腐女子とロンリー。
斉藤「今回の話は弟と私。より私とクリスマス。を読んでいた方がわかりやすいかもしれないな」
富士「ちゃっかり宣伝してるね〜w」
榊「読んでなくても理解できるよ!!
まぁでも全体的に黄色(い富士)の小説は読みづらい!わかりづらい!理解不能!で通ってるから〜w」
富士「読んでなくも読んでも、理解し難い内容ってことだね?!」
榊「そうそう、理解できなくても、落ち込んじゃダメ!理解できないのが常識なんだから!」
斉藤「いやむしろ…そんなのが小説でいいのか…?なぁ…」
榊「………」
富士「………」
斉藤「なんか言えやっ?!!」
土曜日の朝ー
優雅に小鳥のさえずりが私を起こすこともなく、なんの変哲も無い目覚まし時計が自身を鳥と偽り鳴く。
「……朝、か…」
セリフの前に名前がない時点で誰かわからないだろう。
……斉藤です…
ヒ○シじゃないです…斉藤です…
最近の子に伝わるの?このネタ…と思いながらヒ○シです…
斉藤「…ロンリー…おはよう」
毎朝欠かさず私の腹の上にいる飼い猫の頭を撫でる。※弟と私。「私とクリスマス」より参照
不思議と重さはない。
多分まだ子猫だからだろう…
聖なるあの日、私と出会った猫はそれまでを語るように真っ黒で、やせ細っていた。
首にあったはずのそれはなく、私のために運んできてくれたイルミネーションの光。
私も猫も、ひとりぼっちだった。
ひとりぼっちが傷を舐めあい、ふたりぽっちになった。
しかし、彼にも友達ができたようだ。
ロンリーはロンリー(ひとりぼっち)だった。…だけどもうロンリーじゃない。
つまり、
ロンリーはロンリーだったけど、今はロンリーじゃない。
ロンリーが論理に見えてくる。
ロンリーとは…の哲学を考えてみる。
毎朝ロンリーに関しては不思議なものである…
ロンリー (またニャにか考えてる…?ニンゲンって考える生き物なのかニャー?)
斉藤「ロンリー、お腹すいただろ?何か食べるか?」
ロンリー (まぁ…ニャにを考えていても朝ごはんはくれるかリャいいニャ)
斉藤「ふぁあ……ねむ…」
*
ロンリー (今日のご飯はニャに??)
斉藤「…なぁ、猫って本当にねこまんまとか食べるのか?」
ロンリー (猫のご飯だからねこまんま…?食べられるかも知れにゃいけど……ご主人様はいつから脳直なニンゲンになったニャ?)
斉藤「ふふ、食べないよな〜富士に食べないって教えてやろう」
ロンリー (そっ、その富士ってやつかニャ?!おニョれぇ!富士!!ご主人様が脳直にニャっちゃったニャっ!)
斉藤「ほら、お食べ」
ロンリー (ニャニャっ?!このご飯美味しい!!ご主人様、さてはいいことがあったニャ?)
斉藤「美味しい?つい奮発しちゃったんだよ、ふふ」
ロンリー (ニャに?ニャに?ご主人様の喜びは僕の喜び!教えて教えて!)
斉藤「なんだよ〜ロンリー。くすぐったいなぁ〜あはは」
ロンリー 「ニャーニャー」
ロンリー (なんでくすぐったいニャ?僕、ご飯まだ食べてるニャ〜)
斉藤「ふふ、また買ってやるって!!ははっ!」
*
斉藤「じゃ、買い物行ってくるからな」
ロンリー「にゃぁー」
ロンリー (いってらっしゃーい!僕、遊びに行くね!)
斉藤「お前も、ご飯がないと困るだろ?」
ロンリー (ご主人様〜早く帰ってきてね!)
斉藤「遊びに行ってもいいけど、ちゃんと帰ってくるんだぞ?」
ロンリー (ご主人様?なんで振り向いてるの?…僕、ご主人様の前にいるけど…あ、もしかして忘れ物?)
斉藤「いってきまーす」
ロンリー (僕も一緒に行く!)
*
ご主人様と別れた後、僕は○×公園に行った。
ロンリー (いつもこの公園の砂場に…あっ!いたいた!)
ロンリー「にゃぁあー」
女の子「あっ!おーい!」
ロンリー (ちぃちゃーん!!)
ちぃちゃん「ふふ…天空より舞い降りし漆黒の堕天使よ、その翼に…って、わわっ!飛びつかないでよ〜!」
ロンリー (てんくう?難しい!ちぃちゃん、それなぁに?なぁに?)
ロンリー「ニャーニャー」
ちぃちゃん「天空っていうのはね、クロ、ほら、あのお空のことだよ!クロはあそこから来たんでしょ?…クロは真っ黒なのに可愛くて天使!だけど黒猫さんだから、漆黒の堕天使なんだよ!」
ロンリー (しっこくってなぁに?だてんしってなぁに?)
ちぃちゃん「漆黒っていうのはね、クロみたいな真っ黒のこと!クロはもともと天使だったけど悪いことをして真っ黒になっちゃったっけ設定だから!」
ロンリー (せってい…?ちぃちゃんの言うことは難しくてよくわかんないや)
ちぃちゃん「そうなの?実は私もよくわかんないんだぁ〜」
ロンリー (でも、なんで僕の言葉がわかるの?ちぃちゃんは…)
ちぃちゃん「んーと…なんでだろうね?多分クロが死んじゃってるからじゃないかな?私ね死んじゃった子の言葉が聞こえるの、すごいでしょ〜?」
ロンリー (そうなの?すごい!…ねぇ?ちぃちゃん、シヌってなぁに?)
