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俺のホットドックは何処に消えた?

 道場の帰り道。小腹が空いていた俺は立ち寄ったコンビニのレジのショーケースの中のホットドックに心惹かれ、迷わずそれを注文した。店員のお姉さんは「ホットドック注文いただきましたぁ」と言いながらホットドックを袋に入れてくれた。

 

 背中に「ありがとうございました」と声を聞きながら店を出る。ホットドックの入った袋を自転車の前のカゴに入れ、さあ、家に帰ろうとしたところで、俺ははたと気づいた。


 このままこのホットドックを家に持ち帰ったら妹の唯が黙っていないと。


 俺は、リビングのソファーを占領し、猫たちが自分の砦を守るためにバトルを繰り広げるスマホゲームに熱中している唯を思い出す。

 なんでも今日は部活が休みだとかで、「今日は猫の日なの。にゃあ、にゃあ、ゴロゴロ」と、ご機嫌な様子だった。今日に限らず、お前はたいてい猫じゃないかと思ったが、まぁそれはいいだろう。

 

 問題はホットドックを手にした俺が家に帰った時、唯がどういった反応をするかである。唯は絶対にホットドックを欲しがるだろう。

 唯のことだから分けてやらなかったら、きっと「私にも半分、いや、せめてレタスの一枚くらい分けてくれてもいいのにぃ~」とか言って、寂し気に、にゃあにゃあと泣くに違いない。


「・・・本当に泣くからな、あいつは」


 ため息混じりに呟くと、俺は自転車の前のカゴに購入したホットドックを置いたまま、踵を返しコンビニへと戻り、唯の分のホットドックを購入した。

 こんな小さなお土産でも、唯はきっと喜んでくれるだろう。「わーい。ありがとう!」と、両手を上げて笑う唯の顔を想像しながら、自転車まで戻ってきたんだが、


「はぐはぐはぐ!」


 これは一体どうういことだ?


 なにやら俺の自転車の前でホットドックをむしゃむしゃと食べているヤツがいる。自転車の前カゴに視線をやると、ホットドックが忽然と消え去り、申し訳なさそうに薄っぺらいコンビニのビニール袋がそこに座っていた。


 俺のホットドックは何処に消えた?





 

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