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栄護士りぼん 異世界大豆生活  作者: 多胡真白
第4話 自動増補改訂式食品成分表
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ブルーベル荘

 ウエンツ何とかカフェを出て、石畳を歩きながら、アンジェリカを太らせるための戦略を考えました。支部長さんの話を聞いていて引っかかったのが食料事情です。まだ新米学生のわたしは栄養管理と聞いて「食べ過ぎ、飲み過ぎ、塩分の摂り過ぎに気をつけよう」のイメージがあります(人のことは言えません…)。飽食の現代とは事情がまるで違います。

 とは言っても、共通点がないわけでもありません。栄養バランスが偏っているのは現代も同じです。

 本格的に勉強を始めてから食品成分表を開くたびに思いますが、まずは食品について知らなければ栄養管理は始まりません。しばらくは毎日市場に通って調査する必要がありそうです。のっけから重い仕事にため息が出ました。まあ、当面の宿と生活費が確保できたんだからよしとしますか…。

 そんなことをFランの頭いっぱいに考えていたら、角から飛び出してきた男の子とぶつかってしまいました。

 ぶつかった衝撃で倒れた男の子は膝をすりむいていました。小学生の低学年くらいの歳に見えます。

「ご、ごめんね!」

 わたしは慌てて男の子に謝り倒しました。拳をきつく握って、泣きそうになるのを必死で我慢している様子が罪悪感を煽りに煽ります。

 しかし渾身の謝罪もむなしく、男の子はわたしの横を走り抜けて行ってしまいました。これが居酒屋のお客様だったら食べログで星一つ案件だなあ…と落胆したとき、男の子が飛び込んだ建物の看板に「ブルーベル荘」と書いてあるのが見えました。あれって、もしかしてわたしがお世話になる下宿先では…?

 もしもあの男の子が宿の住人で、すごく怖いご両親がお隣さんだったらどうしよう…と、びくびくして足を踏み入れられないでいると、突然背後から声をかけられて、思わずぎゅっと内股になりました。

 穏やかな目をした優しそうな男の人でした。

「申し訳ありません、驚かすつもりはなかったんです。うちに何か御用ですか?」

「あのう…ギルドの支部長さんに言われて来たのですが、こちらの大家さんはどこにいらっしゃるのでしょうか」

「それでしたら私です。申し遅れました、ブラウン・スウィフトと申します」

 支部長さんからの手紙をブラウンさんに渡そうとすると、中へどうぞ、とブラウンさんの部屋に案内されました。

 部屋に入って驚きました。さっきの男の子が、膝下にガーゼを巻いているところでした。


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