表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第4話 自動増補改訂式食品成分表
12/340

ご注文はメイドですか?

「おや、また転んで怪我をしたのかい?運動が得意じゃないんだから気をつけないと。

 ああ、息子のオリバーです。ほら、挨拶をなさい」

「こ、こんにちは…」

「さ、さっきはごめんね。お姉ちゃん考え事してて気がつかなかったの」

 ブラウンさんに事情を話すと、かえって謝られてしまいました。オリバーくんは不注意に走り回って転んでしまうことがよくあるそうです。はあ…よかった。

 促されてテーブルに座り、どうぞ、と紅茶のカップが置かれました。烏龍茶に近い香りで、渋みの強い紅茶です。

 簡単に自己紹介をして、支部長さんからの手紙を渡しました。ブラウンさんが手紙を読む間、どきどきしっぱなしでした。

 ブラウンさんは手紙を読み進めるにつれ、困った顔になりました。

「お話はわかりました。あなたがアンジェリカさんの世話係で、うちに下宿させてくれと。やれやれ、アルフォンスさんはいつも強引だな…。しかし、困りましたね。実はつい一週間前に部屋が埋まってしまったんですよ」

 支部長さん、話が違うぞ…。あと世話係って何ですか。付き人みたいじゃないですか。

 扉がノックされました。ブラウンさんが招き入れた人物は、なんとアンジェリカでした。アンジェリカはわたしに気づいて言いました。

「あら、りぼんじゃない」

「アンジェリカ?なんでここにいるの?」

「わたしはここに下宿してるの。ティータイムに来たのよ。で、あなたのほうこそここで何をしているのかしら?」

「おや、アルフォンスさんから聞いてなかったのですか?今日からりぼんさんをうちで下宿させるように頼まれたんです」

「え?一言も聞いてないけど。本当なの?」

「はい。ですが、部屋に空きがなくてどうしようかと」

「ははあ、伯父様はそそっかしいところがあるから、確認しないで勢いで決めたんでしょうね。他の宿を紹介してあげたら?」

「お恥ずかしい話ですが、うちとしてもまとまった収入があると助かりますので…」

 オリバーがアンジェリカを見上げて言いました。

「アンジェラお姉ちゃんが一緒に住んであげれば?」

「なんでよ、オリバー。どこぞの馬の骨とシェアする理由は微塵もないわよ」

 ひどい言い草です。

「だって、アンジェラお姉ちゃんのメイドさんなんでしょ?さっきお父さんが言ってたよ。アンジェラお姉ちゃんのお世話係だって」

 メ、メイド!?

「…何言ってんの?」

「本当です。ですからアンジェリカさんがいるうちの宿を指定したのでしょう」

「伯父様は何を考えているのかしら…」

「もしアンジェリカさんさえよければ、りぼんさんと部屋をシェアして頂けるとありがたいのですが…。ギルドから費用は頂けますので、アンジェリカさんは家賃を払って頂く必要はありません。それと、すぐにギルドに来るようにとの伝言です」

「はいはい、ティータイムは取りやめか。悪いけど、期待はしないでね」

 アンジェリカは不満たらたらに出て行きました。わたしの処遇はどうなるんでしょうか…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