夕暮れは紫のまま、僕たちの足元を曖昧に濁らせている。
それでも、君の心が僕から離れないよう、この想いが終わりを告げる方に一歩踏み出さないことを僕は願うのです。
幸せなのに、不安や息苦しさは大きくなっていくのです。消えそうな残像は、重なる影となって、夜の帳に溶けていきます。
僕は、毎日、毎日、幸せの残像が君を僕の日常へ繋ぎ止めてくれることを願うのです。
その願いが叶うことを祈るのが、僕の永遠の日常なのです。
真夜中の群青が冷た過ぎて泣いてしまう。
僕の隣で寝ている君との陽炎のような距離は、今にも冷え切ってしまいそうに深く暗く、届かない君の背中へと続いています。
明日も君が僕と同じ夢を見てくれますように。醒めない魔法が沢山ありますように。
あの頃の、純粋な群青色の想いを忘れないように。
そして、隣にいるのに遠い君の心が、もう一度僕を向いてくれますように。
僕は、毎日、毎日、それを望む苦しみの中に生きている。
それが日常であることに慣れるのを必死に拒んでいるのです。
朝焼けの白磁は夜明けの光を紡ぎ、高い空から終わりの予感を落としています。
心が離れていく時の白い光はどこまでも冷たく、かすかなに、そして敏感な寂しい音色で鳴いています。
愛することに疲れたのなら、少しだけ背を向けても良いのです。
想いの重さにうたれたのなら、その傷が癒されるまでじっと目を閉じていても良いのです。
心とは裏腹に、僕は君がこの冷たい夜をポンと乗り越えて、また君らしく微笑むことを祈るのです。
そして、その先に君と僕にとって、いっぱい良い事が沢山ありますように。愛しい日々が沢山ありますように。と願うのです。
僕は、毎日、毎日、それを失う怯えを抱えながら、愛せる喜びの中に生きている。
それが日常であることを永遠に願うのです。




