第37話 エリアボス
サクラの目の前に現れた大きいクマは先程まで戦っていたフォレストベアとは違う雰囲気を纏っていた。
鑑定してみると『フォレストベア変異種』と表示される。
「特別な個体ってやつかしら」
サクラの考察は当たっていてこのフォレストベア変異種はこの森のエリアボスだった。
当然今までのフォレストベアよりも強い。
「ちょうどいいわ。あなた、スキルの実験に付き合ってくれるかしら」
そう言うとサクラはスキル『練気』を発動させる。
ジュリのところで試した時と同じ感覚を感じる。
どうやら問題はなさそうだ。
「それじゃあ始めましょうか」
フォレストベア変異種との戦闘を開始する。
「うんうん、この感じ」
身体の感覚を確かめつつサクラは、隙をつきフォレストベア変異種に後ろから抱きつく。
「わっ、凄い!」
フォレストベア変異種は通常の個体よりももふもふ度が高い。
サクラはもふもふに顔を埋め堪能する。
フォレストベア変異種は暴れるが全く振りほどくことができない。
「…ふう、いいもふもふでした」
しばらくもふもふを堪能したサクラは満足したようで、フォレストベア変異種から離れる。
「せっかくだしアレを使いましょうか」
サクラはフォレストベア変異種の正面に立ち構えをとる。
サクラにいいようにされたフォレストベア変異種はサクラに一直線で向かってくる。
サクラは目を閉じ集中する。全身を薄く光が包み込む。
フォレストベア変異種がサクラに肉薄する中、サクラの全身を包む光は右手に集中する。
「ここ!」
フォレストベア変異種の頭にサクラの掌底が直撃する。
フォレストベア変異種は光が鏡に反射したかのように勢いよく後方へ弾き飛ばされる。
木々をなぎ倒し勢いが収まるまで10メートル程。
ようやく止まったフォレストベア変異種は立ち上がることなくそのまま消滅する。
「お祖父様以外に初めて使ってみたけどこんなに威力が出るのね」
普段は危険な為祖父相手以外では気功を用いた戦いは禁止されている。
ゲーム内とはいえ今回初めて祖父以外の相手に試してみたが、サクラが思っている以上の結果だった。
「うん、修行終わりっ!帰りましょう」
納得のいく成果を得たサクラはコボルトの里へと帰っていく。
「……」
その様子を遠くから見ていた謎の視線。
サクラが森を出るのを確認すると謎の視線もどこかへ消えていった。




