第25話 正体不明。
本日4投目\(^o^)/
まさか。
またも殴られると思ってなかったのだろう。間の抜けな声を上げてしまったカンニバルオーガはというと。
〈〈グルアアああ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!〉〉
雄叫び。
怒ったようだ。無理もない。
怒り狂っている。無理もない。
赤黒いオーラを全身から吹き出して怒り狂っている。
歪なほどの太さを誇る腕が、更にと膨張していった。
腕の部位だけがスキンスーツの繋ぎ目に沿って裂け、その箇所から血が吹き出している。
元々はオーガ。ただでさえ力が強い。
それがスキル【怪力】でさらに増強されている。
なのに、そこから更にと無理矢理力を引き出されているようだ。この『無理矢理』こそがレアスキル欄にあった【壊腕】の効果であるのかもしれない。
両の腕に込められるは超負荷に耐えられず筋肉が自壊する程の超剛力。もしそんな『諸刃の剣』的効果であるならば、如何にもこの怪物に相応しい。
その両の手が握り込んだ棍棒もボォ!と音がする程禍々しいオーラを噴出していた。
敵魔物の戦闘形態が急激に調えられていく。
よほど頭にきたのだろう。
最初から全力で来るようだ。
突、 ブオウッ 旋回。
一回転しながらのひとっ飛び。
両の手に握られた棍棒がその回転に合わせ乱暴に振り下ろされた。その棍棒が生み出す遠心力によって追加され相乗効果的に勢いを増す縦回転。
全身を投げ打つような縦回転。
破壊のベクトルがジンに向かって集束する。
バグゥ!
カンニバルオーガの上半身が、ジン諸共地面を喰らうようにしてのめり込む。
のめった先の地面はいとも容易く抉られた。
大胆にスプーンを入れられたプリンのように。
ジンは緊急のバックステップ。
辛うじて避けた。
抉り取られた事により生れた地面の端くれが宙に浮く。
それを今度は無理矢理横に旋回して、カンニバルオーガは棍棒で打ち砕く。
打ち砕かれた地の端くれは、不規則な軌道を描く飛礫と変じて硬派へと降り注ぐ。
その行方を確かめることもせず、またカンニバルオーガは縦回転の一塊となってジンへと迫る。
縦回転により地を喰らい。
横回転による飛礫散弾。
そして間断なく縦回転へ以降。
狂ったように繰り返す。
こんな乱暴な移動法であるのに、縦と横の切り替えが異常に早く進行速度もやたらと速い。
飛礫の効果でこちらからは踏み込めない。
一方的に迫られる。
ジンも上手く接近出来ずにいるようだ。
そして、
呆気無く。
その暴乱の渦を前に、回避行動しか許されなかったジン。
カンニバルオーガは安々と追い付いた。
そして飲み込んでしまった。地面諸共、ジンを。
飲み込まれたジンの肉体は…
ビシャン……ッ!
血袋が破裂するように散華した。
ジンは呆気無くも死んだ。
『他愛も無く滅せられた弱者の残骸…見てやろう。』
そう思ったのか、カンニバルオーガは回転を止め、
…のそり。
満足顔をもたげ、直ぐに気付く。
『何故自分は返り血に濡れていない?』
『地面を見渡しても血溜まりがない。』
『故にその上に浮かぶはずだった肉片も骨片も見当たらない……これは、一体、どういうことか…。』
赤いシミがない、キレイな地面から不満気に目を離す。
水平へと角度をずらして、もう一度周囲を見渡してみ……
『…いた。』
『……何故、そこに居る……。確かに、手応えがあった。』
ジンはもう既にカンニバルオーガの間合いから遠く外れた場所で平然として立っていた。
〈〈グアムァアアああ嗚呼嗚呼嗚呼おお雄おお!〉〉
カンニバルオーガはもう一度雄叫びを上げる。
これはジンを敵と認め威嚇するため放ったものか。
それとも自分以外に初めて感じた不気味、
それを払拭するために放ったものなのか……。
この若き変異種の魔物にはまだ判別がつかないでいた。
ともかく、こうして異質達の戦端は開かれたのである。
ふー。4連投…思い切った事を(笑)
次話はまた明日の0時に投稿です\(^o^)/
ブクマ、感想、評価、レビュー、勝手にランキング投稿…欲張ってお願いしてしまう私を許して下さい(´・ω・`)
明日も連続投稿…多分すると思います!
応援、宜しくお願い申し上げします!\(^o^)/