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サーガとクロムの異世界譚  作者: 小笠原慎二
本編
33/81

ロリ趣味はない

前回のあらすじ~

「伯爵家に就職しない?」

「お断りします」

「ふ~。貴族様に使われるなんて冗談じゃねーや」


ギルドに戻りつつ、昼飯ついでに屋台で買って食べ歩く。


「なんか微妙な時間だなぁ。ま、一応ギルドに顔出しておくか」


また後で文句を言われるのも嫌なので、とりあえずギルドに行くことにした。


「お願いします! どうにか! お願いします!」


扉を開けると何やら必死な様子の声が聞こえる。


「申し訳ないけれど、この依頼でこの金額だと誰も受けてくれないと思うわ」

「でも、それ以上は…」

「冒険者だって体を張ってるのよ。それに見合った報酬でなければ難しいわよ」


受付の1つに少女が張り付いて、そこにいるショートで赤髪のお姉さんと何やら言い合っている。


「あら、サーガさん」


サララが気付いて声を掛ける。


「ども~。今回は、強制連行されないよね?」

「ええ。今日の用事はもう済んだと思います。この後にまた何もなければですが」


にっこり返してくるサララ。


「なんか面白いものある?」

「この時間ですと、討伐は難しいですかね。そうなると採集依頼とかになりますね」

「え~。体動かさないのはやだ」

「採集でも魔物が襲ってくる危険はあるんですよ?」

「でも雑魚でしょ?」

「それはまあ…」

「お願いします! どうか!」

「だから無理ですって」


どうしても隣の話しが漏れ聞こえてくる。


「お隣どうしたの?」


ヒソヒソとサーガが尋ねる。


「そのですね、あの子の村でルペンサーが出たらしいんです。それで討伐依頼を出したいのですけれど、金額が足りなくてお受けできなくて」


サララもヒソヒソと返す。


「ルペンサーって何? 強い?」

「赤い豹、と言ったところですかね。賢くて滅多に人里には現われないのですけど。強いかと聞かれたらまあ、Dランクソロで倒せるくらいといったところです」

「あ~…」


あれくらいか~とサーガが初日に倒した面々を思い浮かべる。しかし男の顔など覚えていたくないので、すでに輪郭は朧気である。


「それでも出張費やら何やらが嵩むと結構な額になりまして。そうなると報酬が低いと誰も受けてくれない依頼なので、受け付けで断わっているのですけど…。あの通り粘っていらっしゃいまして」

