プロローグ
書籍版・コミカライズとは、設定や内容、構成が異なる場合があります。
セレスティーヌが、初めて彼に出会ったのは偶然からだった。
二回目の人生の岐路に立っていたあの日。ドキドキとワクワクを胸に、汽車のホームに佇んでいた。
もしかしたら、何か予感があったのかもしれない。
出会った日に見た、貴方の笑顔が目に焼き付いて離れなかった。
きっとあの時、私は恋に落ちたのだ。だって、けっして目につく美貌の持ち主じゃなかったけど、私の目には素敵な人に映っていたから。
柔らかい空気の持ち主で、真面目そうな人。平凡な茶色の髪に、優しそうな若葉みたいな緑色の瞳。
挨拶をして目が合った時に向けられた笑顔が、とても寂しそうで控えめだった。
この人の楽しそうな笑顔が見たい。そう思った時には、きっと恋していたのだろう。
セレスティーヌが、ここに辿り着くまでには実に様々な事があった。でも、それを乗り越えて来たから今があるのなら、こんな人生も良かったのかもしれない。
でも、一回だけだからそう思える――――。
セレスティーヌが立ち向かう一回目の人生の岐路。そこから物語は始まる。