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【完結】その乙女は妃にと望まれる 〜じれじれ初恋と王座の精霊ファンタジー開幕!!〜  作者: 前田留依


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終章2 王宮に突入!

******


「アーリア、神殿の中庭を突っ切って神王の寝室へ行って」


 呪いばらいをしてもらうという名目で神殿へ入ると、ダニエレは中庭の小屋の中でアーリアの前で設計図を広げ、指でルートを教えていった。


「中庭は外庭より警備が手薄なんだ。神兵が油断している間に、一気に駆けていって、この神王の室まで行って」


 忍び込むというやさしい話ではなかった。

 強行突破きょうこうとっぱするのだ。

 しかし、やるしかない。


「う、うんっ……でも」

「なぁに?」

「ダニエレが処分されたりしない?」


 不安を口にすると、ダニエレがニッと微笑んだ。


「僕を処分できるかな?」


 思っていたより強そうな口調で言うので、アーリアは不思議に思って彼を見つめる。


「百番目の天姫の遊戯を見事やり遂げ、閉神話の深い場所を知っている僕を、神殿がどう処分するのかな?」

「解雇したり、降格したりできるでしょ」

「解雇したら真実を知っているものを野放しにすることになるし、僕、一番の下っ端だからこれ以上の降格ってないと思うよ。まあ、閑職かんしょくに追いやるぐらいはするだろうけど、僕にとってはあんまり問題じゃない」


 平然と言ってのけ、彼は更に言葉を付け加える。


「暇になったら、誰かに相談して神王派でもつくったりするのもいいね。同じ志を持つ者を秘密裏に集めて、レオンを補佐するんだ」

「ダニエレは、そういうところがたくましいわよね」

「僕、アーリアより負けず嫌いかもよ?」


 確かに、エンツォより、レオンより、アーリアより、ダニエレが一番強いかもしれない。


「どっちかというと、アーリアの方が大変じゃない? せっかく、神殿のお酒に選ばれたのに、全部が水の泡になるかも」


 言われて、アーリアは「そうね」と呟いた。


「だけれど、今、この大変な時期に、レオンを一人ぼっちにしちゃいけないと思うの」


 素直な心境しんきょうを口にしてから、アーリアはちょっと苦笑いした。


「アウラート酒造だって、もう一回や二回は立て直せるわ。わたしって逆境には弱いけれど、イルマが側にいてくれるから、大丈夫だと思うの」


 ダニエレは頷いてから、ポケットから一枚の瑞々しい葉を取り出した。レモンの葉だった。


「これをアーリアに。祈りを捧げているから、なにかのお守りになるかもしれない」


 アーリアは葉を受け取ってエプロンのポケットに入れる。

 そして二人は小屋から出た。

 枯れ木達の向こう、かなり長い距離の先に神王の寝室がある。

 剣を下げた神兵達がそれぞれの拠点を守り固めているが、アーリアの目には隙間が見える。

 広域をカバーするために神兵の目は、人が忍び込みそうな戸や窓ばかり見ている。

 まさか神官に導き入れられた女性が、神王の室を目指すとは思っていないのだろう。


(――行けるわ)


「アーリア、この国の未来は君にかかってるからね」

「……え?」

「さあ、行って」


 ダニエレが、軽くアーリアの背を叩いた。

 それが合図となって彼女は走り出した。

 

 風のように、風にとけ込むように。

 灰色のおばあさんの服があまりの速さで見えなくなるように。

 

 きょをつかれた神兵が、大声でアーリアを怒鳴った。

 だが、止まらない。

 中庭の左右から次々と矢が飛んでくる。

 しかし、矢は彼女の後方に刺さっていく。


(大丈夫、逃げ切れる)


 中庭の木立こだちに入り、せまり来る神兵を引き離し、前方の建物の、二階のベランダを目指した。

 すると、彼女の前に弓を構えた神兵達が飛び出す。


「矢をはなて!」


 木々のみきに矢尻が刺さり、頬を矢羽根がかすめていった。


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