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北風─君にとどきますように─

 子供の頃出来たことが、いや、つい数か月前まで当たり前のように出来ていたことが今は出来ないというのは凄くもどかしい──目の前に立ててあるロウソクの炎をじっと見つめながら、黒瀬結衣(くろせ ゆい)は荒れ気味な息を整えようとした。

 もう一度、心を落ち着かせて言葉(コード)を生成する。ここまでは上手く行く。でも、それを水晶の中の"悪魔"に使役させようとした瞬間、ほんのわずかのノイズが、ほんのわずか、狂わせる。結果、消すはずの炎は多少揺らめいただけで消えることはなかった。

 体力的にはさほど消耗していない。むしろ、魔法を使ったことの代償としての空腹感が強い。そして、その出来ない事が彼女の心を侵食するようにやる気を失わせる。彼女の足が、心の支えを失ったのか自分の体重を支え切れずに力なくベランダの床にへたれ込んだ。ラフな体育座りのような恰好をした彼女は、大きくため息をついて、目の前のロウソクを見つめる。

 苦手な"火"を前にしてそれを克服できれば、また元通りに魔法が使えるかもしれない…そう思った彼女だったが、ここ1週間ほどの進展は皆無に近かった。全く発動できない少し前から比べればいくらかそよ風程度に動かせるようになっただけでもまだマシなレベルだが。

 ラフな体育座りの格好から、ごろりとベランダの床に敷いた寒さ対策の古い毛布の上に寝転ぶ。レンズ越しの視線の向こう側は、ベランダの一区画を覆うようにアクリル板のサンルームが、雪を降らす陰鬱な鉛色の北陸の空を忠実に表示していた。やがて適当にちぎった綿の様なぼた雪が降り出し、鉛色で染め上げた濃淡がない低い雪雲を白く塞いでゆく。さく、さく…とぼた雪が天から降るたび、微かに積もる音を立てる。時折、フラッシュを炊いたように光が空を満たし、間髪入れずに響く雪雷が、おどろおどろしく建物ごとその重低音で揺らす。

 暖房がないサンルーム内はほぼ外と同じ気温。部屋着としていつも着ている明るい灰色のスウェット上下に、冬用として色々な布を継ぎはぎした祖母が作ったらしいドテラを着ているが防寒するには心もとない。

 ──ずっとこのままなんだろうか。魔法を使えない術者に意味があるんだろうか。それだったら…。

 彼女は上半身を起こす。視界には隣の家──幼馴染の白谷家の1階の屋根が、ベランダの目の粗い縦格子の欄干越しにわずかに映り込む。

「……」

 つい半年前まで魔法の"ま"の字も知らなかった隣の家の幼馴染は、今は普通に使いこなしている。その成長振りは俄かには信じられないほどに、彼女からは見えた。

 ──まさか、魔法で負けるとは。彼女にしてみれば、想像すらしていなかったことだった。

 起こした上半身を、再び床に付ける。寒さ対策の古い毛布が、いくらか溜まっていた埃をその反動で撒き散らす。

「…普通の女の子になりたい…」

 ──何でこんなことになったんだろう…感情の荒波が独り言を震わせる。

 彼女は眼鏡を外すと、両腕で目元を覆い隠すように交差させた。胸元の水晶が、バランスを崩して下に敷いた毛布の上へ、くぐもった硬い音を立てて落ちた。

 ろうそくは、時間の経過とともにその身を削り、やがて床と同じ高さになり、輝きが消えた。緩やかに、アクリル越しの低く垂れこめた冬空へ向かって煙が微かに伸びてゆく。


 数日後。

 朝方、黒瀬が登校して教室に入ると、既にいた友人の灰屋美紀(はいや みき)青野雅美(あおの まさみ)紫野絵里子(ゆかりの えりこ)の3人がいつものように集まって話の花を咲かせていた。彼女が挨拶すると、気づいた紫野が微妙な顔をして一瞬躊躇いがちに強張りつつ話しかけてきた。

「結衣、聞いた?8組の春ちゃん、今日から復学だって」

「え…?もう少しかかるんじゃ」

『寝耳に水』とはこの事か、と言わんばかりに黒瀬は多少の驚きを隠せなかった。

『隣の春ちゃん』こと、8組の遠野春香(とおの はるか)は紫野の友人なのだが、この前まで黒瀬と付き合っていた同じ2-8の緑川勇樹(みどりかわ ゆうき)を巡って、色々と二人の仲を裂こうと画策してきたが数週間前にとうとう実力行使してきた。丁度幼馴染が助けに来たことで難は逃れたが、その責で彼女は停学処分に。本来ならまだ停学期間中に当たるのだが…。

