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愛犬もどきはあち子がお気に入り  作者: にいるず


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「 ...... じゃあ坂村君、またね~ 」


あち子は、これ幸いと、坂村から逃げようとした。

しかし坂村も、せっかく捕まえた魚を、逃がすものかと思ったのか、


「 じゃあ、また連絡するよ。 」


そういって坂村は、スマホを取り出して、ひらひらさせながら、帰っていく。


なぜか肩の上のぽちが、さよならをするように、左右にふわふわしていた。


さっきまで威嚇してたのに、不思議だと思いながら、絶対あれは連絡してくるなと、あち子は苦々しく思った。

ふと視線を感じて、振り向くと、健太がにやにやしている。


「 ねえちゃん、いつの間に、あんなイケメンと、仲良くなったんだよ。 」


「 仲良くないよ、ただの同級生。 」


「 へえ~ でもさ、なんで、ねえちゃんの連絡先なんて、知ってんのさ? 」


健太は、まだ中学生。


もちろんスマホは、持たせてもらえない。

だから高校生ルールのクラスラインを、知らないのだ。

あち子は、ちょっとおかしくなってしまった。自分だってスマホを持ち始めて、まだ一か月なのだが。


「 健太、高校に入ると、みんなでクラスラインを、もつのだよ! 」


「 ちぇっー、ねえちゃんばっか、ずるいよな~ おれだって、スマホ持ちた~い。 」


健太は、『 だれだれは、もう持ってるとか、あの子のスマホは、高いやつなんだよ 』とか、今自分の一番の興味である、スマホの話をし始めた。

先ほどの出来事は、すでに忘却の彼方にいってしまったようだ。


2人で、家に向かいながら、健太の話に適当に相槌を打ちながら、あち子は、さっきのことを考えていた。

これからの坂村の行動に、気を付けなくてはいけないなと、決意したのだった。


*****


その夜あち子は、リビングのソファで横になりながら、スマホでラインをしていた。

もちろんクラスの女の子たちだ。


あち子の家では、充電器がリビングの置かれていて、スマホは自分の部屋に、持ち込み禁止となっている。両親に、くどいぐらい言われているので、リビングでしかできないのだ。


しかも、夜は一時間と、決まっている。


勉強に支障が出るからといわれ、しぶしぶ従っているのだが、みんなに聞けば、なぜか可哀想な目で見られた。

まあ毎日学校で、会っているし、あちこにとっては、少しつながっている感だけで、結構楽しい。


今日も、やはりクラスの男子が、話題に上っていた。

特に岡田君のことで、いろいろ盛り上がっている。

岡田君は、どこの大学に行くんだろうとか、今日はだれだれとしゃべっていたとか、まるでアイドル並みだ。


そして急に、坂村のことが話題になったときには、誰も見ていないのに、ドキッとしてしまった。

クールといわれている坂村だが、あち子から見れば、ここ最近の坂村は、どうみてもクールとは程遠い。


そういえば、今日の坂村は、笑っていたなあ。

みんなに、見せてあげたかったなあ。お宝だもん、ね普段なかなか見れないしね。

残念なことしたなあと、思ったのが、いけなかったのだろうか。


時間になるので、スマホの電源を、切ろうと思ったとき、ラインが入った。


あち子は、一瞬スマホを落としそうになってしまった。

あわてて周りを見れば、家族は見ていない。


ぽちのクッションを見ると、ぽちがクッションの上で、ぐでんとしていた。



ラインは、坂村からだった。








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