表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サーガとクロムの異世界譚  作者: 小笠原慎二
本編
23/81

ダンジョン

前回のあらすじ~

「剣が欲しけりゃダンジョンにー」「あるよ1億」

「足りないからダンジョンにー」「あるよ指輪」

「ダンジョン…ダンジョン…」「分かったよ! 行けばいいんだろ!」

「ふうむ…」


サーガが出した大量の宝飾品を鑑定しつつ、おばばが溜息を吐く。


「盗品かい?」

「失礼な。ありがたくもらってきたものだぜ」


慰謝料&迷惑料という名目で黙ってもらってきた物だ。盗品と何が違うのかって? 被害を被ったかどうかだ! こちらは剣を折られているし!


「まあいい。趣味は悪いがどれも一級品だ。高く買い取らせてもらうよ」

「毎度!」


剣を買ったおかげで寒くなっていた懐が再び温まる。


「さ~て、今日このままダンジョンとやらを目指すわけにもいかねーし。ちょっくら買い物でもしておくか」


と、オックスの店やいろいろな店に寄って必要な品を買い漁る。収納袋があるので荷物が嵩張らないのは有り難い。


「ほんじゃ、明日に備えて今日は早めに休むかな」


適当に見付けた安宿に入り、サーガは早めに床に就いたのだった。











ダンジョンまでは乗合馬車で途中まで行き、そこからかなり歩かなければならないらしい。

馬車に揺られて1時間。そこから歩いて更に1時間。さすがに晴れているのに飛んで行くわけにも行かず、地道にサーガは歩いていた。


「確かにあまり行きたいとは思えない場所だな」


半分獣道になりかけている道を行くと、穴だらけの山肌が見えた。

その入り口の1つに立ち、中の様子を探る。


「おお、なるほど。いるいる。奥に行くほど強い奴がいるみたいだな」


風は索敵も大得意である。

迷わず坑道に足を踏み入れ、強そうと思われる魔物がいる場所まで最短距離で向かう。その途中にゴブリンの群れがあった。

ゴブリンの群れはサーガを見付けると早速襲いかかってくる。


「はいはい。邪魔」


物は試しと剣に微風を巻き付けて振ると、突風が巻き起こり、一瞬でゴブリンの大半が肉塊になる。


「うは~、これでもまだ強いのか…」


丁度いいやと微調整を繰り返し、ゴブリンを殲滅する。


「なるほど。手加減はちょっと分かって来たかも」


弱い奴でも役に立つことがあるのだなと感心しつつ、ゴブリンがいた後に転がる赤い石を見付ける。


「なんだこれ?」


魔石なのだが、サーガはまだ見たことがなかった。


「ミスリルってやつかな? でもなんか雰囲気が違うな…。一応拾っておくか」


コロコロと転がる幾つかの小さな魔石を、サーガは風で集めて収納袋に入れてしまう。

そしてまた奥へと進んでいった。

その後も大きなカマキリやネズミや百足など数々の魔物に遭遇するが、サーガは顔色1つ変えずにそれらを突破して行く。


「うん。剣としても優秀だな」


風を纏わせずとも良い切れ味に、サーガはご満悦である。


「ん? なんかこの辺り…」


途中なんとなく剣と同じような雰囲気を纏った場所を見付けた。地系の気配を探るのは苦手であるが、集中すれば分からないでもない。


「よく分からんが、この辺りの石を拾ってけば良いのかな?」


持って来たツルハシを取り出し、試しに壁を叩いてみる。


ガッ ガッ ガッ


「飽きた」


早かった。


「面倒くせ。剣で掘るか」


剣を抜き、風を纏わせる。少し強めにして壁に向かって振るった。


ズガア!


