その後のサーガ
前回のあらすじ~
「クロム…」
「お母さん…」
「俺結婚してるんだわ~。じゃあね~」
「あん? ここは…」
気がつくと白い空間で転がっていた。
「ああ! 最初の所か?」
確かあの世界に落とされる前に訪れたのがこんな所だった気がする。
キョロキョロと辺りを見回していると、
「サーガさん。ご苦労さまでした」
と声をかけられた。
振り返って見れば、そこにはあの時の女神が立っている。
「なんかよく分からんけど、仕事は終わったみたいだな」
「仕事…。はい。貴方に課せられたお役目は終わりました」
女神がにっこり返す。
「んなら! もちろん報酬はもらえるんだよな?!」
サーガが舌なめずりをする。今にも女神に飛びかかって来そうだ。
若干身を引きつつ、女神がにっこり答える。
「そうですね。こちらの方のお許しがもらえたなら」
「こちらの方?」
女神がすっと体を引くと、そこには赤髪の、ちょっとつり目のボンキュッボンの女性が立っていた。
「サーガ~…」
地獄の底に響くかのような声を発し、ゆっくりとサーガに近づく。
「ぴえ! メリンダ?! なんでここに?!」
あわあわとサーガが後退る。
「喚ばれたのよ~。あなたのご亭主がちょっと無理難題を言ってきて困ってるんですって~」
サーガが青ざめる。
「ちょ! メリンダ呼ぶなんて卑怯だぞ!」
「このアホ! 異世界の女神様を困らせてんじゃない!」
ゴチン!
「いってえ!」
体がないのに何故痛いのか、などという高尚な疑問を持つことなく、痴話喧嘩が始まる。
「だいたい死んだ後は風になるからあたしたちの側にいるとかほざいてなかった?!」
「連れ去られるなんて思ってねーだろ!」
「記憶を失ったからって随分楽しんだようじゃない?」
「ギク! なんで知って…」
「なんでさっさとあたしの事だけでも思い出さないのよ!」
「し、仕方ねーじゃん! 覚えてないんだもの!」
ぎゃいぎゃいぎゃい。
放っておいたら何時までも続くかもしれない。そう思って恐る恐る女神が声をかける。
「あの~。とりあえずその辺にしていただけますか?」
「あ! す、すいません!」
赤髪の女性、メリンダが女神に向かってペコペコ頭を下げる。
「すぐこいつ連れて帰りますから」
「え、報酬まだもらってないんだけど…」
「やかましい! …あっちに戻ったら、あたしがご褒美あげるわよ…」
サーガが目を見開いてメリンダを見る。よく見ればメリンダの顔が赤くなっている。
「え…。うわあ、姐さんが可愛いこと言ってる…」
「姐さん言うな! 珍しく人の役に立ってるから褒めてやろうと思ったのに」
「珍しくって…。俺いつも人の役に立ってるよ?」
「…がめつく報酬を求めてるでしょう」
「仕事に対して報酬を求めるのは当然でしょ?」
メリンダが溜息を吐く。
「とにかくすいません。このバカがご迷惑おかけしたようで」
「いえいえ。お役目はしっかりこなしてくれたので」
ペコペコペコペコ。どこぞのおばさん達のお礼合戦になっている。
「なんで仕事きちんとこなしたのに怒られるんだ?」
ゴチン
「痛い」
「あっちに戻ったら、ナニをしたのか、ゆ~っくり聞かせてもらいますからね?」
「き、キオクニゴザイマセン…」
メリンダに引き摺られて、サーガ達は元の世界へと帰って行った。
「良かった。あの女性を喚んでおいて正解だったわ…」
女神アルカディスはホッと息を吐いた。
「あちらもそろそろ終盤かしら?」
女神が遠いところを見るように目を細めた。
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