「春ちゃん、何だかんだで成績いいですし…」

「多分それだら?」

 灰屋が、成績いい人は優遇措置あってうらやましいと言いたげな表情を浮かべて紫野の言葉に相槌を打つように挟んで来る。

「…ごめんね、友達がしたこととはいえ…」

「えりちゃんは悪くないよ、謝らなくていいよ」

 悲しげな顔を浮かべる紫野。黒瀬はそれを慰めるように優しく応える。

「あ、ごめん結衣…あのお──」青野が紫野に続いて黒瀬に話そうとして、内容の為か、語尾へと口調が落ちて口ごもった「これ訊いちゃっていいのかなぁ…何か人づてに聞いたんだけど…緑川くんと、その…別れた、って?」

「…うん、もう、ダメになった」

 黒瀬はカバンを机の天面に下ろしながら、言われて怒るのでもなく、もう済んだこととして切り替えもまだ不十分な微妙な表情を浮かべて答えを返した。

「やっぱりそうだら…最近、結衣何かぼーっとしてて何処かおかしかったように見えたじゃん。なんかあったなぁ…と思ったに」

 黒瀬の後ろの席の灰屋が、やはりと合点がいった表情をして独り言のように言った。

「言わなかったけど…もうバレてるみたい」

 誰が噂を立てたのやら、と精一杯の苦笑いを浮かべる黒瀬。椅子に座るときも、何処となく疲れたかのように腰を下ろす勢いは強めだった。しばらく考え込むかのように俯いて、言葉を発さずにそのままの姿勢を維持していた。

「結衣、白谷くんは一緒のバスじゃない?」

「今日は知らない。まだ会ってないから、ギリギリで来るんじゃない?」

 灰屋が訊いてきたので後ろを振り向く黒瀬。何処となく緩慢な動きの様に灰屋からは見えた。

「幼馴染だから起こしに行くって展開は無いのかぁ」

「もう互いの部屋行かないようになって6、7年は経ってるし、半年ほど前は絶交してたから…」

 灰屋の席にいつの間にか来ている青野が漫画とかでよくあるベタな展開はないのかと訊いてきたが、黒瀬はやんわりと否定。青野はなあんだ、と呟いてつまらなさそうに天井を見上げた。

「でもその時と比べたら今は2年生になったばかりの時みたいな二人に戻ってよかったです」

「ギスギスしてた時は白谷くんとアオちゃんも一触即発だったじゃんね。アオちゃんよー我慢した」

「いやアレ状況が状況ならその場で手ぇ出してた」

 黒瀬と灰屋の机の間で4人の女子が話に花を咲かせていると、クラスメイト数人に続いて、"噂をすれば何とやら"を地で行くように白谷が教室に姿を現した。挨拶の声が伝わると他のクラスメイト共に4人の女子が彼の方を向いてます挨拶。そして黒瀬を除いた3人が意味ありげな謎の視線を彼に投げかける。

「…何?」

 3人の視線が見えない壁を作って行く手を阻まれたかのように彼の足が止まる。何が起こってるのか、どうしたらいいのか困惑している表情を浮かべている白谷に、

「話してたらやっぱり来た」

「昔からのことわざはバカに出来ませんわ」

「ホント、いいタイミングで来たじゃん」

「…何なんだお前ら」

 青野、紫野、灰屋がさながら図ったようなタイミングで立て続けに白谷へ向けてニヤニヤしながら話しかけると、彼女らの背後に何かを感じたのか、彼は腰が引けた。

「大丈夫よ。いま駿のこと話のタネにしてた所に来たから」

「何で俺の話になってるんだ?」

「自分と一緒に来てないからってところからそんな話になったの」

 黒瀬が助け舟を出すと白谷はいくらかは安心したかのように席にたどり着くと、来ていたコート類を脱いで椅子の背もたれに引っ掛ける。そしてそのままの流れで彼は後ろの席の幼馴染の方を振り向いた。

「結衣、数学でちょっと判んない所あるから放課後図書館いいか?」

「…また違う話するんじゃないでしょうね?」

 この前の事もあって、黒瀬は白谷のそういう言葉には警戒心を最大にしていた。眼鏡越しに疑惑のまなざしを突き刺すように彼に突き立てる。

「大丈夫今度はちゃんと勉強の話だ。それに図書館でそんな話出来んだろ安心しろ」

「ウソだったら自分と3人の分、グリコアでおごれ」

「ウソじゃないってーの!」

 駅前電車通りにある、最近出来た大手食品会社経営のハンバーガー屋で4人分おごったら小遣いが壊滅的になることは目に見えている…黒瀬に対しての白谷の目は俺を信じてくれと瞳に書いてあるように真剣だった。

「まあいいわ、今日は放課後予定はないから図書館に…」

 黒瀬が仕方ない幼馴染のために時間空けてやると言いたげな言葉は途中で寸断されたように途切れた。黒瀬の後ろの3人も、彼女と同じ方向を見て言葉を失ったように黙り込んだ。彼女らだけではない。教室にいるクラスメイトらが、神様からおしゃべり禁止と言い渡されたように言葉を失って教室前方の入り口に向かって視線を集中させている。

