1話
初めての作品です。至らない部分もございますが、どうかよろしくお願いします。
貴族のコートリア家に、王宮の男達が来ていた。
「天女に愛された家には、隠されたものがいるそうで。私共は、その者を見に来たのだ。」
男達は期待を込めた目で奥方を見つめた。
コートリア家の奥方の顔がひきった。
「も、申し訳ございませんが、そ、その娘は今病気でして...。誰にも会うことが出来ないのでございます、、、」
動揺しながらも断ろうとする奥方の言葉を無視して男達は続けた。
「よいよい。見せていただくだけでいいんだ。その娘の部屋は、どこだ?」
「つきあたりですけど...だ、ダメなのです。おやめ下さい。」
すぐにでもその部屋に行こうとする男達を奥方は、必死で止める。だが、願いも虚しく男達の手が隠されたもののドアを開けた。
「あああーーーーー」
奥方の悲痛な叫びが響いた。
そこに居たのは、天女に愛された者なのではなくただのふつうの女だった。だが、ひとつ褒めるところがあるとすれば、髪だろう。その女の髪は、今まで見たことが無いくらいつややかで、美しかった。だが、それだけだ。
それだけでは、男達の期待に応えるは出来ない。
「この者が天女に愛さりているのか。コートリア家も落ちぶれたものだな。不愉快だ。失礼する。」
バタン
ドアが閉まる音が妙に大きく聞こえた。
取り残された奥方は、隠された者の頬を殴った。
「お前のせいだ。お前のせいで落ちぶれたなど、お前さえいなければこのコートリア家は、天女に愛された家だったのに。」
殴られた隠されたもの レイラは悲しげに俯いた。
ここコートリア家は、美人しか生まれないことから天女に愛された家として、知れ渡っていた。だが、レイラは天女に愛されなかった。
レイラの兄も姉も妹もみんな美しいのに、レイラは何故かどこにでも居るふつうの女だった。
レイラは美しくないという理由だけで子供の頃は兄弟達からは馬鹿にされた。しかし、大きくなるにつれレイラとほかの兄弟達が会うことを、奥方は許さなかった。まるで、レイラの顔がうつるかのように、
そして、1度も社交界に出してもらえることはなく、いままでの時がすぎた。どこからレイラの情報が漏れたのか分からないが、それは奥方にとって嫌な噂だろう。
なにせ奥方は美しいものしか愛することが出来ないのだから。
だからなのか、唯一レイラの髪だけは愛していた。もしレイラと会わなければいけない時は、いつもレイラは後ろを向かされ、振り向く事は許されなかった。
「出ていきなさい。お前のような女、生んだ覚えなどない。出ていきなさい。恥さらしが」
「お母様、お待ちください。わたしは、絶対に表に出ません。いままでどうり隠れていきていきます。なので、どうか、お願いですから、この家に置いてください。」
こんな時でもレイラは後ろを向かなかった。その姿には、何やら狂気じみたものがある。
だが、無情にも、奥方はその言葉に耳を貸さなかった。
こうなってしまった今、レイラに出来ることは無い。ただ淡々と荷物をまとめる。
あまり悲しくないのは、心のどこかでこうなる事が分かっていたからだろう。
家を出て行くレイラの事を見送ってくれる人は誰もいなかった。