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腐女子の日常。  作者: 黄色い富士
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腐女子と相談。


腐女子というのはふしぎな…いや、()しぎな生き物だ。

自身のことを腐だと隠しているのにもかかわらず、いつのまにかその正体は第三者によって暴かれている。

魔法少女になれる条件に「腐であること」がなくてよかったと思う。


が、しかし、腐女子は周りに腐だとバレても意外と堂々と…いやむしろ堂々と推しcpを言う奴もいる。


そんな選ばれし…選「バレ」し彼女たちは今日も迷える腐男子たち、もとい今晩のふりかけにするネタを持つ子羊たちに相談という名の腐のご加護を受けるのだ。


富士「ガツガツガツッ…!!もぐもぐ…」


斉藤「富士、そんなに頑張って頬張らなくても弁当は逃げねーよ」


富士は頬張っていた。

愛妻弁当…いや、愛斉藤弁当を。


榊「斉藤ちゃんの手作り弁当とか、あんたらほんとに付き合いたてのカップルかよ、って感じだね☆」


榊はそのラブラブな光景を見ずにゲームに没頭している。

あいつの頭には隠しカメラでも仕込んであるのだろうか?


富士「斉藤の弁当は最高だよー!毎日ご飯作って欲しい!」


富士はというと、呑気に古臭いプロポーズなどをしている。


……テールランプを5回鳴らして「アイシテル」だの、「俺の味噌汁、毎日作ってくれないか?」などと幾度もなく臭いセリフを吐いていそうだ。富士は。


斉藤「…プロポーズ?!プロポーズなの?!」


案の定、斉藤もそれが気になったらしい。早くくっついてしまえ。

…幸せになれよ!このやろー!


加藤「…プロポーズといえばさぁ、田中っているじゃん?」


ただ、「プロポーズ」という言葉に過剰反応を示したのも斉藤だけではない。

私も、それに巻き込まれた一員なのだ。別件で。


富士「あー、あの可愛い顔の田中くんかー」


田中くんは受けだなーとか言いつつ残しておいたらしいだし巻き卵に箸をつける。

だし巻き…出し……いやいや……


オーサカ「ふはっ!説明感丸出しやん」


笑いながら自分の弁当のウインナーを箸でつまみ出し、齧る。それはパキュッ、と可愛らしい音を出して、オーサカの口の中に消えた。

…パキュッ……

頭にその擬音が残る。


なんだろう、みんなの一挙一動が全部卑猥な方向へと進んでいく。


榊「それな」


今頃、田中と嶋田は空き教室で弁当食べてるだろうなとか、その時に偶然を装って手に触れしまえとか、その流れでキスしてしまえとか、、、そんな妄想ばかりが先走る。


斉藤「田中が何かしたのか?」


何かしたのか?いいや、田中じゃない。それもこれも、全部鹿島のせいだと思う。


加藤「いやー…あいつに相談されたんだよ…」


…いや、田中に毒されたのか…。

相談という毒と引き換えに、私はネタをもらったというのか…

まるで、美しい声と引き換えに人間の体を手に入れた人魚姫のように。

私はいつか泡になって消えるのだろうか…


…ん?王子様がいないな。

じゃあ、消えることもないだろう。


富士「この流れ、私知ってるよ…この回想に向かいそうな感じ」


榊「うん、なんかね…」


加藤「私が全てを担う」


富士「かっこよく聞こえるけど、当たり前のことを言ってるよね?!」


加藤「あの日、私は田中に屋上に呼び出されていた」


斉藤「この学校って屋上あったっけ?」


榊「都合よく出てくる屋上」


オーサカ「草」


富士「おいっ!設定とかいうなよ!!」


斉藤「いやいや、お前が一番いけねーよ」


加藤「そう、告白だと思った」


富士「っあれ?!この会話、全く触れてない感じ?!」


加藤「そんな素振りも見せなかったのに…なんだよあいつ、俺に気があったのかよ…///とか思いつつ、私は屋上へ向かった」


田中「あ…ご、ごめんね、加藤ちゃん…」


加藤「いや、いいんだ。で?話って…」


田中「う、うん…。あの、」


加藤「あぁ、言いたいことは、わかってる。告白、だよな…」


キャラにもなくウィンクをしてみせる。


私より数センチ背の低い彼は大きな瞳を潤わせて見つめていた。

揺れる瞳の奥に燃え盛る情熱的な視線が私の感情をも昂ぶらせた。


多分私が男だったら抱いてた。


田中「あ、あのね…っ…」


加藤「ああ、罪だな…」


可愛い田中は…との言葉は飲み込んだ。


田中「っ…やっぱり、罪なのかな…?」


彼は今にも泣きそうな声で言葉を紡ぐ。


加藤「た、田中…!」


私は焦って田中の肩に手を置いた。


田中「おっおれっ……もうわかんない!!鹿島のやつ…なんであんなことっ…」


加藤「えっ…???」


私の脳裏に浮かんだのはとんでもないことだった。


田中「え…加藤ちゃんわかってるって…」


加藤「あ…あーー…うん、わかってるよ…」


田中「…うん、告白…されたんだ。鹿島に。」


加藤「う、うん!?わかってるよぉ?!!」


本当は分かっていなかった。

そう、私は田中のことを理解しているようで理解していなかったんだ…


以前、「お前は○田のなにを知っているんだ」、的なゲームをやった。


ああ、知らなかったさ吉○!!