「…どした?」

 白谷が幼馴染に訊くが、反応がないのでみんなの視線が集中する方へと振り向いた──。

「あ、白谷くん居た」

 視界に映った声の主を見て、彼らと同じように白谷は言葉を失った。

 散々聞いた声。それも、マイナスの感情を伴って白谷の神経を嫌らしく撫でまわす。

 "二の句が継げない"──その言葉が似合うように、7組の教室は水を打ったように黙り込んだ。

「──何で…?」

 白谷は、その一言だけしかその瞬間は言えなかった。催眠術にかかったように、彼の体で自由になっている部位が無いほどに動けない。

 白谷はおろか、黒瀬にとっても因縁の相手が、教室の入り口から楽しそうな笑みを浮かべて目的の人に向かってゆっくりと向かってきた。右腕は、あの時からと同じ、ギプスを包帯で吊っている。

 白谷と黒瀬には、その子の笑みの背後には何か邪悪なオーラが教室全体を包み込むように広がっていく幻影が見えた。

「久しぶり、白谷くん」

「遠野さん…停学中のはずじゃ」

「先生から昨日連絡あったの。もう来てもいいよって」彼女はそう言いつつ、猫の忍び足のように気が付いたら白谷の机の横にまで来ていた「先生の方でも理由があってそう言われたんだと思います。そう言えば情状酌量の余地ありって白谷くんもそうだったわね──」

「帰れ!見たくもない!」

 教室を揺るがす大声が響き渡る。彼女の余計な言葉にカチンと来た白谷は、7組どころか学校中に聞こえるような大声で怒鳴った。クラスどころか、近くの廊下を歩いていた人らまでも何が起こったのかとその光景を見つめる野次馬に変身し、蝟集して熱い視線を送る。教室の中より、廊下の方が騒がしいくらいに。

 しかし、彼女の方はまったく気にしていないか聞こえてないかのようににこやかな表情をミリ単位も変えていなかった。むしろ、その余韻ですら楽しんでいるかのように笑みを浮かべている。

 教室の中は固唾をのんで見守っている7組所属の生徒たちの中で、白谷の、怒りを源泉にした荒い息遣いだけが音のすべてだった。

「気に障ることを言ったのは謝ります。ここ(2-7)に来たのはお二人に謝罪とお願いがあって来たのですが」

「俺は会う理由がない」

 遠野の言葉に白谷は即座に否定の答えを返す。先日の襲撃の被害者である黒瀬も、彼女の顔はおろか、声すら聞きたくないかのようにそっぽを向いている。

「それでもこちらから言わせてもらいます。先日はお二人にご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。以後、自分の感情をもっと上手くコントロールしてご迷惑をおかけしないように気を付けていきます」

 まるで謝罪会見という名の劇の一部を見ているかのように、そして主演女優の様に、遠野はよどみなく多分マトモに訊いてもいない二人に対して謝罪の言葉を述べた。言葉の終わりに彼女は深々とお辞儀をする。表向きは非の付け所がないものだった。

「そこでご提案ですが、期末試験が終わったらお詫びとしてお二人を駅前フルーツ店のパーラーへご招待したいと思いますがどうでしょうか」

 駅前フルーツ店のパーラーという言葉に二人を除いた2-7のクラスメイトが幾ばくか騒めきだした。

 駅前電車通りに店を構える、福井でも昔からある百貨店の前にある老舗のフルーツ屋は2階がフルーツパーラーになっているのだが、"値段が安いものでも4ケタから"という高校生にとってはおいそれと行きづらい位に値段が高い。客層は"ご婦人方"と言われそうな品のいい妙齢の女性がメインで、当然いいものを使っているためだが、そこで奢るというのはどれだけ金持ってんだって思われかねない。

 周囲の野次馬や他のクラスメイトからは俺が行きたいや俺を招待してくれと言った妄想の類がぽつぽつと飛び出るなか、当事者の二人は表情を一切変えずにやり過ごすように沈黙を保っている。

「まあ、今すぐ返事が欲しいというわけではないので、ゆっくりとお考えくださって返事をいただければ」

 遠野はそう言うと二人の反応を待たずに軽くお辞儀をして踵を返した。周囲の注目が彼女を視界外になるまで追いかけた後、野次馬たちは祭りの後の様に三々五々自分の目的を思い出して普段の空気が再び支配し始めた。

