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優等生だった子爵令嬢は、恋を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~【コミック1巻発売中】  作者: 完菜


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016 アルバートの提案

 セレスティーヌは、オーレリアの屋敷に三日ほどお世話になり、グラフトン公爵家に戻って来た。

 オーレリアにはこの三日間で、しつこい位に男性を意識する事を忘れないでと言われる。オーレリアだって学生時代は、男性になんて興味が無くて本や学問の事ばかり話していたくせに……。

 それを言うと、あの頃はそれが楽しくてしょうがなかったのだから、仕方ないでしょとあっさりと返される。そして続けて、愛される幸せを知って欲しいの! と言われた。

 一人でいる事って楽だし、一人が苦にならない人ならそれでいい。だけど、人生って長いしどこかのタイミングでパートナーが居たっていいじゃない。何事も経験。

 セレスティーヌは、何でも自分でできちゃうから寄りかかれる相手がいた方がいい。言っとくけど、元旦那はパートナーとしてはノーカウントだから。

 あれは、ただただ寄りかかられただけの重石みたいなものね。


 オーレリアは、そんな風に好き勝手しゃべり倒していた。

 横で聞いていたセレスティーヌは、恋かと自答していた。

 一番身近にいた男性がエディーだったので、男性に期待なんて出来ない。まともな人なら、むしろ近づいて来なかったのだろうと今は思う。

 近づいてくる男性と言えば、自分の愛人にならないかとか、お金目当てに近づいて来る人ばかりだったから。


 恋の仕方なんて知らない。好きって気持ちもわからない。こんなのが、恋なんて出来るのかしら? とどこか他人事のように考えてしまう。

 そもそも男性を意識するっていうのが、いまいちわからない。三人も男の子を育てて来たので、どちらかと言うと親目線で見てしまう所がある。

 きっと、これがいけないのだとため息をつきそうになる。


 オーレリアの話を聞いていると、オーレリアの結婚が幸せなものなのだと言う事はわかる。

 夫の事を心から信頼していて、愛されて愛して。幸せそうなオーレリアを見ていて、いい結婚をして良かったと友達目線で思う。

 自分の事はわからないけれど、どうせ恋をするならオーレリアのような幸せな恋がしてみたい。

 そんな事を胸に抱いて、グラフトン公爵家の門をくぐった。


 屋敷に戻って来ると、居間にエヴァルドとアルバートが揃っていると言われてセレスティーヌは居間に向かう。

 コンコンとノックをして部屋に入ると、二人がお茶を飲みながら寛いでいた。


「ただいま、帰りました」


 セレスティーヌが、笑顔で挨拶をする。


「お帰り。楽しかったようだな」


 アルバートがセレスティーヌの顔を見て、楽しかったようだと察する。


「お帰りなさい。久しぶりにお友達に会えて良かったですね」


 エヴァルドも、セレスティーヌの満足そうな笑顔につられて笑顔を零す。


「わかりますか? 久しぶり過ぎて、ずっと二人でしゃべっていました。凄く楽しかったです」


 セレスティーヌは、空いていた一人掛けのソファーに腰かける。隅に控えていたメイドが、すぐにお茶の準備をしてくれた。


「女性は、話が尽きる事がなくて楽しそうでいいな」


 アルバートが、にこにこしながら返答してくれる。アルバートとセレスティーヌは、楽しそうに話を続ける。

 ふと、無言になってしまったエヴァルドの方を見ると何やら考え事をしている。


「エヴァルド様、どうかなさいました?」


 セレスティーヌが、気になって声を掛ける。


「いや……、今、おじい様から話し相手の件を聞いてね……。セレスティーヌに迷惑なんじゃないかと思って。どう切り出そうかと考えていたのだけど……」


 エヴァルドが、気まずそうにお茶を一口飲んだ。

 セレスティーヌは、それを聞いてオーレリアの話を思い出す。

 エヴァルドは、きっと私が自分みたいな不細工と一緒にいるのは嫌だろうと勘違いしているのだと。

 セレスティーヌは、エヴァルドにもっと自信を持って貰いたかった。馬鹿な姫に言われて傷ついている心を、救ってあげたかった。

 優しくて仕事ができるエヴァルドは、素敵なんだって知って欲しいと思った。


「エヴァルド様、私ちっとも迷惑だなんて思っていません。エヴァルド様とお話し出来て楽しいですし、もし宜しければ買い物にも付き合って頂きたいです。私、最低限の物しか持って来てなくて……。友達に、外出用のドレス位もっとちゃんとしたのを買いなさいって怒られました」


 セレスティーヌは、エヴァルドの目を真っすぐに見て話をする。誠心誠意、本当にそう思っていますと伝わるように。


 エヴァルドは、セレスティーヌのその言葉が意外だったのか驚いたような顔をしている。


「そうだな、セレスティーヌはまだこっちに来て間もないから、エヴァルドがエスコートしてやりなさい。お前だって、エスコートの仕方位わかるだろ?」


 アルバートが、揶揄うようにエヴァルドに言う。


「おじい様……。エスコートは出来ますが……。私で大丈夫でしょうか……」


 エヴァルドは、自信なさげに呟く。


「では、よろしくお願いします。凄く楽しみです」


 セレスティーヌは、楽しいお出かけにしようと心に決める。大丈夫なのだって自信さえ持ってくれればきっと更なる魅力につながる。

 結婚したくない様な、不細工なんかじゃ絶対ないもの。素敵なんだってわかって貰えたら、きっと可愛くて若い子にモテモテになるはず。

 だって、爵位から考えたら独身でいる事がおかしい。むしろ四つも年上のおばさんを、エスコートさせる方が申し訳ない……。

 でも、私も男性にエスコートされて買い物に行くなんて初めてかも知れない。そう考えたら、セレスティーヌはお出かけがとても楽しみになった。




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「優等生だった子爵令嬢は、恋を知りたい」二巻


発売日 5月10日(金) 

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