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113 DAY6レイドボスⅦ

本日二話更新。

本話は一話目になります。


 最後の攻撃を仕掛ける為再度陣形を立て直すランナー達。


 アラクネはそんなランナー達を小馬鹿にするような目つきで見下ろすと周囲に新たな魔法陣を発生させた。


「魔法陣出現! 火属性魔法!」

《【ゲートキーパー】が来るぞ!》

《全員、アラクネから可能な限り離れろ!》

《【ゲートキーパー】はこの天候じゃ中距離でも問題ない、その隙に陣形を立て直せ!》

《フライトアーマー各機、離脱だ。あの弾幕には付き合えない!》


 アラクネが発動した魔法は近接防御魔法【ゲートキーパー】。

 近距離では猛威を振るう魔法ではあるが、火属性魔法の威力が下がる雷雨の天候下では離れてしまえば被害はかなり少なくなる。


 ランナー達も何度も【ゲートキーパー】で痛い目を見た上に、戦力的にゴリ押しも不可という事も重なり、前面の敵に牽制を入れながらも後退してゆく。

 マジック、スナイパーなどの後衛は魔法陣は狙わず、空いた隙間や山なり弾道の火器を使いアラクネを攻撃。

 マジックフィールドの耐久を削って行く。


 この守りに徹する動きに、アラクネは反応する。

 大樹の上から八方に火球をばら撒くアラクネがその目に見据えるのはイグ達がいる八八ミリ野戦砲。


 左右に広げていた腕を一度下げるとそのままゆっくりと腕を持ち上げ、シールドを張るアームドビーストが護り砲口をこちらへ向けている野戦砲を指差した。


『敵、猛攻、来ます』

「えっ!?」


 敵モンスター群の動きはアイビスの警告と同時。

 今まで多方面で包囲するランナー達に対峙していたモンスター達が、一斉にイグのいる野戦砲目掛け動きだしたのだ。


「っ、緊急事態発生! 敵が猛攻を仕掛けてきます! 目標、八八ミリ野戦砲!」

《何!?》

《こいつら、急に動きだしたと思ったらそれか!》

《ヤバい、野戦砲が!》

《八八ミリ野戦砲を守れ! あれがなきゃ勝てないぞ!》

《連中、他のエリアは無視して野戦砲に向かってる!》


 モンスタ―達の猛攻に、ランナー達も即座に対応する。

 引き気味に守っていたアサルトアーマーがスラスターを全開にしながら一気に猛攻を仕掛けるモンスター達へ突撃。

 アームドビーストやストライカーアーマーもすぐさま合流、津波となって押し寄せるモンスター達から野戦砲を護る防波堤となる。


 だが、それでもモンスター達は止まらない。

 

《くそっ、アダンソンが!》

《多脚戦車を前面に押し出して強行突破する気か!》

《スタンさせろ、奴の足を止めるんだ!》

《出来るならやってる!》

《マジックアーマーはいないのか!?》

《アームドウルフに抜かれた!》

《仕留めろ! 野戦砲まで行かせるな!》


 モンスター達はもっとも耐久があるアダンソンを前面に押し出し、強行突破を狙ってくる。

 策も捻りもない、ただのゴリ押し。

 だからこそ今のランナー達には最も効果的だった。


 雷属性魔法を使用するマジックアーマーのMPは既に枯渇。

 さまざまな雷属性火器も弾薬切れやマジックアーマー同様MP切れでその効果を発揮できずにいるのだ。

 アラクネが脅威とする八八ミリ野戦砲の破壊のみを目的としたモンスター達の猛攻。

 大樹を包囲し、広く展開したランナー達にこの一点のみに注力した猛攻は空のアスカから見てもみるみるうちにランナー達を飲み込んでゆく。


「駄目、押されてる!」

《まかせんしゃい!》

「ホロ!?」

 

 あまりの惨状にたまらずアスカが援護に動こうとした時、聞こえてきたのはホロの声だった。


《マルゼスさん、やるばい!》

《おう、ここが正念場だ!》


 見れば、重なった二つのフレンドアイコンが押し寄せるモンスター群に向け突っ込んで行く。

 するとマルゼスの愛馬、タービュランスに同乗したホロが大きく跳躍。

 電撃を纏ってアダンソンに襲い掛かったのだ。


《騎兵隊、続け!》

《隊長に遅れるな!》

《ありったけ持っていけ!》


 それに続くアームドビーストの騎兵たち。

 各方面に散っていた面々が猛攻に反応し、駆け付けてくれたのだ。

 さらに。


《メラーナ!》

《うん、【フォースバインド】っ!》

《よっしゃ、そのまま押しとどめとけよ!》

《こんなデカイ蜘蛛相手に無茶言わないでよ!》


《ファルク、ホーク、行くぞ》

《へっ、言われるまでもねぇ!》

《私が牽制します。アルバ、ホーク、奴がスタンしたら突っ込んでください!》


 ラゴやアルバ、ホークらリスポーンから合流した面々も戦線に追いつき、敵モンスター達を止めるべく戦闘を開始する。

 

