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第24話 新たな力。


 本日3投目\(^o^)/




【……なるほどこれの事か……。前にジンが言ってたよね?【解析】だか【鑑定】だかのスキル…だっけ?】


 コクリ。頷いて返事としたジン。


【そして今ステータスが見えてるのがその効果ってわけだ。『他者のステータスが読める。』これは確かに凄いスキルなのかも。】


 コクコク。今度は2度頷いた。


【あのキマイラがやたらと騎士団長さんを狙ってたのも、このスキルを使って騎士団長さんのステータスが見えてたからだったんだね。】


 クテ。首を傾げる。『え。そうなの?』という感じ。


【え。気付いてなかったの?意外と戦況見てないのね。】


 どうやらこのステータスを盗み見る能力は今までジンには使えなかったスキルであって、そして元々はキマイラが有していたスキルであったらしい。


 『呟きの彼』が言った言葉から察するに…


 倒したキマイラの素材で造り出したこの義手を装着することで、ジンはこのスキルが使えるようになれた。……のだが、どうやら『義手で直接対象に触れる』という面倒な発動条件もあるようだ。


【それにしてもこのオーガ……流石は変異種、そして流石の鬼属って感じだね。ゴブリンみたいな繁殖力はないんだろうけど、成長スピードが異常過ぎるよ。何なのこのスキルの数っ。しかも『鬼職人』って何?セカンドジョブまで就いてんの?こんな9歳いたら駄目でしょ!】


 確かに。ステータスを読めるというのは破格の力であるのかもしれない。

 実際、この変異種のオーガがどのようにして成長し、どのようにして力を得てきたのかまで見えてくるようだった。

 

 

 ジンの義手、『タイプキマイラ』の内蔵スキル、【鑑定】により丸裸にされた、カンニバルオーガのステータス。


 ジンはそのステータスから分析していた。


 HPやMP、魔力や戦闘力などの肝心な数値が見えないのは、数値化という概念がないキマイラ目線の影響によるものか。


 しかし注目すべき項目はそれら数値よりも職種、称号、種族特性、そしてスキルレベルなのだとジンは思い、再度分析する。



 称号にある【鬼殺し】【同族殺し】【同族喰らい】【残虐王】を見るに、どうやらこの変異種オーガは同じオーガ族を殺し喰らう事で他の個体とは違うルートを辿り進化したようだ。

 

 進化する前は種族特性だって【鬼力】しか無かったはずなのだ。だから

【片手棍鎚術】が【両手棍鎚術】を経て【剛棍鎚術】に。

【腕力】が【豪腕】を経て【怪力】に。

【打撃耐性】が【打撃抗耐性】を経て【打撃極耐性】に。

【恐怖耐性】が【恐怖抗耐性】を経て【恐怖極耐性】に。


 それぞれ時間をかけて育てられたのか、二段階もの進化を果たしている。



(※ちなみにスキルというのはLV5を基準値としていてそれを突破するまでは能力が向上するだけだ。

 LV6やLV11という次のステージに到達する毎に出来ることが増え、スキル名称も変わるという形を取る。そうして能力を拡張させ強力になっていくという仕組み。)


 

 何がきっかけであったのかまでは分からないが…この変異種、『カンニバルオーガ』は思い込んだのだ。


『同族を倒し喰らえば、力が大幅に増大するのでは?』と。


 実際は周囲にオーガ族以上の強者がいなかっただけなのだろう。


 倒す相手が強敵であればあるほど多くの経験値が得られるのは常識であるのだが…緒戦は魔物、こんな基本的て致命的なる勘違いをしても不思議ではない。


 …とにかくこの魔物は勘違いしたまま同族を殺し、喰らう事を続けた。


 そうした思い違いの結果、複数の称号と【鬼無双】という職種を得たのではないか。

 おそらくこれは『鬼属でありながら特効的に鬼属を殺すことに秀でだ者が得る称号』であるのだろう。


 1段階進化した(LV6〜10の)スキル達も、その頃に得たものではないだろうか。


 そしておそらく、同族を殺し喰らう事を突き詰めて行く内に、殺した同族の爪や、牙や、角、皮膚などを収集するようにもなり、それらを加工して身に着けるようにまでなってしまった。


