第33話 サクラの友人
「そういえばここに来るの久しぶりね」
サクラは大きなビルの前にやってきていた。
今サクラがいるのはAQO内ではない。
ここはVR関連企業が所有するビルでサクラの友人はここで働いている。
「ジュリ久しぶり」
「やぁサクラちゃん、いらっしゃい」
サクラを出迎えてくれたのはダボダボにヨレた白衣を着たボサボサ頭の女性。彼女がサクラの友人ジュリだ。
「お仕事以外でサクラちゃんがここに来るなんて珍しいね」
「ええ、少し相談したいことがあってね」
ジュリはVR技術の研究をしており、サクラは時々その手伝いをしていた。
ちなみにサクラにAQOを勧めた張本人でもある。
「ふむふむ、ゲーム内での身体の感覚に納得がいかない、と」
「ええ。この先も続けていくとなるとやっぱり万全の状態で動けるようになりたいのよ」
「ふふっ」
「?何かしら?」
「いやね、サクラちゃんがこんなにAQOにハマるなんて思わなかったから。ついね」
自分が勧めたとはいえ、サクラがここまでゲームにハマるとはジュリも思っていなかった。
「それについてはジュリには感謝しているわ。ウタマルは私によく懐いてくれてるし、それにお友達も出来たのよ」
とても嬉しそうに話すサクラ。
「ああ、それは良かった」
「それでどう?何とかならないかしら?」
「う〜ん、そうだね…」
サクラの悩みはゲーム内での身体の感覚がリアルよりも劣るというものだ。
ジュリは現在、VR上でリアルと同じかまたはそれ以上に違和感なく身体を動かすことができるかの研究をしている。
人並み外れた身体能力を有しているサクラにはアルバイトとしてその手伝いを時々してもらっている。
「サクラちゃん、もう1度アレを試してみないかい?」
ジュリはとある提案をサクラにする。




