第10話 ゲーム2日目②
アンズとウタマルに留守番を任せサクラは1人街の外へ出る。
サクラが向かったのは昨日と同じ東の草原。
しかし今日の目的地はここではない。
時々現れるウサギを倒しながら草原の先を進むサクラ。
「ここが森の入口ね」
しばらく進み到着したのは森の入口。どうやらサクラはこの森の中に用があるようだ。
サクラはログインアウトしたあとAQOの公式掲示板を覗いていた。
そこで気になるものを見つけた。
東の草原の先にある森の中には果物があるらしい。
AQOで食の楽しみを見いだしたサクラは近辺で見つかる食材はある程度抑えておきたいと考えていた。
果物ならそのままでもおいしいはずだし、アンズならもっとおいしく食べる方法を見つけてくれるかもしれない。
それに街からそこまで遠くないのもいい。しかし森の中は初心者には危険な場所とのこと。
なので今回はサクラ1人で向かうことにしたのだ。
「うん、ここがいいかな」
サクラは森の入口の木を物色して1本の木に手をかけるとそのままスルスルと登り始める。
「それで次は、っと。うん、この調子なら大丈夫そうね」
木に登ったサクラは近くの木にひょいと飛び移る。
どうやらサクラは森の中を木々の上から移動をするようだ。
いくらサクラが強いといってもそれは現実での話。AQOの中ではまだ初心者に毛が生えた程度でしかない。
それにこのゲームは元々癒しを求めるためにプレイしているのだ。無用な戦闘は避けるに越したことはない。
「なんだか身体のキレが良い気がする」
木々の上を颯爽と移動するサクラ。
サクラが感じている身体の変化は気のせいではない。
サクラの選んだエルフは森の中でこそ真価を発揮する種族。
といってもまだレベルが低いので、その効果はまだ微々たるものでサクラが思っているほどの力はない。
木々を自由に動き回れているのは単純にサクラの実力だ。
サクラは特殊な訓練を受けており、この程度のことは朝飯前にできてしまう。
「うん、順調順調」
公式掲示板の情報通り、木の上にはモンスターは全くいない。
森の中で出現する主なモンスターはフォレストウルフと呼ばれるオオカミ。
フォレストウルフは数匹で行動していることが多く、森を攻略するにはパーティを組むのが推奨されている。
移動することしばらく、
「あっ、見つけた」
ようやくお目当てのものを発見したようだ。
サクラが見つけたのはリンゴの木。見つけた木にはいくつか実が生っていた。
「見た目はリンゴね。それでお味はどうかしら」
サクラはその中から一つ取り、試食する。
「うん、おいしい。ちゃんとリンゴの味がする」
リンゴは見た目通りの味で特に問題はなさそうだ。
無事リンゴの木を見つけたサクラはリンゴを収穫する。
その後も他のリンゴの木を見つけ、ある程度の量を確保することに成功する。
「そろそろ帰ろうかしら。ん?」
サクラが帰り支度を始めていると、少し離れた場所で何か争うような声が聞こえる。
気になったサクラは様子を見に行くことにした。
音のする方へ向かうとそこには数匹のフォレストウルフたちが何かを取り囲み吠えていた。
フォレストウルフたちの視線の先にいたのは1匹の子犬。ケガをしているのかうずくまっている。
それを見た瞬間サクラはフォレストウルフの前に飛び出していた。