「…駿、行くの?」

「行くわけないだろ。何して来るか判らん」

 視線を合わさず、黒瀬が白谷に呟く様に訊くと、幼馴染は似たような口調で否定した。

「だいいち凄い改まった口調でいきなり言われても、なんかあると思うだろ普通」

 修学旅行時や襲撃時のシーンを思い浮かべながら、白谷は疑惑100%の視線を彼女が通過した空間に投げつけた。


 ──遠野が来たのはその時ばかりではなかった。ほぼ毎日、時間はバラバラながら二人の前に現れて顔を出し、どうでしょうかと訊きに来る。最初の内は拒絶していたが、試験が終り、残す二学期の行事は終業式のみとなった12月の半ば頃──この日も、隣のクラスの彼女は顔を出してきた。最初あれだけクラス中の空気が固まるような雰囲気が、もう慣れてしまったのか入ってきても誰も関知していない。

 当事者の二人を除いては。

「…わかった。行けばいいんだろ?」

「──ありがとうございます」

 下手すると年を越しても同じ事の繰り返し…そう思った白谷はとうとう音を上げた。顔には仕方なさを前面に押し出して、これっきりだからな、と追記しそうなくらいに。

「黒瀬さんはどうですか?」

 遠野は黒瀬の方を向いて問いかけるも、幼馴染は視線すら合わす意思が無いことを行動で示していた。

「わかりました。黒瀬さんは不参加ということで。じゃあ21日の土曜日、学校が終わったらフルーツパーラーに3時でいいですか?」

「…かまわんよ」

「ありがとうございます」

 白谷のぶっきらぼうの成分が8割を占める位の返答を、嫌な顔もせず遠野は表向き評判の高いかわいらしい笑みを浮かべて一礼をして、その場から自分の教室へと戻っていった。

 ──"ああいうこと"が無ければ、舞い上がって喜ぶだろうなぁ…彼女が視界から消えた後、白谷は後ろの席のもう一人の当事者でもある幼馴染の方を向く。

「行かない?」

「自分は嫌」

「あそこのフルーツパーラー、前に行きたいって言ってなかったっけ?」

「いつの話よ。それにあの子がいるんじゃ楽しくない」

「…まあそうだな」

「ま、せいぜいミイラ取りがミイラにならない様に」

「…どういう意味?」

「あんなことあったのにあの子に取り込まれない様に、ってこと」

「心配してんのか?」

「何言ってんの。駿が次に誰とくっつこうとどうでもいいけどあの子と付き合うのだけは隣人としては嫌、ってこと」

 後席の幼馴染は白谷に視線を合わさずに窓の外を眺めたまま話を続けた。無表情でさながら自動的に応答しているように見える彼女だが、言葉の端々に彼女自身の感情がこれでもかと乗っているように、白谷には思えた。

「──了解」

 何だかんだで心配してるんじゃねーか…相も変わらず視線を合わさない幼馴染に白谷は暫くジト目を向けた後、何気なく教室の古ぼけた天井を見上げた。

 ──何事もなく終わってくれればいいけど──遠野への疑惑が払拭出来ていない現状では、未来の出来事に対して白谷はそう思わざるを得なかった。


 雪は道路の所々に、黒いグラデーションの化粧を纏って陽の光を受けてアスファルトのあちこちにわずかな水の流れを象っていた。翌日から再び冬型予想の天気が告げられている土曜日の午後、学校から帰った白谷は半分気乗りしない気分に覆われながらよそ行きの服を着こむ。

「…こうも気乗りしないデート、っつーのもなぁ…」

 デートと言うのは好きな子と一緒に行動してワクワクドキドキしてその時間を楽しむことなんだが…夏の時期、赤城(かのじょ)がいた頃の記憶と今現在が微妙に白谷の頭の中でカットバックしている。

 片や、色褪せ気味で低コントラストの"記憶"として。

 片や、今見ている自分自身の視覚から得られる天然色の"現実"として。

「…しゃーねーか」軽くため息を一つついた白谷は、帽子掛けに掛けてあった、牛をモチーフにした在阪球団の野球帽をかぶって歩き出した「それじゃ、行きますか…」

 部屋を出ると、隣の家の2階部分が見える窓が目に入る。お隣さんの家の窓は12月とは思えない陽気のせいで開いてはいたが、人影は見当たらなかった。そのまま階段を下り、玄関で紺に近い青色をしたトレッキングシューズを履く。

「それじゃちょっと行ってくる。夜には戻ると思う」

 居間にいる親へと玄関からそこそこの大声で言うと、気を付けてねーと何処となく間延びした母親の声が聞こえてきた。それを聞きつつ玄関を出て、ちょっとした和風のアプローチを通って道路に出て──視界の端に何か存在していることに気づいた。行き足が一旦止まる。

「…結衣」

 振り向いた先には、部屋着としてのヨレヨレのスウェットに様々な色の布を貼り合わせたかのような手作り感満載のドテラを羽織った黒瀬が、素足でつっかけを履いて腕組みして幼馴染を値踏みするかのように鋭い視線を送っていた。