「クロム、まだなの!?」

《まだじゃ、もう少し……!》


 南方でモンスター達の猛攻を押しとどめている間、東西北のランナー達は【ゲートキーパー】の有効射程外からアラクネを執拗に攻撃。

 アラクネのマジックフィールドを削り続ける。


 そして、ついに。


《【ゲートキーパー】が止むぞ!》

《よし、一気に……おぉっ!?》

《やった、マジックフィールド消滅!》

《よくやった皆の衆! 今こそ好機、彼奴の左足を狙えぃ!》


 近接防御魔法【ゲートキーパー】の終了と共に消滅するマジックフィールド。

 ランナー達はこれが最後のチャンスとばかりにアラクネへ攻撃を開始。

 クロムの指示でアラクネ左半身、四本の脚に集中する。


《リコリス1、今じゃ、やれぃ!》

「了解!」


 それを見てアスカも動き出す。

 レイバードのエンジンとメラーラマーク35を最大推力で吹かし、一気に増速。

 アラクネの背後からクロムの指示通り足を狙う。


 アスカがアラクネへ接近してゆく間も続く、ランナー達による銃撃。

 しかし、いくら巨大な体と八本の脚をもつアラクネと言えども、一本一本はかなり細い。

 その上【ゲートキーパー】の有効射程外まで引いていたランナー達の火器では精度が足りず、有効弾の数はかなり少ない。


 ならば私が、とピエリスとエルジアエを連射しながらさらに接近。


「くらええぇぇぇっ!」


 アラクネの脚が射撃限界まで迫ると、ピエリスをウェポンラックに掛ける。

 同時にエルジアエを両手持ちに持ち替えレイサーベルを展開、アラクネ左側の脚四本をまとめて辻斬りにする。


 これだけでレイドボスアラクネの脚を破壊することは出来ないが、被弾ノックバックにより脚から力が抜け大きくバランスを崩す。


 そこへ畳みかけるかのようにランナー達の攻撃が集中する。

 

《私達にも美味しいとこは残しておきなさいよね!》

「キスカ!」

《精密射撃なら俺達スナイパーアーマーに任せろ!》

《ようやく訪れた狙撃の見せ場、ここでやらなきゃ男が廃る!》


 アラクネを狙撃するために大口径対物ライフルを掻き集めてきたスナイパーアーマー達の一斉射撃。

 その正確無比な銃撃は見事にアラクネの細い足を捉えて行く。


 被弾するたびに左側へと倒れて行くアラクネ。

 なんとか左脚を踏ん張り姿勢を保とうとするも、継続的に脚のみを的確に狙われそれも叶わない。


 忌々し気に銃撃を放つランナー達を見るアラクネ。


《よし、今じゃ、イグ!》

《……いや、待て!》

「アラクネ、魔法陣展開! 無属性魔法!」

《【ペネトレイション・レイ】か!》

《魔法陣を盾にしようってのかい!》


 野戦砲へ猛攻を仕掛けるモンスター達を押しとどめ、姑息にも脚を狙い続けるランナー達を一気に屠るべくアラクネは魔法陣を展開させる。


 だが、皮肉にもこの魔法陣はアラクネの脚を狙うスナイパーアーマー、八八ミリ野戦砲で本体を狙うイグ、その両方からその身を隠す攻防一体の防御壁となっていた。



たくさんの感想、評価、ブックマーク、誤字脱字報告本当にありがとうございます!

嬉しさのあまりホオレファ空港から飛び立ってしまいそうです!


第105話のアラクネ攻撃シーンが漫画になりました!

作画は飛雲の発艦を描いていただいた茜はる狼様。

強力なラスボスの一撃を是非ご堪能ください!

https://mobile.twitter.com/fio_alnado/status/1370322480498237440

あわせてリツイート、いいね、フォローなど貰えますと作者が嬉しさのあまりケネディ宇宙センターから打ち上げられます。

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― 新着の感想 ―
[一言] プレイヤー「足掻くな、運命を受け入れろ」 ボス「断る」 意地と意地のぶつかり合い 勝つのはどっちだ!?
2021/03/21 10:16 退会済み
管理
[良い点] 今日も続きが待ち遠しいです。 [一言] 流石レイドボス。粘りますね~。後一押しが遠い~。
[一言] 切り裂いても切れてないというゲームあるある まぁすぐに足を落とせたらボスとしては失格だよね
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