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サーガとクロムの異世界譚  作者: 小笠原慎二
本編
39/81

見送り

前回のあらすじ~

「依頼キャンセルします」

「キャンセルするんですか?」

「はい。します」

「本当に本当にするんですね?!」

「はい…?」

「飾りだと思ってたわ…」


街中で時折見かける獣耳や尻尾をつけている人がいたのはサーガも目にしている。何かのファッションかと思っていた。


「断りもなく突然尻尾などを触ったりしたらいけないよ? 尻尾に触るのは余程気心が知れた人か番として認めた相手のみらしいからね。下手に触ると怒られるからね」

「肝に銘じておく」


本当かよ。というツッコミは置いておく。


「で、その連中の話だけれど、ギルドでは扱いきれない話しになっているね」


ギルドは一応どの国にも属さない機関ということにはなっている。


「うん。だから伯爵家に連絡はよろしく!」

「どうして君が行かないんだい…」

「面倒臭い!」


また勧誘されても嫌だし。


「当事者の君が行った方が話しが早いだろう」

「面倒臭い!」


面倒臭いで済まそうとしている。

ヤンが頭を抱える。この調子だと行けと言っても素直に行かなそうである。ならば自分が行った方が早いかもしれない。


「分かったよ。私から話しを通しておく。その代わり、君はランクアップ出来そうな依頼を受けておくこと! それでいいね?!」

「ん~、まあそれならいいか」


Cから何故か中々上に上がらないサーガ。フシギダナー。

サララと共に部屋から出て行く。その姿を見送った後、ヤンは溜息を吐いた。


「聖教国は勇者を選考していると聞いたけど。麻薬と何か繋がりがあるのか? 聖教国がなんで麻薬を? 亜人に広めるならまだしも確か麻薬が確認されているのは亜人だけではなく只人もいたよな。となると聖教国ではなく帝国? それとも魔族関連?」


サーガには長くなるので話してはいないが、魔族がこの大陸に攻め込んで来たこともある。逆に人族が魔大陸に攻め込んだこともある。海を隔ててとなるのでなかなか攻め込むのも難しく、お互いに痛み分けのような状態となっている。今では和解も進み、特に亜人と蔑視されるようになった獣王国と貿易するようになっている。

