転生10日目
その後、五日かけて川の側を歩きながら、蛇を取って食し。夜は、林檎のような果実、「ええい、もう林檎と呼ぼう」を見つけたりしながら、村らしき土地を見つけた。木の枝で作った柵。その中には、畑があった。
早朝に見つけたので、複数ある家から出てきたご婦人方たちが俺を見て、ギョッとする。一番若い女性が速足で近づいてくる。
「アンタ、女が胸を人前に晒すものじゃないよ!」
はて、俺は男だが、何を言っているのだろう。相手の服装を見ると韓流ドラマで平民が来ていたのと似ている。しかし、私は、柔道服だ。初段なので黒帯である。白い柔道着は、汗や砂で変色している。それでも、二日に一回は洗っていた。黒帯は、黒曜石?と木の枝に結び付けたままだ。
「俺は、男だ!」
パンパンっと女は、俺の下腹部を叩いた。
「ホントだわ」
「斉天大聖か!」
驚く女に俺は、ツッコミを入れてしまった。関西の友人の教育の賜物である。叩かれたとき、若干痛かったが直ぐに治まった。これが女性による手加減か。はたまた、女神の不老不死の効果かが判断つかなかった。
「それに、してもアンタいい顔だねぇ。女みたいだよ」
はて、前世はフツメンどころか年を間違えられるほど、老け顔なのに。18の時は27。23の時は32と、死んだ年齢より高く見られていた。ついでに享年31歳です。2022年 9月 21日に死んだはずだ。
「今は、何年何月何日何曜日ですか?」
「和后4年 10月 1日だよ。流れ者にしては綺麗な恰好だし、山賊にも盗賊にも見えないねぇ。曜日というのは星期のことかい?なら星期六(Xīngqíliù)だよ」
ここは、中国なのか?と言う疑問と何故話が理解できるのか男には、理解出来なかった。
「アタイの名前は、智里。」
「ああ、失礼しました。小山天也です」
「アンタ、貴族の息子かい?!失礼しました。ご無礼をご容赦下さいませ」
急に、畏まる智里さんに困惑しながらも、天也は思考する。名前は、和名。貴族とは、中世ヨーロッパのあたり時代に出てくる。天也は、一旦棚上げし、嘘も方便、と言う言葉を思い出していた。