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003 フォスター家の誓い

 翌朝セレスティーヌは、朝食を自室で摂った後、父と兄に話し合いの時間を作ってもらった。昨日と同じ様に三人は、父親の執務室に集まった。


「セレスティーヌ、考えは纏まったか?」


 父は、セレスティーヌ同様余り眠れなかったのか目の下に隈が出来ていた。


「はい。一晩考えて、色々な疑問と共に考えを纏めてきたので聞いていただけますか?」


 セレスティーヌは、父と兄の顔を交互に見ながら発言した。

 父と兄が頷いてくれたので、セレスティーヌは疑問に思った事をまず確認した。まず始めに思ったのは、愛人を持つ事を最初から妻になる人に宣言するものなのか? という事。

 普通、愛人とは妻に黙ってこっそり持つものではと考えていたから。恋愛事に疎いセレスティーヌは、何が普通なのか分からなかった。

 愛人を持つ事は、貴族ではよくある事らしいが、セレスティーヌの家族からは縁遠い話で実感が持てなかった。もし、それが当たり前なのだとしたら、セレスティーヌの考えを改めなければと思ったから。


 父親も兄も、気まずそうな表情をしている。重い口を開いたのは兄だった。


「愛人を持つ事自体は、普通と言ったらおかしいけれどよくある話だと思う。でも、妻に大っぴらにしている人はいないと思うよ。お互い知ってはいるだろうけど、暗黙の了解でその存在を家族に隠すのが礼儀と言うか……。家庭を平和に保ちたいなら男は隠すと思う、普通は」


 その答えを聞いて、セレスティーヌは思う。やっぱり自分の夫になる人は、普通ではないのだと。

 そうだとしたら、規範に囚われていたらきっと大変な思いをするのは自分だと改めて感じる。セレスティーヌは、一晩考えていた事を口にした。


 エディー・ブランシェットと言う男の評判は、社交界に疎いセレスティーヌでさえ知っていた。そう考えると、愛人ももしかしたら一人や二人ではないのかもと思ったのだ。


 一つ、本邸とは離れた場所に別宅を造って頂き、愛人とはそこで一緒に生活して頂きたい。

 一つ、愛人との子供は五人までにして頂きたい。

 一つ、公爵家を継ぐ子供は、自分に決めさせて頂きたい。

 一つ、結婚生活を共にする中で、離縁したいと思った場合速やかに離縁に同意して頂きたい。


 セレスティーヌが提案した内容に、父も兄も驚きを隠せない。


「セレスティーヌ、流石に考え過ぎではないか?」


 父が、難しい顔をしている。


「お父様、言うだけ言って下さい。無理なら諦めます。でも、制限をかけておかないと危険な気がするんです」


 父は、考えこんでいたが最終的にはセレスティーヌの考えに頷いてくれた。


 そして、セレスティーヌは付け加える。


「それと、これは我が家にお願いなのですが……。ブランシェット公爵家から出来るだけ我が家への支援を引き出しますが、領地に掛かる費用以外の余剰分はきちんと貯えておいて下さい。今のままの慎ましやかな生活は、保って貰いたいです」


 セレスティーヌは、はっきりと告げた。正直、自分だけの犠牲の上に成り立つ援助なんて不公平だと思う。

 今回の事は、仕方がないのはわかる。わかるけれど、割り切れない気持ちだってあるのが事実なのだ。


「それは……。どう言う意味で?」


 兄が、セレスティーヌの考えを掴み切れていないようで眉間に皺が寄っている。


「正直、今回の事は仕方ない事です。ですが、私だけの負担が大き過ぎます。私が、いつ離縁しても良い様に準備だけはしておいて欲しいです。いつまでも、私を頼りにされても困ると言う事です」


 セレスティーヌは、兄を睨みつける。カールも、妹に犠牲を強いるのが辛かった。自分達が出来る事は、しっかりやろうと心に決める。


「わかった。今回の様な事があっても、余裕で対応出来るくらいの財産をしっかり貯める。セレスティーヌにだけ押し付けない。安定した、領地経営が出来るように努力する。だから、どうしても耐えられなかったら何時でも帰ってきていい」


 カールが、兄らしく頼りになる事を言ってくれた。父も頷いている。

 セレスティーヌは、不安な気持ちで一杯だった。だけど、帰ってきていいと言われて、ほんの少し気持ちが楽になった。


 そして、その話し合いの後すぐに、ブランシェット公爵家へ婚姻の承諾を手紙にしたためた。こちらからの条件を記載して。

 どんな返信があるのか、家族全員でドキドキしていた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ①小説の書式として、文中に疑問符や感嘆符が付く場合、その後に一文字空けるというものがあるそうです。 因みに空けたくない場合は括弧で囲むと良いようです。 例えば、『あれは愛人(?)なのか…
[一言] 一方一晩でこの条件を考え出した16歳、この嫁は当たりやぜ。
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