第9話 ゲーム2日目①
翌日。
早々に用事を済ませたサクラはAQOにログインする。
「ウタマルただいま。いい子にしてた?」
「キャン!」
ログインしたサクラに駆け寄るウタマル。
ウタマルの柔らかい毛並みをわしゃわしゃするサクラ。
ウタマルはとても気持ちよさそうにしている。
まだゲームを開始して2日目だが、ずっとこのままこうしていたいと思えるほどサクラはAQOにハマっていた。
しばらくウタマルと戯れていると、
「こんにちは、サクラさん。ウタマルもこんにちは」
「こんにちはアンズちゃん」
「キャン!」
ログインしたアンズがやってくる。
アンズもサクラと同じく連休中の間は毎日ゲームをするそうだ。
「サクラさん、ウタマル、いってきます」
「アンズちゃん、頑張ってね」
「キャン!」
しばらくして準備を終えたアンズが街へ向かう。
昨日はできなかった露店の販売をしに行ったのだ。
先程いくつか試食させてもらったが、アンズの料理の腕前はNPCにも引けを取らないので問題ないだろう。
「ウタマル、ちょっとアンズちゃんの様子を見に行こうか」
「キャン!」
アンズが街に出てしばらく。
庭でウタマルと遊んでいたサクラはアンズの様子を見に行くことにした。
「えーと、アンズちゃんのお店は確かあっちの方だっけ」
街に来たサクラとウタマルは早速アンズの店のある方へと向かう。
「あれ?アンズちゃん?」
「あ、サクラさん、ウタマル。もしかして様子を見に来てくれたんですか」
道の途中でアンズと出会う。
「どうしたの?何かトラブルでもあったの?」
店の外にいるアンズを心配したサクラが尋ねる。
「いえ、完売したのでこれから戻るところだったんです」
「え?」
アンズが持って行った料理はそれなりにあったはずだがこんなに早く売り切れるものなのだろうか。
「それであの、売り上げについて相談したいんですけど…」
「売り上げ?ああ、そういえばクランを組んでいたのよね。そうね、お店がどんな感じだったのかも聞きたいし、一度ホームに戻りましょうか」
「すみません、せっかく来てくれたのにすぐに戻ることになってしまって」
「気にしないでアンズちゃん。それより問題ないようでよかったわ」
ホームに戻ったサクラとウタマルとアンズ。
「それでお店はどうだったのかしら?」
「はい、ウチもよくわからないんですけど…」
サクラは露店での販売がどのようなかんじだったのかアンズに聞く。
昨日と同じく露店を開いたアンズ。
昨日と違うのは今日はちゃんと商品が並んでいたこと。
そして露店を開いて早々、
「おっ、中々うまそうだな。お嬢ちゃん1つくれないか」
「は、はい。ありがとうございます」
NPCと思われる男性に早速売れる。
それを皮切りに人が集まりどんどん売れていき用意していた商品はあっという間に売り切れてしまった。
「料理は簡単なものだし、他の露店でも同じようなものは売っていたのに、何故かウチの店に人がたくさん来たんです」
アンズの用意した料理は昨日作ったウサギ肉の香草焼きを食べやすく串焼きにしたもので、別段珍しいものではない。
「うーん、料理と素材に違いはないはずだから、設備とアンズちゃんの料理の腕が良かったからとか?」
考えられるのはそのあたりだろうか。
何にせよ無事完売したのは喜ばしいことだ。
「それでこの売り上げなんですけど、どうしたらいいでしょうか?」
「アンズちゃんが頑張って稼いだものだから全部アンズちゃんのでいいんじゃないかな」
「で、でも材料と料理する設備はサクラさんが用意してくれたものだから、サクラさんにももらって欲しいです」
「うーん、そうね。それじゃあこうしましょうか」
露店の売り上げについて基本的には全てアンズのものとして、材料費や設備の費用はそこから別途もらう形で話は落ち着いた。
「アンズちゃん、私ちょっと出かけてくるからウタマルのことお願いしてもいいかな?」
「どこに行くんですか?あ、素材を取りに行くのならウチも行きます」
「ううん、大丈夫。ちょっと気になる場所があってそこに行くだけだから。ウタマルも留守番よろしくね」
「キャン!」
「わかりました。サクラさん、いってらっしゃい」
「うん行ってきます」
サクラは1人ホームから出かけていった。