 まるで邪教の狂信者が邪法や教義からすら逸脱、検討外れなただの狂行に及んだが如く。


 実際に魔物であるのに【解体】スキルが進化手前まで成長している。気持ち悪い事に【裁縫】なんてスキルまである。


 そうして覚醒したのがレアスキルの【思い憑き】であり、新しい種族特性、【鬼肌】であったのだろう。

 それぞれの効果はハッキリとは分からないが、レアスキルであったり後続の発現である以上、かなり強い能力であるはずだ。


 そんな狂気を突き詰めていく内、遂に『変異種』として進化を果たした。


 そうして種族特性にはさらに【鬼覚醒】というのが追加され、オーガ素材の装備品や装飾品を造っていた影響で【鬼職人】とかいうよく分からないセカンドジョブまで得て、能力はさらに拡張されて【呪術】まで使えるようになった。

 レアスキルも同様だ。【恐縛】というのははきっと恐怖によって仲間を縛り付け、洗脳することが出来るのだろう。


 他の4体のオーガの眼は明らかにおかしかった。


 どういった効果なのか分からないがその進化を境に【壊腕】なんていう……恐らくは破壊特化のレアスキルまでも身に着けてしまっている。


 スキルが爆発的に増えたのは変異種になってからに違いない。

 まだ進化を果たしていない(LV1〜5の)数々のスキルは、その時に増殖するが如く次々に発現していったのだ。きっと。


 

 ブツブツと小さな盛り上がりで複雑に紋様を浮かび上がらせているスキンスーツや、トゲトゲでビッシリと埋め尽くされたあの棍棒……あれらはきっと殺した仲間から引き抜いた牙や爪や小骨片を埋め込んでいるのだろう。


 このカンニバルオーガの全体像もそうだが、トゲトゲとしているはずの棍棒のシルエットまでが、けぶって見える。


 きっとアレは可視化してしまう程強い怨念がこもっているからだ。そういった呪いのアイテムを持つ魔物はたまにいる。

 実際に状態欄にも『呪い』とあった。あのオーラは無惨に殺された仲間達の怨念の形であるのだろう。


【……色んな意味でとんでもないね…このド変態ゴリオーガ。】


 姿形だけで難敵である事が見て取れる。

 常人であれば、この姿を見ただけで精神を飲み込まれまともに戦えなくなってしまうだろう。しかし、


【でも凄いや。相手のステータスが読めるのってやっぱり凄い。ただの文字の羅列から…まあ大雑把だけど相手の過去まで推測出来ちゃうんだから。これはホントに凄い能力だ。】


 何だか『呟きの彼』も興奮しているようだった。どれほどの異様を誇ってもステータスを丸裸にされれば受ける恐怖も半減する。かと言って緊張感が若干足りてないように見えるのは戴けないが。


【何より初対面の魔物だっていうのに得意戦法までが大体分かっちゃうからその対策も分かっちゃう!】


 いや、何だかもう大興奮だな。


【ジン!コイツ滅茶苦茶頑丈だ!オーガ同士でぶん殴りあいしてきたからか打撃には滅法強いみたいだよ!それと腕の力が異常に発達してる!その力に頼りがち……って見た目でも感じるけど…その実強化スキルは【脚力】【体幹】【骨格】【身操力】【大跳躍】までも揃えてる。スキルレベルがまだ低いみたいだけど、きっとトリッキーな動きも出来るし、してくるだろう。それに感知系スキルも数種揃えてるし【忍び足】の上位スキルまで持ってて………って事は暗殺にも馴れてるよ!気を付けて!】


 興奮が頂点に達している。

 長々とウンチクが垂れ流される。

 その声にコクリ。

 ジンは冷静に頷き返事とした。




 そして素直に……って あれ?





 ドコン! 





【……ええええー〜………!】


 先程までの興奮は呆気無く水差された。


 ジンはもう一度殴りつけたのだ。

 『打撃は全く効かない』

 そうアドバイスされた直後だったのに。


「ごガア?」


 『呟きの彼』だけでなくカンニバルオーガまでも困惑気味な声を上げてしまうのだった。


 


もう一話投稿出来そうです!


 次は夕方18時!


 お楽しみに\(^o^)/

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