表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】その乙女は妃にと望まれる 〜じれじれ初恋と王座の精霊ファンタジー開幕!!〜  作者: 前田留依


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/64

1-13 まさかの恋敵

 帰ろうとすると、クーリオさんがベランダの手すりを叩いた。


「待ちなさい、レオン。まだ言うことがあるわ。しっかりと思ったことは口に出している?」


 レオンは振り返って、少し面倒くさそうに彼女を見上げる。


「思ったことって――たとえば?」

「大好きだって言う前にも、色々と言葉が必要なの。あんたのことだから、アーリアに気持ちの半分も伝えていないでしょう」


 図星だったのでレオンは彼女から目をそらした。


「思いを口にすることは、とても大切なのよ。あんたがアーリアに抱く気持ちは、大好きだけじゃなくて、色々あるでしょ。それも伝えていかないと駄目だよ」

「わかったよ」


 今度こそ帰ろうと思って、レオンはクールオさんに背を向けようとした。


「こらっレオン、髪飾りを買いなさい。これは、あんたの為にと作ったんだから」

「……髪飾りか」


 いつもきちっと一本結びをしている栗色の髪をほどいて、髪飾りを付けたら可愛いだろうな、とは思う。


「今日、アーリアの誕生日でしょ。プレゼントをしないと」

「プレゼントならもう贈ったよ」

「なにを?」

「仕事で使えそうな帳面ちょうめん

「……髪飾りを買いなさい」


 クールオさんはレオンをにらみ付けた。


「あんたね、このままズルズルとお友達を続けていたら、横からかっさらわれるわよ」

「誰にだよ」

「エンツォだよ」

「……エンツォ?」


 一瞬、まさか、と思った。

 エンツォはみんなの兄貴分だ。

 変わり者ではあるが、仲間を取りまとめてくれる頼もしい存在なのだ。


「よーく考えなさい。イルマの次にアーリアの側にいるのは誰?」


 エンツォだ。


「アーリアがいつも店番を頼むのは誰?」


 それもエンツォだ。


「アーリアが相談事を持ち込むのは誰?」


 やっぱりエンツォだ!


「レオン、この髪飾り、銀貨一枚だから」


 事実に気がついて俯いたレオンに、クールオさんが声を投げかける。

 レオンは頭上から糸で操られるように手を動かし、制服のポケットから財布を取り出して、銀貨をかごに入れた。


「お買い上げありがとうございます」


 まんまとはめられた気がする……と思いながらも髪飾りを手に取る。

 指先に清浄な感じがして顔を上げると、クールオさんはニッと笑った。


「特製の髪飾りだよ。うちの恋関係の製品に使う綿は、神殿で祈りを捧げているのさ。だから恋が叶うんだよ」


 端っこの花の飾りをつまみ、綿の柔らかな感触を確かめる。


(こんな頼りなさそうなので恋が叶うのだろうか……?)


 信じていないと、クールオさんが吹き出した。


「信じなきゃ、叶わないよ。自分の手でアーリアの髪に付けてあげなさいよ」


 そう言って、彼女は籠を引き上げた。

 レオンは柔らかな髪飾りを握りしめながら、ふらふらと階段を下りていく。


(髪飾り一つで、アーリアがこの手に堕ちるだろうか?)


「……これはイルマにあげてって、言いそうだ」


 アーリアはお洒落に関心がない。

 だから、ものすごく地味だ。

 まず近所のお年寄りが悪いと思う。

 両親がいないアーリアを気遣って、お古の服なんかあげるから、彼女が着てしまう。

 なのに、アーリアはイルマに新品の服を買ってやるのだ。

 完全な従姉馬鹿だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