「お願いします!」

「そう言われましても…」


年の頃は7、8歳くらいか。みつあみおさげの将来が楽しみな女の子だ。サーガにロリ趣味はない。


「場所が遠いんだ?」

「この街から馬車で半日、そこからまた歩いて行く所で、少し辺鄙な場所にある村なんです。そうなると余計に人気がなくて…」


遠い上に然程強くもない魔物。そして安い金額、となれば受ける者がいないのは明白である。受けるだけ無駄であろう。


「このままじゃ、家畜が皆食べられちゃって…、あたし達どうしたらいいか…」

「そう言われましても、私共でもどうにもなりませんので」


冷たい言い方のように思われるかもしれないが、実際その通りなので仕方ない。冒険者だって生活がかかっているのだ。慈善事業で食べていけるような仕事ではない。


「つまり、ど田舎か…」

「言い方が悪いですけど、その通りです」

「よし!」


そう言うと、サーガがスタスタと女の子の側に寄る。


「お嬢ちゃん、俺がそれ、受けてやろうか?」


突然横から声を掛けられ、びっくりして少女が振り向く。


「え…」

「ただし、が付くけど。その条件を呑めたら、だけど」

「さ、サーガさん?!」


慌ててサララが身を乗り出す。しかしサーガは止まらない。


「な、なんですか…」

「その金額で受けてやる代わりに、宿と飯をそっちで用意してくれること! こんなんでどうだ?」


少女がしばし考える。


「そ、それなら、大丈夫だと思います!」

「よっしゃ。それじゃお姉さん、ミーヤさんだっけ? これ、受付してちょ」

「え? 何で名前…じゃなくて、本当に良いんですか?」

「3食昼寝付きなんて良い条件じゃない」


誰が言ったそんなこと。


「サーガさん! 本当に良いんですか?!」


サララが慌てて聞いて来る。


「うん。しばらく忙しかったし、田舎でのんびりしてくるわ~」


のんびりするような奴じゃないだろう、というツッコミは心の中に仕舞っておいた。

ミーヤから書類を見せてもらい唸る。


「う~ん、でもこれ、どう頑張ってもDランクの依頼ですよ?」


そうなると、ランクアップが難しいかもしれない。


「別に俺はいいけど」


頑張れギルマス。


「まさか…」


と、サララが少女とサーガを交互に見やる。


「サララさん? 俺に幼女趣味はないよ?」

「本当ですか?」

「俺はツルペタズドンに興味はないの。俺が興味あるのはボン・キュッ・ボンの方です」


サララが何故か自分の体を見下ろした。


「大丈夫! サララさんも俺の守備範囲!」


と親指を立てて見せるサーガ。



サララがサーガの顔に依頼書を押し付けた。


「あなたが納得済みならば問題はないですね! ミーヤ、後はよろしくお願いします」

「はい…」


顔が赤いのは怒っているからなのか恥ずかしさからなのか。いかり肩で席に戻ったのを見ると、怒りの方が強いのかもしれない。

ミーヤが手早く手続きを済ませる。


「ではこちらが受領書になります」

「ども~」


と受け取ろうとした時、ミーヤがこっそりと顔を近づける。


「で、サーガ君、実際の所、どうなの?」

「何が?」

「サララよ。結構冒険者の間でも人気あるのよ~? どう? 彼女にしてみない?」


この時よく見ていれば、サララの耳がダンボ状態になっていることに気付いたかもしれない。


「やだな~、俺には分不相応っすよ」

「あらそう? 結構お似合いだと思うけど」

「俺みたいなフラフラしてる男より、もっと堅実な男見つけた方が良いですって。俺は事情があって一所に留まれない質なんで」

「え? それってどういう…」

「細かいことは長くなるから、聞きたくなったらベッドに誘ってください。何時でも駆けつけます」


そんなことを真面目な顔で告げて、ミーヤの手にわざと触れるように書類をもらう。しかもなんだか触り方がエロい。そしてサーガは少女の肩を押してギルドを出ていった。

ぽかんとした顔でミーヤもサララもその姿を見送った。


「サララ」

「何?」

「前言撤回するわ。あの子かなり遊び慣れてるわ。絶対やめといたほうがいいと思う」

「え?」


サララはただ目をパチクリさせるだけだった。
















「で、馬車に乗るんだっけ?」

「いえ、その…」


途端に女の子のお腹がきゅるると鳴く。


「なんか既視感…」


子供にお腹を空かせたままでもしょうがないと、屋台で適当に買ってやる。

礼儀正しい子なのか最初は遠慮していたが、口にツッコんでやったら大人しく、いやガツガツと食べ始めた。


「す、すいません…。お金は依頼の為の分しか持ってなくて…」

「え、てことは…馬車は?」

「…歩いて来ました」

「え~と、どこから?」

「村から…」

「どのくらいかかった?」

「昨日の夜明け前に出発して、なんとか閉門の時間には間に合いました。宿代もないので、馬小屋の片隅を借りて寝ました」

「・・・・・・」


世知辛い世の中である。


「え~と、名前、聞いてなかったな」

「あ、私はファーレと言います」

「俺はサーガ。さてと、てことは、馬車も乗れずに歩いて行かなきゃいけないってわけね」

「す、すいません…」

「しかもこれからの時間だと、野宿は確定か」

「す、すいません…」


ファーレが小さな体を余計に小さくさせる。


「しゃーねー。走るか」

「え?」

「ほれ、背中乗れ」

「え? でも、村まで遠いですよ?」

「なんとかなんだろ。ほれ、乗れ」

「いやでも…」

「いいから、乗れ」


ファーレが渋々サーガの背中に乗る。


「しっかり掴まれ。でも首は絞めるなよ?」

「はあ…」

「え~と、南門の方だっけ? 道案内よろしく」


そしてサーガが走り出す。しかしそれは普通のジョギング程度の速度。陽が落ちるまでに村に着けるとは思えない。

野宿は怖いが、冒険者のお兄さん(ファーレ視点)がいれば多分なんとかなるだろう。


「ども~。お疲れっす~」

「よう、今度は子供のお守りか?」

「そんなもん~」


門番とそんな会話をして、門を潜り抜けていった。

そして木の陰に門が見えなくなると、


「よし、飛ばすぞ。掴まってろよ」

「え? きゃあ?!」


途端にサーガがスピードを上げて、まさに飛ぶように走り出した。


お読みいただきありがとうございます。


昨日予約更新しようと思ったらメンテナンスだとう?!

しかも19時までだとう?!

ということで本日の更新は遅れました。

楽しんで頂けたら幸い。

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