異史「東方憑依華」ACT3
「行くわよ!」
女苑の掛け声と共に二人が同時に襲い掛かってくる。
「セイッ!」
俺は女苑が迫ってくるのを素手で掴み、投げ飛ばした。
「ふぐっ!」
「女苑!?」
紫苑が女苑に近寄って呼び掛ける。
案外対した事は無かった。
これで終わってくれれば良いのだが________
「"クイーンオブバブル"!」
やっぱり、終わりはしなかったか。
あれは、スペルカードか。
女苑の周りにライトのようなものが現れている。
あの光に当たったら不味そうだ。
「ちょこまかと逃げやがって……………」
俺は落ち着いて相手の隙を伺う。
見る限り、紫苑はあまり戦闘はしないようだ。
なら、紫苑の隙を突けば、纏めて二人とも倒せる可能性が高い。
女苑の戦闘能力はかなり高いが、それでも霊夢や摩多羅には劣る。
これは本当の殺し合いじゃない。ただの遊びに近い。
その証拠がスペルカードだ。
人を殺すなら、スペルカードなんて使う必要はない。
意図的に殺傷能力を無くした弾幕、それがスペルカードだ。
「今だっ!」
俺は紫苑の隙を突いて刀を振りかざした。
勝った、俺はそう思った。
しかし、紫苑は俺の予想外の行動を取った。
「憑依っ!」
紫苑の声と同時に紫苑の姿が消えた。
振り向くと、後ろに紫苑が居る。
こいつら、自ら強制憑依できたのか……………!
しかも、俺に憑いたのは貧乏神の紫苑!
このまま放っておけば、俺の運が尽きて殺られる!
「姉さん、よくやったわ!」
女苑が叫んだ。
不味い。憑かれた事もそうだが、今は前後で挟まれている!
「うおおおおおおっ!」
俺は気合いと共に能力を発動した。
俺に憑いた紫苑を引き剥がす!
「ええっ!?」
流石の紫苑も驚いているようだ。
「まさか、自ら憑依を解除出来る人間が居るなんて!」
「さあ、今度はこっちの番だ!」
俺は女苑に勢いよく近寄り手を掴んだ。
そのまま、紫苑の元へ投げる!
「セイッ!!」
俺が憑依されたときに感じた感覚を基に、女苑を紫苑に強制憑依させる。
これで女苑は行動不能、後は戦闘能力の殆どない紫苑だけだ!
「後はお前だけだ!」
「うっ……………」
紫苑が後退りする。
しかし、いきなり紫苑の目の色が変わった。
「もういい、お前も道連れにしてやる!」
「不本意ではあるが、ここで本気を出してやる!」
唐突に紫苑から負のオーラが流れ始めた。
これは前の比じゃない…………………
本気を出すと言ったが、まさかこんな奴だったなんて!
「うおっ…………」
あのオーラに飲み込まれたら間違いなくやられる。
不幸の念だけじゃない、ありとあらゆる負の要素が詰まっている!
「さあ行くぞ!」
紫苑が叫び、更にオーラが強くなる。
怨念のような叫び声も聞こえてきた。
「ちくしょう、どれだけ負のオーラを溜め込んでいるんだ!」
俺があれこれしている内にも辺り一面にオーラが広がっていく。
まずい、これ以上広げられたら広場の四人にも被害が及ぶ。
俺は少しステージを見た。
居ない! あの四人は去った後だ!
ラッキーなことに、ステージからは人は消えていた。
もう加減する必要はない。
負のオーラごと紫苑を潰してしまえば、それで終わりだ!




