第5話 街の外に出よう
街から出たサクラとアンズ。
「あのサクラさん。装備はそれだけなんですか?」
「ええ、私の場合はこれだけあれば十分だから」
サクラの装備は革のグローブのみで他はアンズと同じ初期服だ。
サクラの職業は武道家で主に近接格闘を得意とする。
「心配しないでアンズちゃん、私リアルでは武術を習っているから」
VRMMOゲームの中には現実での技術、いわゆるリアルスキルが反映されるものがあり、AQOもそのタイプである。
サクラは普段VRゲームはやらないが武術にはある程度自信がある。それに《《VR内での身体の動かし方》》に関してもある程度わかっているつもりだ。
AQOでも普段通りの動きができれば大抵のことは何とかなるだろう。
街の外は森に続く一本道と見晴らしのいい草原が広がっている。草原の先にある森は初心者には危険らしいので、この辺りでモンスターを探すつもりだ。
「えーと、この辺だとウサギが出るのよね?」
「はい、東の草原では角有りウサギと角無しウサギの2種類が出ます」
街の外の東西南北のフィールドにはそれぞれ決まったモンスターが出現し、この東の草原では角有りウサギ、角無しウサギの2種が生息している。
角無しウサギはただのウサギなので問題ないが、角有りウサギは攻撃的な性格なので油断していると大ケガする場合がある。
サクラを先頭にしばらく周囲を警戒しながら進んでいると、
「アンズちゃん止まって。何かいる」
サクラが何かを見つけたようだ。
ガサゴソと草の茂みから現れたのは額に1本の角を生やしたウサギ。
「…あんまり可愛くないわね」
目の前のウサギはテレビで見るような可愛らしいウサギではなく、野性味あふれたいかにもモンスターですといった見た目をしていた。
AQOでは普段VRMMOゲームをしない層もプレイしていると聞くので、罪悪感を感じないように配慮された結果なのだろう。
敵意むき出しで威嚇する角有りウサギ。
「先手必勝!」
サクラは間髪入れず角有りウサギに駆け寄ると、そのまま角有りウサギを蹴り上げる。
「うん、いい位置」
そして胸の位置に来た角有りウサギに拳を叩き込むと、キラキラのエフェクトと共に角有りウサギは消滅する。
「アンズちゃん見て、素材落としたよ」
角有りウサギがドロップしたのはウサギ肉。角無しウサギのドロップは肉と皮で、角有りウサギだとそれに加え角をドロップする。
「うん、普段通り動けてる。これなら問題なさそうね」
AQOはどうやらサクラの普段使っているVRシステムと同じものを採用しているようだ。これなら戦闘で後れを取ることはなさそうだ。
「よし、こんなものでいいでしょう」
その後も出会い頭で遭遇する角有り、角無しウサギを片っ端から倒し続けたサクラ。アンズはその後ろで薬草採取をしていた。
2人のアイテムボックスには大量の素材が入っている。
「それじゃあアンズちゃん帰りましょうか」
「ウ、ウチ付いてきた意味あったのかな…。あんまり貢献できてない気がする…」
「適材適所よ、アンズちゃん。私は戦闘、アンズちゃんは薬草採取で頑張ったでしょ。それにアンズちゃんの出番はこれからだから」
「はい、頑張ります!」
サクラとアンズは街に戻ると早々に、
「それじゃあアンズちゃん、フレンド登録しましょう」
「はい。よろしくお願いします」
サクラはアンズとフレンド登録をする。
「それでホーム招待を選んで、と。どうアンズちゃん?」
「えと、はいメッセージ来ました」
「それじゃあ行きましょうか」
サクラとアンズはサクラのホームへと移動した。




