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ふつうのふつうのお姫様  作者: 榊原彩花
3/18

3話

「んん」

目が覚めるとそこは、広い豪華な部屋だった。

起き上がろうとするとズキッと殴られた腹がいたむ。

一体なんなんだ。幸い手足は縛られておらず歩き回ることもできた。

逃げようと大きいドアに手をかける。さすがにあかなかった。これで逃げられてしまったら、連れてきた意味がなくなるのであたりまえなのだが。

窓は一応開く。開く意味が下を見て分かった。ここはとんでもなく高い所にある部屋なのだ。ここからは逃げられる事はないと分かっているから開くのだ。

でもわたしを舐めないでいただきたい。こんな所なんとか抜け出してやる。

懐にはバレなかったみたいでちゃんと短剣はあった。なんとかこの短剣で逃げだすことは出来ないものか。使えるものはないかとあたりを見渡すと、床にしいてある高そうな絨毯に目がいく。

これを切り裂いて、ロープみたいにすれば逃げられるかもしれない。

ごめんなさいと心で謝りながら短剣を突き刺そうとした瞬間、ドアが開いた。

「えっ?」

「ななななな、何してるんだーー。その絨毯は一点物なんだぞ!!!」

この家の主人らしき男がさぁーと青ざめた。

入ってきたのは、青ざめた男とその妻らしき女、あとその2人の護衛と思われる男だった。

護衛の男は、ドアが空いたことに驚き固まっていたわたしから短剣を奪った。

「返してください」

護衛の男に手を伸ばすが、簡単によけられてしまう。

「申し訳ございません。ご主人様のご命令ですので、」

ちっとも申し訳ないと思っていない声で言い、短剣を青ざめた男に渡した。

幾分落ち着いたのか、青ざめた男は、叫んでしまった事を帳消しにしてしまうように身なりを整えた。

「勝手に連れてきてすまない。」

「何が目的ですか?」

こういう時は声を荒らげてはいけない。相手を怒らせないことに気をつけろとあの人は言っていた。まぁすでに怒らせてしまったのだが。

私の問いにいままで黙っていた奥さんと思われる人が初めて口を開けた。

「わたくしはアイラル・アンダーテともうします。見ず知らずの方にこんな事を頼むべきでないとわかって入るのですが、もうどう使用もないのです。お願いします。.........、娘の、レベッカの身代わりをやって頂けませんか?」

「えっ?」


そして静かにアイラルは話始めた。

アイラルの娘レベッカ・アンダーテはこの国の第二王子、トーマ様の嫁候補になったそうだ。

その嫁候補全員が集まり王子と一緒にすごしながら王子が1番気に入った方と結婚をするというのがこの国では行われている。わたしは、そんな事をしているなんて全く知らなかったが。

だが、その集まる日、前日にレベッカはいなくなってしまった。

「わたしは、ほかの方と結婚します。探さないでください。」

という書き置きを残して、

それでアンダーテ家は大混乱になった。なにせ王子の嫁候補なのだ。今更行けないなどアンダーテ家の信頼は地に落ちる。だから、レベッカの身代わりを探した。それで連れてこられたのがわたしという訳なんだとか。


「あの、それ私に拒否権あります?」

「うん、まぁ、命がいらないんだったら断わってもいいよ。」

くろい笑顔で言い放つ。

それって結局選択肢はやるしかないじゃないか。なぜこんなことになった。若干の怒りを感じた。

「・・・分かりました。やります。身代わり」

「本当ですか?ありがとうございます。」

貴族は頭を下げないのにアイラルはわたしに頭を下げた。断られることなんてある訳ないのに。それくらい切羽詰まった状況だったのか。

「あの、ひとつお聞きしたいのですが、何故わたしを連れてきたのですか?」

わたしの周りにはわたしと同じくらいの年の女はたくさんないたはずだ。なのに何故かわたしが選ばれた。

あの少年を助けたからなのか。だからだとしても後悔はしていないが。

「それは、あなたの髪と瞳の色です。」

「色?」

「ええ、レベッカはあなたと同じ黒曜石のような髪と瞳の色なんです。」

ああ、そういうことか。確かに黒の目と髪を持つ者は少ない。みんなたいてい茶、金、朱など色とりどりなのだ

わたしの家もわたし以外は黒はいない。一番近くてお兄様の黒っぽい茶色だ。

「レベッカはあまり社交界に出たがらなかったので顔の方は大丈夫なのですが、髪と瞳は珍しい黒を持つとして有名なので、黒の髪と瞳を持つあなたを連れてきたのです。」

「娘と同じくらいの年齢では全く見つからなくてな。君がいてくれて助かったよ。」

なんだかその言い方は別にレベッカがいなくてもレベッカの代わりになる人がいればいいと言っているみたいで嫌だっだ。

顔も知らないレベッカが親から愛されていないわたしと同じ様な気がして、逃げ出したレベッカに怒りはないのかと聞かれれば嘘になるが、大変だったのだと思うことは、できた。


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