「おめかしして…これからあの女とデートでしょ?」

「まあ、あれだけしつこく来られたらなぁ。1回行けばもうそうならんのじゃねーの?」

「どうだか。前にも言ったけど、ミイラ取りがミイラにならない様に」

「…なあ結衣、それって言うのなんか変じゃね?」

「何で?」

「何で、って…何か浮気するなって言ってるみたいで」

「なっ…何言ってんの!幼馴染が因縁の相手と会うんだから心配になって言ってんでしょうに!」

 そんなムキになって喚かなくてもいいのに、と幼馴染にジト目を向けた白谷は心の中で彼女にツッコんでいた。その勢いのまま黒瀬に冷静に問いかける。

「そもそも結衣はもう恋しないって言ったんだから、俺が誰と会おうとどうでもいいんじゃ?」

恋愛(それ)とは関係ない!とにかくトラブル起こさないで帰って来い。何かあったら面倒なことになるだろうし」

「大丈夫だって。パーラーでおごってもらって少しブラついたら帰るだけ」

 白谷はちらっと左手首に付けた黒いデジタル時計に視線を落とした。もう10分ほどで駅に福井行の電車が来る。

「そもそもなんで襲撃してきた相手におごってもらうのよ。いくら謝罪のためとはいえ──」

「結衣」まだ長く続きそうな黒瀬の演説を白谷は言葉の斧で切断した「もう時間だから行くよ」

 幼馴染にそう言われた黒瀬は、もうそれ以上言葉を続けることが出来なくなった。心配そうな目をしつつ、それからは何も言えずに踵を返して駅へと向かう彼の背中を見つめるだけだった。

「……」

 諦めたかのように黒瀬は何かを引きずるような足取りで目の前の家へと戻って行く。そしてその足が、一旦玄関の直前で止まった。

 漠然と自分の足元を焦点が定まらない目で見つめ、何かを考えている彼女。しかし、すぐかぶりを振ると、いつもの動きに戻ったようで、手早く玄関の扉を開けて中へと入っていった。


 24日の火曜日。学校内は明日が2学期の終業式ということで短いながらもイベントが多い冬休みを心待ちにしている生徒で満ちている。その中を、遅刻気味のタイミングで白谷は教室へと入ってクラスメイトに挨拶をして──しかし、その直後、彼は教室の空気が何か変な事に気づいた。

 いつもならおはよーなどの挨拶が声で帰ってくるはず…なのだが、この日はそれらしい声が返ってくるどころか、教室内の話し声が彼の登場と同時に一斉にフェードアウトして一時無音に包まれた。

 クラスメイト、その中でも特に幼馴染の友人3人──灰屋、青野、紫野の視線が強めどころか、それで人を殺しそうな勢いで睨んでいる。その近くには白谷の友人3人──黄谷浩市(きや こういち)深緋英明(ふかひ ひであき)紺野和博(こんの かずひろ)の姿も見えるが、彼らの目線は彼女らとは違い、むしろ軽蔑の感情を含んだもののように、彼には感じられた。

「…な、何?何でにらむ?」

 意味が分からず状況を理解できていない白谷が思わず後ずさるような姿勢で言葉を絞り出す。その問いへの答えは提示されなかった。

 やがて他のクラスメイトはもう興味を失くしたかのように再び自分らの会話に集中し始めたが、その3人は腰が引けたようなおっかなびっくりの姿勢で自分の席へと歩み寄る白谷の姿を目で追い続けていた。

 白谷は、自分の後ろの席の幼馴染を見た。黒瀬は、彼との視線を合わさず、挨拶もせず、ただ時間つぶしの為だけに窓の外を見ているように見えた。

「結衣、なんでみんな俺見てるんだ?」

 こうなったらもう頼りにできるのは幼馴染だけだ、と言いたげに心細い白谷は視線を合わさない黒瀬に訊いた。しかし反応は梨の礫に等しかった。

「白谷くん、いくら彼女がいないからって女の子をオモチャにするって酷くない?」

 半年ほど前の言い合いで一触即発直前まで関係がこじれていた青野が、その事を思い出したように語気を強めて白谷に言い放つ。オモチャ?どういうこと…?と何のことだか全然思い当たる節がない白谷が答えを探そうと目を泳がせている所へ、今度は紫野が、

