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タイトルかえました。
「 ねえあっちゃん、部活はいる? 」
鈴井あち子は、中学校からの友人吉田紗枝と、毎日バス通学をしている。
今日も、学校へ行くバスの中だ。自宅から乗り換えなしで行けるので、とても楽なのだが、はやりこの時間は、同じ学校へ行く生徒で、バスの中は満員。少し慣れたらそう遠くもないので、あち子は自転車通学にしようと思っている。
「 部活か、中学の時やってたソフトボールは、これ以上真っ黒になったら嫌だし、運動神経もよくないから帰宅部かな。 」
とあち子がいうと
「 私は、中学でもやってた、バスケにしようかな。 」
と紗枝がいった。
紗枝は、身長があち子より5センチも高いし、顔も小さくこじんまりとした作りで、かわいい部類に入る。それに色も白い。おまけに運動神経も、いいときている。中学校の時にも、たしか2、3人に告白されていた。
あち子は、紗枝の色白が、うらやましくて仕方ない。せめて色が白ければ、自分にだって、1人ぐらい告白してくれるかもと、思っているのだが、そう現実は甘くないだろう。中学の時も、恋愛には縁遠かったが、この平凡顔ではと、これからの高校生活も、期待はしていない。
二人は、しばらく部活について、しゃべっていたが、急に紗枝が言った。
「 うちのクラスって、ほかのクラスの子たちが、羨ましがってるよ。 」
「 え、なんでー! 」
あち子と紗枝は、同じクラスの1年1組だ。三年まで、文系理系も同じクラスで、選択ごとに分かれて、授業を受けるようになっている。
「 うちのクラス、かっこいい子が多いっていってるよ。例えば、坂村敦也君や岡田幸樹君とかね。 」
「 確かに! 2人とも、顔だち整っているよね。 」
「 あっちゃんは、どっちが好み? みんなどっちが好み! って騒いでるよ。 」
「 へえ~、顔の好みで言うなら、岡田君かな。坂村君は、ちょっと冷たい感じがする。 」
「 私は、断然坂村君! あのクールさが、たまらないー。 」
紗枝は、イケメン好きだ。
紗枝が、好みといった坂村敦也は、背が高くて顔だちも、すごく整ってはいるが、笑っているところを見たことがない。そのせいか、あまり女の子も話しかけないし、にこやかに女の子と、話している姿を見たことがない。
反対に、もう一人の岡田幸樹は、背が高くて、顔だちも整っているのは同じだが、いつもにこやかに微笑んでいる感じで、話しやすそうな感じをうける。
だからか女の子に、いつも話しかけられていて、まだ入学して、そうたっていないのにもかかわらず、気が付けば、いつもクラスの中心的存在だ。しかも取り巻いているのは、華やかな感じのする子たちばかりだ。
この二人は、中学校も同じで、仲がいいらしく、よけい比較されるのだろう。
「 どっちも遠くから見るだけで、充分かな~。 」
「 あっちゃんらしい! 確かに坂村君はともかく、岡田君は、いっつも女の子たちに、かこまれてるもんね。同じ中学の子たちが言うには、岡田君、性格もいいらしいよ。坂村君は、近寄りがたいらしいけどね。 」
「 へえーーーーー。スターだね。 」
あち子は、紗枝の話を聞きながら、自分は、三年間この二人との接点は、ないなと思った。
このときは、まさかそんな近寄りがたい坂村と、話す機会があるとは、思ってもいなかった、あち子であった。