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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
三章 「浄化異変」ACT4
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46 奇跡の可能性は

 「遅いねえ」

 「うおっ!?」


 俺が気付いた時には遅かった。

 ルカは俺が気付くよりも早く俺の懐に潜り込んでいたのだ。

 

 「くっ」


 俺は素早く左手をずらした。

 しかし、いとも簡単に手は切断されてしまう。

 俺の手から鮮血が吹き出した。

 神殿の地面のような物に俺の左手が滑り落ちた。

 次の瞬間、俺は後ろから引っ張られて投げ出される。

 霊夢が助けてくれていたのだ。

 殆ど攻撃が通らなくとも、俺を守るために動いてくれていたのだ。


 「左手が…………!」


 俺の体はすぐに再生を始めた。

 摩多羅の加護による能力で瞬時に俺の左手は再生する。


 「くそがっ!」


 俺は叫び、刀をルカに向けた。


 「一体どうなってやがる」


 俺は呟くと同時に、動き出した。

 ルカの右手に光の塊が生まれだしている。


 「どうだい? 君達が太陽と呼ぶものだよ」


 太陽!?

 なら、あの手の中にある塊は…………!?


 「避けろぉぉぉ!」


 それが起こったことを俺は知覚出来なかった。

 俺は突然吹っ飛ばされた。

 そして、俺がさっきまで立っていた場所は光に包まれていた。

 

 「すまないな」


 摩多羅の声がした。

 そして、光が消えた時には、どこにも摩多羅の姿は無かった。


 「自己犠牲を選ぶか。詰まらない心理だ」


 直後、非情な言葉が響く。

 その言葉は、摩多羅の死を意味していた。

 

 「僕はこれまで多くの生命を観察してきたが、皆同じような選択をした」

 「詰まらない心理だ。君を見捨てて自分が生き残る事を期待していたが」


 そう言うと、ルカは再び手の内に光を生み出す。


 「さて、次に死ぬのはどちらかな?」


 ルカは俺達の方を向いてそう言った。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「ご機嫌ですね。何か良いことでも?」

 「まあ、そうだね」


 ルカ様の機嫌が良いときは、大体自分の遊び道具が見付かったときだ。

 ルカ様は人間達を遊び道具と思っている。

 また、それは観察対象でもある。

 私も昔は良くルカ様の遊び道具にされたものだ。

 あのころはあまり思い出したくない。


 「何を御覧に?」

 「君も見るかい?」


 私は遠視でそれを見た。

 思った通り、辰達はフォールンにやられている。

 本来の歴史では、彼等はフォールンの元へ辿り着けることは無かった。

 どこかで運命が曲がったのか、フォールンの元へたどり着いてしまったのだ。

 もっとも、それはさらに残酷な運命だったようだ。

 このまま行けば、辰は仲間を全員失い、それでもフォールンを倒そうとして結局死ぬ。

 どう足掻こうと、死しか待っていない。

 可能性があるとすれば、相討ちになるか。

 

 「ルカ様。歴史改編の許可を」

 「何でだい? 今の君には必要ないと思うけど」

 「あの子達にもう一度チャンスをあげたいのです」

 「もう一度やれば、何か変わるかも知れないでしょう?」

 「まあ、そうだね」

 「良いだろう」


 これでも私たちは億を越える歳月を生きている。

 ルカ様に至っては、最早人には数えられない時を生きている。

 その中で多数の可能性を見いだしてきた。

 きっと、今も辰達が奇跡を起こすことを期待しているのだろう。

 星の数ほどの確率だが、システムの中では高い確率の方だ。

 システムの"都合のいい歴史"を作り出す機能へ辰達が作用できれば、奇跡はきっと起きる。

 まず、私を倒す時に核融合のアイディアを思い付いたのが奇跡の始まりだったのだろう。

 いや、摩多羅神を倒したときからだろうか。

 なんにせよ私には知ることは出来ない。

 全てを知るのはルカ様のみだ。

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