「うん。ツルハシより早い」


もう2、3度剣を振るって壁を壊し、転がったそれらしき鉱物を収納袋に出来るだけ拾っておく。


「こんなもんでいいか」


元より飽きっぽい性格のサーガ。特に地系には苦手意識があるので早々鉱石集めは終わらせてしまった。

そしてまた先へと進む。

その後にも蛇やら蜘蛛やらの魔物と遭遇。ここまで来るとやはり強くなるのか、サーガも剣の一振りでというわけにもいかなくなっていく。


「う~ん。楽しくなってきたじゃないの」


それでもサーガは顔色を変えずに奥へと進む。

最奥まで来ると、ドームのような広い空間になっていた。


「ここら辺から強そうな気配がするんだけどな…」


何故か何もいないその部屋へ、サーガがズカズカと入って行くと、


ゴゴゴゴゴ


入り口が大岩で閉められてしまった。


「およ? なんだ?」


サーガが大岩を見上げていると、部屋の中央に魔力が集まっていくのが分かった。


「ほへ~。なんか出てくるのか」


魔力が収束し、そこにライオンの体に蛇の尾、鷲の羽を持つキメラが現われた。


「ぐおおおお!」


存在を誇示するかのように一声啼くと、サーガを睨み付けた。


「なるほど。いいねいいね。やりがいがありそうじゃん」


サーガが楽しそうに笑い、腰の剣に手を掛ける。

キメラが鋭い爪を振り下ろしてくる。サーガはそれを難なく避ける。と、そこへ蛇の頭が赤い霧のようなものを吹き付けてきた。


「なんだ?! 毒霧か?!」


サーガがヨロリとよろけた。そこへすかさずキメラが鋭い爪を繰り出す。しかし、


「なんつって」


爪をするりと躱したサーガが、キメラの胴体に一筋。


「ぎゃうん!」

「俺ってば風だからさ~。そういう水系の攻撃は効かないのよ」


特に空中に撒かれた水など、ある種サーガの領分である。そして撒かれた毒霧を、サーガが手元に集める。


「ほい、お返し」


もらったらお返しするのは礼儀ですね。

毒霧ではなく毒水の球となったそれを、サーガがキメラの鼻先に投げた。


「ぎゃふん!」


水が鼻に入ったダメージはあるようだが、毒が効いた様子はない。


「ま、当然だよな」


自分の毒でやられていたら意味がない。

毒霧が効かないと悟ったのか、それ以降は蛇の頭も噛みつき攻撃に変わった。しかしサーガの方が小さい分、的が小さく攻撃が当たりづらい。


「なんか小さい聞こえたような…」


気のせいだよ。

サーガは攻撃を避けつつ、キメラの体に傷を増やしていった。


「ぐるるるるる…」


傷を負わされ、キメラの行動が鈍くなっていく。


「そろそろ終わりかな?」


サーガが剣に風を収束させていく。それに気付いたかキメラも必死に攻撃を仕掛けてくるが、素早く小さなサーガに当たらない。


「おし、試しに半分くらいの力でいってみようか~」


そんな台詞をお気楽ご気楽な顔で言い切って、サーガが剣を振り上げた。


「じゃあな。そこそこ楽しかったぜ」


サーガが剣を思い切り振り下ろす。


ドゴオ!!


鉱山が崩れた。















「あれえ?」


剣を振り下ろした途端、キメラの姿が消えた。そして、壁に大穴が空いた。途端にガラガラと天井が崩れ始める。


「やべえ! 生き埋めになる!!」


ここは坑道の最奥。さすがのサーガでも山が崩れたらぺしゃんこになってしまう。

逃げようとしたが入り口は塞がれている。他に通路も見当たらない。


「えええええ?!」


天井からは容赦なく岩が降ってくる。それを切り捨てたり避けたりしつつ、サーガは脱出の手段を探すが隠し通路なども見当たらなかった。


「どうしろと?!」


1つ思い浮かぶのは、入り口の大岩を斬る、という手段くらいだ。今のサーガならば出来ない事もないだろう。


「やるっきゃねー…」


出られなければ生き埋め確定である。サーガは剣に風を纏わせる。しかし閉じられた空間のせいか、思うほど風は集まらなかった。


「ままよ!」


サーガが必死に剣を振るう。

必死過ぎてキメラに振るった時よりも魔力を込めていた。


ドゴオ!!


綺麗に縦に割れた大岩。そしてその先も綺麗に縦に割れた道が出来ていた。先の方に外の明かりらしき光も見える。


「おっしゃ! 外に出られる!」


大急ぎでサーガは坑道の外を目指して飛んだ。何故か天井から崩れてくる岩が数を増して行っている。しかしサーガは外に出るのに必死で気付かない。


「出られた!」


外に飛び出たサーガが空中で制止し、後ろを振り返った。ガラガラと未だに崩れている坑道。それがどんどん大きくなっていき…。


「あ…らぁ…」


ずううぅぅん…


鈍い音が辺りに響き渡る。サーガは空中にいたので感じなかったが、周りの地面もその衝撃に揺れた。

こうして、廃鉱山ダンジョンは文字通り潰れてしまったのだった。


お読みいただきありがとうございます。


折角の土日に天気が悪いとテンションが下がりますね~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