「春ちゃん、白谷くんに"もてあそばれた"って言ってたよ。土曜日デートしてたんでしょ?まさか…」

「何の話だ!俺彼女に何もしてねーよ!フツーにパーラーでパフェ奢ってもらって中央公園まで話しながら歩いてその後買い物手伝ってそれで終わって解散しただけだ!」

「じゃあ何で春ちゃんそんな事言うの?」

「俺は知らないって…」

 勘弁してくれよ…と白谷はその表情で言葉を代弁した。紫野は白谷がそう言っても心底信じていない様に疑問の目を向けて来る。少なくとも半分は。

「紫野さんや…遠野さんはいくら友達でも結衣や俺を襲ってきたんだから、もうちょっと俺の言う事聞いてくれてもいいんじゃないかなぁ」

「うん…それは判るんだけど、でも白谷くん学校祭の時にここで彼女とえっちなことしてたでしょ?だからそう言う事もやりかねないと…」

「それはその時彼女だからであって…遠野さんとはそんなことは絶対ならない」

 あの時の話を持ち出されてそれまでの口調が一転おとなしめになって語尾があやふやになって行く白谷。少し怒ったかのように紫野さんから目を逸らす。

「どうだか。男って女ってだけで見境ない時もあるし」

「青野さんや、そこまで俺って野獣じゃねーぞ」いい加減にせーや、と言いたくなるような口調で青野のツッコミに反論する白谷「それ言ったら青野、彼氏の深緋はどーなんよ」

 しかし青野はツッこまれても半信半疑どころか白谷をほぼ容疑者扱いしている表情と目線で見つめていた。その表情が勝ち誇ったような上から目線のモノに代わると、彼女は近くにいた深緋の所まで歩みよって得意げに彼と腕を組んで、

「あら、英ちゃんは紳士だよ。こう見えても。白谷くんと違って」

「そっちこそ信じられん…」

 女子がいない所で率先してエロトークしてる深緋が紳士だと!?白谷は友人3人がいる方へと目線を向ける。3人は俺達はお前とは違うぜと誇るかのような、どうだと言わんばかりの顔で平然と友人を裏切っていた。ましてや、彼女と並んで見下すような視線を白谷に投げかける深緋の顔は癪に障るどころか弄っているに等しい。

 お前ら後でおぼえてろよと視線を投げかけた白谷は黒瀬とその友人3人に目線を戻す。最初からは幾分緩和されたようには見える疑惑は、それでもまだ残ってるように白谷には思えた。

「…とにかく、俺は何もやってない。ただ遠野さんについてっただけだ。結衣、何か言ってくれよ黙ってないで」

 それまでずっと白谷から視線を外すように外を見ていた黒瀬が、姿勢はそのままで左手で顔を支えながら目線だけを彼に向けた。ただし、ジト目で。

「自分は言ったわよ。ミイラ取りがミイラにならない様にって。勝手にミイラになっておいて何言ってんだか」

「お前なぁ…こういう時に幼馴染っつーのは助け船出してくれるもんだろうが」

「そんな法律何処にもないわよ。自業自得じゃない」

「結衣、頼むから──」

「自制心がない男は野獣と一緒。自分もう知らないから」

 そう言って黒瀬は視線を再び外へと向ける。見えないバリアを張ったかのように、無表情で幼馴染を切り捨てていた。

「結衣がそう言うなら間違いないら。白谷くん、ホントは遠野さん嫌がってても内心興味出て手出したんだら?」

「だぁかぁらぁ…」

 それまで黙っていた灰屋がぼそりと結論付けたようなしたり顔で判断を下してきた。青野と紫野も灰屋に追従するように相槌を打つ。白谷はどうしたら彼女らを納得させられるのかと悩みあぐねていたその時に、

「白谷先輩、おる?」

 クラスメイトじゃない女の子の声が教室に行き渡った。声の発生源たる後ろ側の出入り口には、1年生の女子生徒──元彼女である赤城真由(あかぎ まゆ)の友人の青葉彩(あおば あや)が、写真屋さんで貰う写真を入れる細長い封筒の様なケースを持って佇んでいた。一斉に彼女の方を見たクラスメイトの中から白谷の顔を見分けると、しつれーしますと言って自分の教室の様に足を踏み入れて最短距離で白谷が座る机へと向かってきた。

「青葉さん、どうした?」

「白谷先輩、土曜日中央公園におった?写真部の作品撮りで街中うろついてたらこんなん撮ったんだけど…」

 青葉がそう言って紙封筒から出してきた白黒写真には、公園のベンチに座る一組の男女のカップルが写っていた。ちょっと望遠気味で撮ったらしく、体は平行に座っていても上半身は捻って向かい合うように重なって写っている。手前の人から手が奥の人へと伸びていて、それはまるで肩を抱き寄せて──キスしてるように。

「これ、白谷くんの後ろ姿だら?」

「相手は春ちゃんですわ、この髪のボリュームは」

「…ということは確定だな。この女の敵め」

「ちょっと待て!俺は何もしてない!手をつないでもないのにキスなんて出来るか!」

 罠に嵌められた哀れな無実の人の様に白谷は潔白を叫ぶも、食い入るようにその写真を見つめる灰屋と紫野と青野の3人が疑いという言葉を外して女の敵という言葉を白谷に新しく定着させた。軽蔑の視線×3人分が彼に突き刺さる。

