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ふつうのふつうのお姫様  作者: 榊原彩花
7/18

7話

「お嬢様、何落ち込んでるんですか?もう過ぎてしまったことでしょう。」

呆れた声でティーナが言う。

「だって、だってティーナ、わたし殿下に失礼な態度をとっちゃったんだよ。これって問題を起こしたってことだよね?もう帰されちゃうのかな?アンダーテの主人に殺されちゃうかな?」

問題を起こすと殺すって言ってたんだっけ?

「もう!!あんなの脅しに決まってるじゃないですか」

えっ?でも、だって、あんな事言うから。もし、脅しではなく本当だったとしたら、いざっとなったらわたしは、戦う。

「そんなことより、今日はお嬢様が殿下と過ごす日なんですからね。しっかりしてください。その時に確認すればいいじゃありませんか。」

「それは嫌だ。だってあんなにかっこいい人とふつうに話せるわけない。」

「剣の練習している時はふつうに話してましたでしょ。」

ああ、良く考えたらなんでわたしは、あんなふうにふつうに出来ていたんだろう?あの時は剣のことで頭がいっぱいだったから。

「ねえ、ティーナ、殿下とは何をすればいいの?」

もしかしたら、剣の練習を手伝ってもらってもいいのかな?

「なんでしょう?わたしにはよく分かりませんが、剣の練習ではないことは確かでしょうけどね。」

ティーナは、どうやらわたしの心の中が分かるらしい。なぜ、思っていたとおりのことを注意されるのか。

「もう、お嬢様。早く着替えますよ。もうすぐ殿下がお迎えに来られますから。あの時のあんな格好じゃだめですからね」

わたしにはあんまり派手な格好が似合わない。そんなことはもう小さい頃からわかっていた。だから嫌いなのだ。ティーナがよくわたしに着せるフリフリのドレスは。




コンコン

「アンダーテ嬢、お迎えに参りました。」

あの時みたいにくだけた言葉使いではなく、第二王子としてふさわしい言葉使いでわたしの事を迎えに来た。

「お待たせいたしました。」

わたしは結局ティーナにフリフリの派手なドレスを着せられた。

「では、まいりましょうか?」

そう言って、殿下は何でもないことのように、わたしの手を握る。

なになになに? なにこの手。こんなかっこいい人とわたしが手?

ありえないだめだだめだ。思わず赤くなってしまう頬を、殿下にばれてしまわないように、空いているほうの手でおさえた。

「えっ?あの殿下?この手は?」

「まいりましょうか。アンダーテ嬢?」

有無も言わさぬ強引さでわたしの手を引いた。さすが王子様、慣れていらっしゃる。そうすれば、女はみんなゆうことを聞くかのように、




殿下がわたしを連れて行ったのは、何故か城下町だった。

わたしはそれくらい地味だということだろうか。わたしには王宮ではなく城下町が似合うということだろうか。

わたしが1人で考え込んでいる間にも、殿下はわたしの手を引きながらどんどん歩いていく。

とうとう耐えきれなくなって、殿下に声をかけた。

「あの、殿下?なんでこんなところに?」

「ああ、それは、ほかの女だと絶対に一緒に来てくれないから。僕正直さ、ほかの女とやるお茶会とか全然興味ないんだよね。それに、猫かぶるの疲れるし。でも、君となら大丈夫かなと思って、だって僕に戦いを挑む女だもんね。」

やはりこの男は、猫をかぶっていたのか。迎えに来た時のように、丁寧な言葉遣いで、ほかの嫁候補達とは話していたんだろう。

それは気が楽と言われているということだ。これは、喜ぶべきところなんだろうか?それとも、怒るべきなのだろうか?

「でも殿下、殿下がこんなところに来てもいいんですか?」

もうみんな殿下のことを殿下だと、気がついているみたいだけど。

「ああ、大丈夫だよ。みんな分かっているけど、知らないふりをしてくれてるし。僕、よくここに来るから。」

で、で、で、殿下がよく城下町に来る!?

「何でですか!?」

王族がそんなことをしてもいいの?

「何でって、視察みたいなもんだよ。書面上では分からないこともあるし。直接見た方がいいでしょ?」

当たり前のように言った。そりゃあ分からないこともあるでしょうけど、直接町に出て視察をする王族なんて初めて聞いたよ。

変わっているのですね。この第二王子のトーマ様は、


こうして、わたしと少し変わった第二王子のトーマ様との城下町視察が始まりました。

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