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ママ(♂)になるためには、第8歩

ブックマーク・評価・いいね、ありがとうございます。作者の性癖と趣味をひたすらに詰め込んでいる作品ですが、皆様に読んでいただき本当に嬉しいです!

 扉を開いたら、フリルが溢れた子供部屋だった。

フリルの間に子供が二人、床で寝そべりながら絵を描いている。

「ユウ。それから、アラン。お客様ですよ」

 アズールに呼ばれ、近くにやってきた子供にあわせて腰を落とす。一人は短髪で半ズボンを穿いている男の子とわかる。ルーカスと同じくらいか。

 もう一人は、……外見だけでは判断かつかない。長髪で、ゆったりとしたスカートをはいているから女の子…か?いや、それにしては、女性らしい丸みがないような。報告では、14歳だったばすだが。

「ルイ。この子が聖女のユウ。こちらは、息子のアランです」

 アズールが長髪の子をユウと短髪の男の子をアランと紹介する。名前さえ、中性的じゃないか!

「はじめまして。旦那様。ユウともうします。」

「はじめまして。アランです。宜しくお願いします。」

「初めまして。ルイと申します。こっちは息子のルーカス。寝ているけど、ミッシェル。乳兄弟のジルです。二人ともよろしくお願いします。」

 私の言葉にあわせて、ルーカスとジルが頭を下げる。ミッシェルは寝てるから省略するとして、挨拶が終わった所で、アズールのほうをみる。

「ルイ。やはり、お茶の席が必要なのでは?」

 相変わらず察しが良すぎるアズールの提案に今度は従う。


 ルーカス達に一緒に遊んでいなさいと言って、私達は部屋の隅のテーブルで仕事の話しを始める。まず、一番大事な事の確認。

「女の子でいいのか?」

「男性器がないので、そうでしょう。まぁ女性たる子宮とないので、微妙な所ですが」

「……はい?」

 アズールの爆弾発言に、固まる。何それ、初耳。

「彼女、ユウは孤児だと報告しましたよね?」

 それは聞いている。地方の田舎町で孤児のユウが禁忌呪文の一つである転移魔法らしきものを使っている所を教会が保護したと。

「その時に、誰かに盗られたのか、もしくは食い扶持を稼ぐために売ったのか、私達が保護した時に既に子宮があったであろう場所が綺麗に転移されて(なくなって)いました。」

「それで、()()()転移できると」

「確認中ですが、今のところ、規模や距離、対象物に限らず文字通り何でも可能ですね」

「それは――」

「ヤバい奴ですね。いっそ王道の治癒魔法とかだった良かったのに」

 そう、ジルの言う通り本当にヤバい奴だ。元々、転移魔法など国家の安全を脅かす魔法や魔術は緊急事態を除き使用を制限している。それなのに、何でもとなると、…上司達が頭を抱える様子が想像できる。

「まぁ、とりあえず、物は試しだよね。アズール、先に連絡していた件だか」

「はい。…本当にやるのですか?良くジルが許しましたね」

「命令ですので……いっそ俺が引き受けたいです」

「おや、流石、忠犬。主の意志を尊重しますか」

「アズール」

「はいはい、すみません。そんなにカリカリしないでください。ルイ」

 ジルをからかう様子のアズールを咎める。もう、本当にこの人は、昔から、時折こういう風に面白がっては、楽しむ。悪い癖だ。

「さてと、ユウを呼びましょうか。一応、先に説明はしてます」

 と、アズールが向こうで子供達の中からユウを呼ぶ。あ、ミッシェルは起きたのか、ルーカスにくっついている。朝からジルと大乱闘を繰り広げて消耗した体力は戻ったようだ。

 さて。

 椅子から立ち上がり、こちらにやってきたユウの手をとり片膝をつく。

「レディ。アズールから説明されていると思いますが、改めて私からお願いを」

「はい…」

「私の可愛い息子達の身体には、沢山の傷があります。どうかその傷を私に移して頂いても宜しいでしょうか」

「は、はい…あの、でも、そうしたら、貴方が傷ついちゃう」

「レディはお優しいのですね。ですが、これは私の贖罪です。大切な家族を守れなかった自分自身への。だから、どうかこの情けない男の願いを叶えてくれませんか」

「は、はい。もちろん、です。だんな、様」

「旦那様など、とんでもない。どうぞルイと、お呼び下さい。レディ」

「はっはい。……ルイ様」

「ありがとう、レディ・ユウ」

 あくまで、紳士に丁寧にお願いをする。例え彼女が平民だろうと孤児だろうと関係ない。一人のレディとしてお願いをする。が、なんかユウの顔が赤くなってきてないか。これ大丈夫なのだろうか。

「本当にルイは、良い意味で貴族の紳士ですよね。大丈夫ですよ、ルイ。ユウは耐性がないだけですから」

「天然人誑しめ」

 大丈夫ならいいんだ。それよりも、ジル、それは悪口か。

「褒め言葉ですよ。旦那様」

 なら、良いか。

本編で語るほどではない補足。

転移魔法は、それさえあれば国家機密だろうと王様の所だろうとどこへでも行けるので、暗殺し放題、機密抜き放題という、国とって最悪の魔法です。よって、禁忌魔法として国全体で使用を制限してます。

そして、教会は宗教という面においての役割とともに、今回のユウのような国とってヤバい案件をすべて聖女や奇跡と誤魔化して管理する役割を持つ組織です。所謂、国の暗部を担っています。国家と教会の関係はズブズブの依存関係です。

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