表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】その乙女は妃にと望まれる 〜じれじれ初恋と王座の精霊ファンタジー開幕!!〜  作者: 前田留依


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/64

6-2 見つけた星の輝き

 ガラスの向こうが明るくなり、ゆらゆらと鈍く動く人影が見えた。

 眼鏡をかけたクールオさんがランプを手にこちらへ向かってくる。


「朝っぱらからどうしたんだい、レオン」


 戸を開けたクールオさんは起きているのが当たり前のように言った。


「……起きていたのか」

「私は朝の五時になったら起きるよ」


 彼女は笑って、レオンを店の中へ招き入れた。


髪飾かみかざりを作っていたんだよ。みんなが欲しい欲しいって言ってくれるから、急がないとね」


 店の奥の作業スペースに向かう彼女をレオンは呼び止めた。


「カオスが見たいんだ。カオスを見せてくれ」

「あーあれね、ないよ」

「ない!」


 確信のような気持ちを抱いて此処まで走ってきたのに、時間の無駄むだになってしまった。


「クールオさん、もう時間がないんだ。この街で一番の善人を捜している。いいや、欲のない人だ。誰かいないかっ」


 早口で言うと、彼女は困ったような顔をした。


「なにか事情があるんだね?」

「アーリアが大変なんだ。死んじゃうかもしれない。だから欲がない者を探しているんだ」


 気持ちが焦ってしまって上手く説明できないでいると、クールオさんは腕組みして作業机に座った。

 彼女の横に、一枚の紙が置かれている。

 紙にはインクで書かれた花の髪飾りの絵が描かれてあった。

 レオンが買った髪飾りの図だった。

 クールオさんは、図をさみしげにでてからレオンを見た。


「あんたとアーリアが幸せになれるようにと、精霊に守られるようにと、特別な髪飾りを作ったのに……怖いことが起きているんだね」


 あまりに哀しそうに言うので、レオンは疑問に思って口を開いた。


「特別な?」

「レオンがいろいろな事情を抱えているのも、アーリアが会社のことで大変なのも、全部知っていたからさ……効果こうかがあるかもと思って、髪飾りに――」


 そこで少し躊躇ためらってから、彼女は再び口を開く。


「――カオスを入れたんだ」


 ズボンのポケットから感じるのは、清浄せいじょうな神殿の気。

 だが、それは、神殿で祈りを捧げた綿や、カオス入りの紙吹雪が入っているからだと思い込んでいた。

 レオンはズボンのポケットに手を入れて、紙吹雪にまみれた髪飾りを取り出した。

 絹の三つの花が並んだ髪飾り、中心の花の花心がぼんやりと蒼く光っている。


「まさか……」


 レオンは机の上のはさみを取り出した。


「ごめん」


 そう言って、花心にはさみを入れると、綿の中から蒼く輝く宝石が顔を出す。


「四角い宝石……カオスじゃないわ」


 クールオさんが驚きの声を上げた。


「ありがとう、クールオさん。俺は、これを探していたんだ」


 星を掴むと、長剣ちょうけんのような光の帯が何本も出て部屋中を照らした。

 光は、窓を超えて路地へ流れ出る。

 クールオさんが小さな声を漏らしてから「綺麗きれい」と呟いた。


「ずっと、俺が持っていたなんて」


 レオンは神王の星を握りしめて、店を飛び出す。


「よく分からないけど、頑張って!」


 クールオさんが、レオンの背に声援を送ってくれた。

 彼女の期待に応えるべく、彼は勢いよく足を動かしていく。

 両足の筋肉はれていて、奥から鈍痛どんつうが響いてくる。

 だが、止まるわけにはいかない。

 愛しい人が愛する国。

 そして己自身も愛するようになった国を守りたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