だから俺に吉○のことを教えてくれっ!!………って…何言ってんだ…わたし…


田中「よかった…加藤ちゃんなら察しがいいから…でも…」


加藤「でも?」


田中「鹿島に言われてから…なんか俺…おかしいんだ…」


加藤「…」


あっ…このシーン、薄い本でよく見るよ…


あれでしょ?

あいつのそばにいると、ドキドキして…なんか…変…になっちゃう…♡みたいな。


あー、耐えられるかな?


田中「なんか、俺…鹿島のそばにいると、すごく、ドキドキして…なんか、なんか…ポカポカしてあったかくって…あいつの一挙一動にここがキューってするんだ…それに、あいつがなんか誰かと喋ってるとなんでだろ、なんかムッとしちゃう…」


あ、想像以上にやばい…

破壊力ぱない。


田中強い…


田中「大体…ずーっと“人見知り同士”で一緒にいたのに、

他の人と喋ってるから…多分羨ましくて…それでムーってするのはわかるし、


ドキドキするのはあいつから多分マイナスイオンが出てるから……


……だから好きとかじゃなくて、あいつも俺も勘違いなんだって、わかってる、


………だけど、」


えー、まじー…か…

うわー、えっ、まじの展開じゃん

美味しいわ。うん。

え、つか何?マイナスイオン?

出てるの君の方じゃない?


……あーはい嘘です嘘。

頑張って耐えてますよーだ

だって今、私のこの萌えを爆発させたらヤバ…


田中「(静かに涙を流している)…」


っあー!もおーこの方はぁぁあ!

想像と妄想の斜め上をいってらっしゃるー!


あれでしょ?同じ共通点で繋がってたのにある日突然それがなくなって、寂しくなって、「なんで俺だけ…こんなあいつのことっ!!」って自暴自棄になって、攻めにその思いを告げる可愛い受けだろー、っあーやっべぇや

そのあとめちゃくちゃセッッッッやるやつだろー!


田中「…だけど…俺…あいつに見られると…なんか触れて欲しいって思っちゃって…こっ…こんなこと思って…き…気持ち悪いって…思われる…かな?…」


っあー!抱くっ!今すぐ抱くーー!


加藤「……」


田中「……俺、あいつにどういう顔して会えばいいんだろ…?」


潤んだ瞳が私を見ている。

もう、むき出しの野生。

それでも絞り出す理性。yo!


加藤「…なる…ほ、ど……」


田中「…そ、それで…助けて…ほしい…っ!おれっ…このままギスギスして、あいつと会いたくないっ!ちゃんと、『おれの気持ち』を伝えたい!!

……あ、でもその前におれの気持ちもわかってなきゃ…ぅう…」


加藤「…なぁ、田中。」


田中「え?」


加藤「男同士だからとか女同士だからとかそんな固定概念に惑わされちゃいけないと思うぞ。

好きだから『好き』。

あいつを認めたいから認める。


友達だって、相手を認めて初めて『友達』になれるんじゃないか?


だから、…その…うまく言えないけど、好きって気持ちも押し込んで無理やり消すもんじゃねぇだろ。

素直になればいい。


わからないかもしれない。

なら「今はわからない、だからこれからわかりたい」って素直に伝えるべきだ。」


って、薄い本で学びましたーとは言えない。


田中「加藤ちゃん…」


加藤「……それが後々愛情に変わろうが友情だと解ろうがどちらでも鹿島は受け止めてくれるだろう。


……私はあいつじゃないから、憶測だけど、…あいつも、お前と同じ感情を抱いていて、そういう結果を導き出したんじゃないか?

だから、お前も怯えず立ち向かってみろよ。それでも困ったらまた私が力になる。…っな?」


田中「…うん…わかった…おれ、ちゃんと言う!鹿島に!」


加藤「ああ」


そう、それで…いいのだ……。


〜回想終わり〜


加藤「ー…てことがあった」


斉藤「じゃー、発足という形で…」


富士「発足?」


斉藤「じゃあ、次回に続く」


富士「いきなり締めたねっ?!」

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