表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

【12】

「ーあの!!」

追いかけて声をかけたのは、凛だった。その後ろには、雅巳がいる。2人とも少しだけ息があがっていた。振り向くた相手か驚いたように、目を瞬かせる。

「どこへ行くつもりですか? 小梅さん」

名前を言われた彼女ー小梅はじっと凛と雅巳を見、ゆっくり答える。

「眠れなくて…。うろうろしていれば、そのうち疲れるかなと思ったんですけど」

「そうですか。それなら、いいんですけど…」

凛がはっと息を吐くと、小梅は廊下の手すりに触れ、夜空を見上げる。生憎、煌めく星は見られず、どんよりとした雲に襲いかかられていた。

「…前から夜中にふらついていたんですよね」

「…え?」

「家にいるのが嫌で…。それで1人、抜け出してみたりとか」

「…」

小梅の顔が急に大人びて見えた。しかし何か辛いものを堪えるかのような苦しいものでもあった。

「…誰かに構って欲しかったのかもしれません」

「小梅さん…」

「自分のことを分かって欲しい、愛が欲しいって、子どものように期待して…。結局、上手くいかなくて…。何で私だけって嘆いたりして…。…全ては淋しいから始まるんですよね」

「…」

凛は黙っておくことにした。小梅の言いたいことは分かるのだが、何と答えたらいいのか分からなかった。代わりに雅巳が答える。

「淋しいと感じるだけまだましだ。生きているってことなんだから。それが麻痺してしまうと、もう後戻りはできない。辛い、悲しいと思っても、何の言葉も響かなくなる」

「雅巳さん…。…そうかもしれませんね」

ふと小梅は笑むと、炎を吹き消す。

「もう寝ましょうか。今日は色々とありましたし。ね?」

「そ、そうですね。小梅さん、1人で大丈夫ですか?」

「私は1人で大丈夫です。…いつも1人でしたから、慣れています」

「お前のせいじゃない。周りの大人がいけないんだ」

「雅巳さん…」

凛は珍しく言葉を紡ぐ雅巳に、びっくりしていた。雅巳と小梅、両方とも惹かれ合う何かを抱え込んでいるのかもしれない。

ー私はその中に入れない…。

1人残されたようで淋しいし、悔しかったが、仕方がなかった。

「ーおやすみなさい」

小梅が動いたので、凛達もそれぞれの部屋へ歩き出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