ちぃちゃん「ええ?!そんなこと言われてもわかんないよぉ…」
ロンリー (でっでも!僕もわかんないよぉ〜!)
ちぃちゃん「んと…あっ!あのお空に行っちゃうことだよ!!クロは…あれ?クロ、なんでここにいるの?」
ロンリー (どういうこと?)
ちぃちゃん「だって、クロは死んでるからちぃと話せるんだよ?なのになんでお空に行ってないの?」
ロンリー (んー?難しいことはわかんないよ)
ちぃちゃん「だって、あそこの買い物袋を持ったおばあさんにはクロの姿、見えないんでしょ?」
ロンリー (え?そうなの?ちょっと行ってくる!)
ちぃちゃん「うん」
ロンリー「にゃーにゃー」
ロンリー (おばあちゃん!僕のこと、見えるでしょ?)
おばあさん「今日のお夕飯は何にしようかねぇ…ブツブツ」
ロンリー (あれ?…あ、女の子たちがきた!あの子達なら構ってくれるかな?)
ロンリー「にゃにゃにゃーー!!」
ロンリー (おかしいな…ねぇ?!ちぃちゃん!!……ちぃちゃん?どこ行ったの…?)
*
斉藤「ただいま…」
ちぃちゃん「おかえりなさい、ご主人様」
斉藤「……」
ちぃちゃん「驚かないでって言わなくてま…驚かないわね?」
斉藤「…人だったのなら通報していたところだ」
ちぃちゃん「そうね、わかっているのでしょう?クロは死んでいるということ」
斉藤「…そうだね…」
ちぃちゃん「なぜ彼を解放しないの?」
斉藤「いいかい?おチビちゃん、このままでいいんだよ。彼はそのことを理解していないようだが……。うっすら気づいたみたいだね、君のせいで。
汚泥の底でグズグズと騙し合いを続けていて、君にはとても滑稽なことだろう。だけどね、これでいいんだよ。
…ひとりぼっちだったんだ。ふたりぽっちになって何が悪い?死ぬときは、彼の終わりでもある。もう、ひとりぼっちにさせないと約束したんだ」
ちぃちゃん「…名前は、その体を束縛し、呪い、体現しようとする。どんなに願っても、いずれ離れ離れになる…それをわかっていた方がいい」
斉藤「なぁに…簡単なことだ。引き剥がされた磁石がまた惹かれ合うように…二つの水たまりが一つになるように…二つはやがて一つになり、また一つになる。反芻する日々が永遠を誓うだけの話だ。離れるから出会いがある。ただそれが運命のように絡み合いまた彼と惹かれ合うだけの話だ」
ちぃちゃん「……そうだと、いいわね…」
斉藤「…消えた…。蝋燭のようなお嬢ちゃんだな?ポッと灯ったと思えば消えている。人の命も所詮は蝋燭と同じだ…だからこそ、来世での運命を信じたいんだよ…その齢に達するまで君の炎は燃えていなかったようだが…」
*
ロンリー (あ、ちぃちゃん!どこ行ってたの?僕をひとりぼっちにしてー!)
ちぃちゃん「…クロ、だからあなたは堕天使なのよ…」
ロンリー (??なんのこと?)
ちぃちゃん (…ずっと私の帰りを待っていた…あの日まで、ずっと…)
ロンリー (ちぃちゃん?)
ちぃちゃん「それが…罪なのよ…。私も、あなたもどこかでそれをわかっていたのに…。もう二度と出会えないとわかっていたのに…どうして待っていたの…?」
ロンリー (ごめん…ちぃちゃん…僕、君が何を言っているのか…わからない…。僕、ご主人様の猫だから…)
ちぃちゃん (私も堕天使なのかもね。私と離れ離れになったからこそ、あなたはあの子と出会えた。あの子はもう、文字通りあなたを離さない。泥の中を必死にもがいても、あの子はきっと離さない。離れたとしても、見えない紐はあなたにもう塒を巻いている。あなたは羽の失った堕天使なのよ)
ちぃちゃん「…ね、また、会ってくれるかしら…?あなたを捨てたご主人様に…」
ロンリー (ちぃちゃんの言っていること、難しいけど、僕、ちぃちゃんのこと大好きだよ!)
ちぃちゃん「そう、ありがとう」
*
ロンリー「にゃぁー」
斉藤「おお、ロンリー、おかえり。今夜はスペシャルご飯だぞー」
そう言って私は腐り果てた餌の上にまた新しい餌を置く。
斉藤「ねぇ、ロンリー、美味しい?」
ロンリー「にゃあー」
ロンリー (ねぇ、ご主人様。ずっと気になってるんだけど、ずっとどこを見てるの?)
ニュースの音声「昨年の12/25から行方が分からなくなっていたアカネ チイさんの遺体が○×公園の砂場に埋もれているのが発見されました。なお、死体はすでに白骨化しており、警察の調べでは何者かが遺体を移動させたとのことです。次のニュースです。………」
富士「なんか斉藤、今日猫くさい…」
斉藤「そう?」
加藤「斉藤、猫飼ってるの?」
斉藤「……。いや?居ないけど…」
富士「あれ?居なかったっけ?」
斉藤「(富士たちの目には見えないから)居ないよ〜」
富士「そっか。じゃあ…野良猫かな?!wこの浮気者めー!」
斉藤「わりぃわりぃw」