「…というよりこんなことしたっけ?ベンチに座ってたのは覚えてるけど…。青葉さんこの写真ってどういう…」

 全く思いもしなかった方向からの攻撃に、白谷は誰から見てもうろたえて浮足立ってる様にしか見えなかった。必死にあの時の状況を思い出し、青葉に経緯を問いただすのが精いっぱい。

「うーん、公園スナップしてたらええ感じのカップルおったから撮った。後で現像したら何か白谷先輩っぽく見えるなぁ思って」

「青葉さん、誰かから俺を撮れって依頼…されてないよ…ね?」

「そんなんあらへんあらへん。ただの偶然や」あっけらかんと白谷に答える青葉のその表情にはウソの成分は検出されなかった「でも白谷先輩、真由と別れたと思ったらもう彼女出来たんか。モテる男はちゃいまんなぁ」

 皮肉ともとられそうな言葉を関西系の言葉と無邪気さで刺し障りなくさらりと白谷に言い放つ青葉。本当は青葉に文句の一つでも言いたい白谷だったが、その雰囲気にあてられたのか時間と共に減衰していくのを感じた。

「ほな、もう授業始まるさかい、うち、教室に戻るわ。先輩、新しい彼女と仲良くな~」

「だから違うって!」

 手早く写真を片つけると青葉は来たときとは真逆に足早にその場から白谷へのエール?を送りながら教室から立ち去って行った。白谷は改めて否定するも、青葉の無邪気さというバリアの前にその言葉はあっけなく弾かれる。

 教室を出た青葉の後ろ姿から白谷は再び黒瀬と灰谷達3人に視線を戻した。幼馴染は我関せずとそっぽを向き続け、3人は様々なマイナスの感情を込めて白谷をねめつけている。

「…俺は、何もしてないっ!」

 白谷は、そう言うのが出来ることのすべてだった。語尾に被るように、授業開始のチャイムが校内に鳴り響く。


 遠野に文句の一つも言いたかった白谷が彼女とようやく顔合わせできたのは、その日のお昼休みだった。勇躍隣の教室(2-8)へと乗り込んだ白谷は友人らとおしゃべりしている遠野を見つけると、8組のクラスメイトが注視する中、床を踏み鳴らすかのように彼女の机へと歩み寄る。

「遠野さん!どういう事や!」

「あら白谷くん。次のデート何時にするの?」

「ふざけるな!根も葉もないうわさ流して何企んでる!」

 怒りに身を任せている白谷をいなすように遠野は表向きの笑顔を貼り付かせて彼を迎撃する。遠野の友人らは白谷の姿を見ると「ほらあの人」「ひどい人だよねぇ」とすっかり遠野の言葉を信じ込んでいるよう。

「でもデートして私を『もてあそんだ』のは事実でしょ?」

「そう言う言い方やめれっつーの。フツーにデートと言うか街中うろついてただけじゃねーか!どっちかって言うと逆だろ?」

「そんなに私といるの楽しくなかった?パーラーでパフェ食べてる姿、ずいぶんとお楽しみの顔してたように見えたけど」

「それは…そりゃあ食いもんの事だし奢りだし…」

 実際フルーツパーラーでおごりのパフェは美味しかった。憧れている店の高級フルーツをこれでもかとのせて出してくるパフェの上に自分の懐が痛まない奢り──これ以上の何かを求めるのは間違っているんじゃないか、と断言してしまってもいいほどだった。

「中央公園でベンチに座ってる時に白谷くん私に顔寄せてきたわよねぇ。ああいうことしておいて…」

「いやそれは首筋に何かついたから見て、って言われて仕方なく見たんだろうが…」

 白谷はそこまで言った瞬間、朝方の青葉のあの写真を思い出した。

 ──そうだ、何か首の後ろについたっぽいから見てって言われたんだった──この瞬間撮られたのか…何つータイミングの悪さだ。彼は自分の間の悪さに頭抱えそうになった。

「とにかく、そう言う言い方はやめてくれ。俺は遠野さんとは付き合ってもないし、基本的に何の関係もない。この前は以前の事の謝罪も兼ねて、という事だったから付き合ったまでで、俺は続ける気はない!」

 白谷はこれ以上の話は無益と判断して、やや強めの口調で幕を引こうとした。そして自分の考えを相手に押し付けて帰ろうとした時──白谷の視界に遠野の悲しげな表情が目に入った。

「…なっ…」

 言葉の先頭が喉元で衝突事故を起こしたのか、押し出された言葉の欠片が口をついてこぼれる。

「わたし、こんなに以前の事で謝ってるのに…仲良くなりたいって思ってるのに…」

 遠野は両手で顔を覆って時折言葉を詰まらせた。言葉が次第に泣きの湿度を帯び始め、それにつられて彼女の友人はもとより、周囲の8組のクラスメイトらが彼女にそうさせた白谷に刺す様な目線を集め始める。いつの間にか8組の教室内は遠野の鳴き声しか聞こえなくなっていた。