帝国は人族至上主義的な雰囲気があるので、魔族とは今でも仲が悪い。

近年、魔族のなかで魔王と呼ばれる存在が数十年振りに現われたので、また人族の大陸に進軍してくるのではないかと噂されている。その為聖教国が勇者を選出しているらしい。


「何時の時代だって、戦争なんて起きて欲しくはないんだけどね」


ヤンは書類を片付けながら、伯爵家に面会の約束を取り付けるために人を呼んだ。














「よ。待ってた?」

「一応一言礼を言ってからと思ってたし」


手続きはもう済んだのか、待合の椅子に座ってファーレが待っていた。

ぴょこんとファーレが立ち上がり、サーガに頭を下げる。


「私みたいな子供の、無茶な依頼を受けてくれてどうもありがとう」


なんと礼儀正しい子なのだろう。サーガも見習うがいい。


「まあね。美味い飯はなかったけど、温泉で癒やされたし、そこそこ稼げたし。まあいいってことよ」

「温泉? そういえば毎日温泉の臭いがしてたような…」

「さて、ほれ見送ってやるから。帰りは乗り合い馬車で行けよ」


無理矢理話題を変えるサーガ。


「え? でもお金が…」


皆から集めたお金を使うわけにはいかない。


「それくらい奢ってやるって。また馬小屋で寝てから朝一で歩いて帰るつもりだったんか?」


つもりだった。


「さすがに俺が往復するのは疲れるからな。今回報償金がもらえたのもお前と会えたおかげだし。情報料ってことで馬車代奢ってやる」


とファーレの背を押しギルドを出ようとする。


「サーガさん! 依頼は?」

「この子見送って来てから考える~」

「ちゃんと受けて下さいよ!」


サーガが手を振り、ギルドを出ていった。


「今のうちに良さそうな物選んでおかなくちゃ…」

「気合い入ってるわねサララ…」

「だって、実力があるのに未だにC止まりで、なかなか依頼を受けないし、受けたと思ったらこんな風になっちゃうし。やる気がある内にランクアップさせないと!」


手綱さえきちんと取れれば、いい姐さん女房になるのかもしれないとミーヤは密かに考えた。ただ、そのサーガの手綱がどこに付いているのかが分からない。

その時、ギルドに人が入ってきた。













「これやる」

「え? でも」

「いいのいいの。もう1つ手に入ったから。同じ物2つもいらない」


ランタンをファーレに手渡す。


「本当にいいの?」

「ああ。使い方だけど、明かりの付け方は分かるよな? んで、その燃料というか原材料というか、それが魔力なんだけど」

「魔力? あたし魔法は使えないわ」

「大丈夫。誰しも魔力は多少は持ってる」


ファーレからは人より少し多めな魔力を感じていた。もし魔法をきちんと学べば、いっぱしの魔法使いにはなれるかもしれない。しかしそんなことをサーガが教える義理もない。学ぶにしてもどうせお金がかかるだろうし、そんな金をファーレの家が出せるとは思えない。


「ここんとこにある魔石が魔力を溜める為にあるんだって。だからそこに魔力を流してやる。と、明かりが点く」

「どうやって流すの?」

「う~ん…。こう、なんとなく、体からなんかをこう、流す的な…」


説明になっていない。


「?」


ファーレが分からない顔になっている。


「う~んと、指先から熱を流す感じ? かな?」


指先を当て、こんな感じ、と見せてやるが、クエスチョンマークは取れない。


「熱を流す?」


試しに、とファーレが魔力を溜める魔石に指を当てる。そしてなんとなくそれっぽく念じてみた。


「そうそう! 出来てる出来てる!」


魔力の流れを感知し、サーガが声を上げる。


「こんなのでいいの?」

「そ。それで明かりが途切れることはない」


ファーレが嬉しそうにランタンを抱え直した。


「ありがとう!」

「どーいたしまして。たまたまもう1つ手に入ったからな~」


戦利品という物がね。

乗合馬車にファーレが乗り込む。すぐに出発の時間になった。


「ありがとうサーガ、さよなら!」

「おう、元気でな~」


手を振り、ファーレを見送った。これならファーレも今日中には村に着けるだろう。やはり子供を1人で街道を歩かせることは気が引けた。

見送りも済み、サーガが再びギルドへと足を向ける。伯爵邸に行くよりは何か狩りでもしていた方が気が楽だ。

ギルドに着くと、何故かサララが暗い顔でサーガを出迎える。


「サーガさん…。いらっしゃいましたね…」

「どしたの? サララさん?」


サララが一枚の依頼書をサーガに差し出した。


「指名依頼が入りました。断わることも出来ますが、きちんとした理由もなく断わると多少のペナルティーが発生します」

「あらまあ。どんな依頼?」

「オックス魔道具店さんより、王都まで買い付けに行くのでその護衛をお願いしたいと」

「ああ、あのおっさんか」


ちょび髭のおっさんの顔を思い出す。


「出発日など詳細は会ってサーガさんの都合を聞いて決めたいということですので、もし受けるのであればオックス魔道具店さんへ行って頂くことになります」

「そうだね。そろそろどこか行きたいと思ってたし、丁度いいや。受けるよそれ」


サララが溜息を吐いた。


「分かりました。もし、もし出発までお時間があるようでしたら、他の依頼を受けることも出来ますので!」

「う、うん…。分かった…」


カウンターから身をのり出してちょっと圧のある言い方をされ、サーガも思わず後退る。美人さんでも迫力のある顔で迫られると怖い。

手続きをしてもらい、サーガはギルドを出て行った。このままオックス魔道具店へ向かうのだろう。

サララも溜息を吐きながら、ギルマスの部屋へと向かう。そしてサーガのことを伝える。

ヤンが再び頭を抱えた。


「Aになってから行ってくれればいいのに…。手回しをしなけりゃいけない僕の身にもなってよ…」


ギルマスの仕事が増えたようだった。


お読みいただきありがとうございます。


お休み前に書いてたら筆が乗ったのでぶっ込み投稿。

楽しんで頂けたら幸い。

にゃんこは膝でねんねして嬉しい…。でも膝がぁぁぁぁ…。

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