第16話 ウタマルとコボルト
サクラはヤナギからコボルトの里の通行証というアイテムをもらう。
「それがあれば次からはあの道を通らず直接この里に自由に出入りできるようになります」
メニューを表示させると確かに転移ポイントの一覧にコボルトの里が新たに追加させていた。
「あの、私がこんな大事なものをもらっても良かったんですか?」
AQOの公式掲示板を見た限りでは妖精コボルトをはじめ、通行証といった転移アイテムの存在は確認されていなかった。
これはいわゆるユニークイベントといったものだろうか。
自分には縁がないと思っていたがまさかいきなり遭遇することになるとは。
そして明らかに重要そうなアイテムをもらってしまい、思わず確認をとるサクラ。
「ほっほっ、サクラさんは自らの危険を顧みずツバキを救って下さった。理由はそれだけで十分です」
転移ポイントがあることで気になったことを確認する。
どうやらコボルトの里は人間の街と同じ扱いになるらしい。
ということはウタマルもここに連れて来られるのでは?
「あの、私の家族をここに連れて来てもいいですか?」
「ええ構いませんよ」
ヤナギから許可をもらったサクラは早速一度ホームに戻る。
「ウタマル、お出かけするよ」
サクラはウタマルを連れ再びコボルトの里に戻る。
「キャン!」
「ワフッ!」
ウタマルとツバキが挨拶をする。
「ほう、家族というのは我らの兄弟でしたか」
同じ柴犬ということもあり、ウタマルは無事コボルトたちに受け入れられたようだ。
早速仲良くなったウタマルとツバキが追いかけっこをして遊んでいる。
「サクラさん、もしよろしければ彼にも通行証を渡しましょう」
「いいんですか?」
「ええ、彼だけでもここに来られるようになればサクラさんも安心でしょう」
ヤナギの思わぬ提案に驚くサクラ。
確かにサクラが街の外に出たりログアウトしている間ウタマルは1人きりだ。
それを解消できるのはうれしい。
サクラはヤナギの提案を受け、ウタマルも通行証をもらうことになった。
「キャン!」
ウタマルの首輪に小さな木札が付けられる。
これで今後はウタマルも自由にコボルトの里に来られるようになった。