「あ、あの…遠野さんそこまで泣くことは…」

「たしかにあたし二人に酷いことしました。だから反省してるのに…そんな言い方ないでしょ」

「言い過ぎたなら謝るけど…」

 白谷は彼女にそう言いつつ、周りが気になって見渡した。視線の集中がやけに痛い。

「──ともかく、この前はありがとう。パフェ美味しかったし、遠野さんの見えなかった一面も見れて楽しかったし…だから泣かないで」

 集中する視線に言わされているかのように白谷は半ば焦りながら言葉を彼女に伝える。それが通じたのか、彼女の感情が少しづつ穏やかなものになってきた。

「それじゃ、ありがと──」

 とりあえずこの場を収めた、そう判断した白谷はそう言って8組の教室から逃げ腰で退出していった。8組の多くの級友たちは出口から彼の姿が見えなくなるまで目線で追いかけてゆく。見えなくなると、今度は遠野の方へと目を向ける。

 彼女は顔を覆ったまま、しかし泣きの湿度は次第に収まってきたようで今は落ち着きを取り戻している…ように見えた。友人が彼女の慰めの言葉をかけている。

「…ありがと」

 遠野は言葉をかけてくれた友人に言葉を詰まらせながら感謝を伝えた。そして、友人やクラスメイトからは見えないよう──その口元には、周りがそう思っている感情とは異質の歪みがわずかだがこぼれていた。


「……」

 少し離れた席で、緑川が手元の文庫本に目を走らせつつ、適度な所でその光景を横目で時折見ながら観察していた。

 彼は彼女の口元の歪みには気づいてはいなかったが、他のクラスメイトとは違って、何処となく作為的なものを感じ取っていた。元々は彼を巡っての出来事なので、当事者でもある。

「緑川さんよ…」

「どうした?梅田」

 遠野に視線を向けたまま、梅田が緑川の席の近くまで寄ってきた。座席の主に無断でお尻をひっかけるようにして机の天面の一部に体重を預ける。

 梅田は当然一部始終は見ていたが、彼は当事者の緑川と違って他のクラスメイトと似たような感情を覚えていた。

「隣のクラスの白谷って酷い奴だな。言い訳ばかりして」

「さぁ…な」

 梅田の問いかけにはすぐに反応しなかった緑川。何処となく何かありそう、と思わせるような沈黙の後、含みを持たせた、ある意味まだるっこしい言い方で答えを返した。

 梅田はそれが引っかかったのか、遠野から目線を椅子に座っている緑川に移してまだるっこしい言い方の真意を訊こうとした。

「…何か意味ありげな間があったんだが…」

「一応、何度か話したことはあるけど」再び遠野を横目でちらっと見る「そこまで酷いことする、って感じじゃなかったなぁ」

 読みかけの文庫本を閉じると、緑川は机に伏せて思い出すように視線を泳がした。

「でもああやって遠野を泣かしているし」

「…実際はどうなんだろう。僕はちょっと…」

「ちょっと?」

「…彼女を全面的に信用してない」

「遠野さんが悪いって?泣かされたのに?」

「女の子だって人間だ。打算もするし、悪巧みもする。男と変わらないと思うよ」

「…随分奴の肩持つんだなぁ」

「"当事者"だったからな…そうじゃなかったらお前と同じ感想持ってるよ」

 ちら、と机に腰かけている梅田を上目遣いに見上げる緑川。梅田は、彼のレンズ越しに見上げられている視線にどことなく冷たさを感じていた。"当事者"故の冷静さ、というべきか…。

「それはそうと梅田、遠野が謹慎中に持ってったノートはあれでよかったんだろ?」

「あ、ああ。判りやすいって遠野さんが言ってたよ」

「そうか。それはよかった」

「なんだ、半分嫌がってたくせに」

「そりゃあそうだろ、時間とられるし"当事者"だし…」

「じゃあ何で監修引き受けた?」

「成績優良者が脱落していくと張り合いが無くなるからな。僕のモチベーション維持のためにも、遠野には現状のレベル維持してもらわないと」

「呆れた。結局は自分の為かよ」

「"当事者"だったからな。それくらいは補償してもらわないと」

 再び梅田をレンズ越しに見上げる緑川。さっきと違って、成績が凡庸な梅田から見て彼の口元が嫌らしく歪んでいるのが見える。

「…頭いい奴の考えてることはよく判らん」

 俺には理解できない世界だわ、と両手でお手上げのポーズを取った梅田は、緑川の机から腰を上げてもうすぐ始まる5時間目に備えるために、自分の机へと戻っていった。

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