異史「東方憑依華」ACT2
「やっば!」
俺は焦っていた。
今戦っている相手は、俺を圧倒しているのだ。
俺が能力で防いでいても、相手の攻撃は激しさを増していく。
こちらが攻撃できる隙がない。
「まだまだ行くぜ!」
魔理沙が叫び、またも極大レーザーが放たれる。
「セイッ!」
俺は気合いと共にレーザーを防ぎ、魔理沙に肉薄した。
同時に、刀の鞘で一撃入れる。
「ぐほっ」
鈍い音が鳴り、魔理沙が倒れる。
空中から地上へ落下していくのを霊夢が受けとめた。
「やるじゃない、辰」
「いや、今のは隙があったから出来たことだ」
話をそこで止め、俺は耳を澄ます。
何かの声のようなものが聞こえる。
俺が暫く聞いていると、霊夢は言った。
「ごめんなさい、辰。私は華扇に用があるから、一人で行ってて」
「…………分かった」
華扇が誰だかは知らないが、これで一人になってしまった。
霊夢は別行動をするつもりなのだろう。
「……………やっぱり、聞こえるな」
これは…………… 音楽?
南の方向から、音楽が聞こえてきている。
俺はその方向へ向かうことにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「これは……………」
音楽が聞こえていたのはここだ。
広場のような場所で4人が演奏している。
観客はいない。
リハーサルか何かなのか、俺は様子を見ていることにした。
「何だ?」
待つこと二十分、俺はそれを見た。
広場に近寄ってくる二人の少女。
片方はとても豪華絢爛な容姿であるが、片方はみすぼらしい姿であった。
真逆の姿の二人を観察することにする。
「さあ、今日も稼ぐわよ」
豪華な方が言った。
稼ぐ…………?
こんな早くに来ているなんて、おかしい。
観客ではないようだ。一体何のようだ?
しかも、ステージの四人に気づかれないようにしている。
「取り憑いて皆からお金を巻き上げるのよ」
取り憑く?
まさか、完全憑依の事か?
「いやあ、今回の異変を起こして正解だったわね!」
「私にも分けてよ」
「ダメよ、姉さんはすぐ無くすから」
異変…………… そうか、こいつらが主犯か!
俺は刀に手を掛けた。
いつでも、これで奴等を斬れる。
「さあ、帰るわよ」
「下見はここまで?」
「そうね、後はライブが始まってからよ」
背を、向けた……………!
俺は勢いよく飛び出し、刀を振った。
「えっ!?」
「ちっ、避けられたか」
運が良かったのだろう、青髪の貧乏そうな奴にはかすり傷しか負わせれなかった。
くそ、これで最大のチャンスは失われた。
「こいつ、聞いてたな」
青髪の方が言った。
「そうさ、聞いてたぞ。最初から最後までな」
俺は二人に言ってやった。
それを聞いた青髪の方が豪華な方に言った。
「女苑、こいつは危険だ!」
「分かってる!」
俺は刀を向けて言った。
「さて、お前らは誰だ」
「私は依神女苑、富をもたらす女神」
俺はそれを聞いて、冷静にいい放った。
「巻き上げる、てのも聞いてたぞ」
「女苑は疫病神よー」
「私は依神紫苑、妹のおこぼれに預かろうとしてる貧乏神よ」
こいつら、姉妹か……………
疫病神と貧乏神の姉妹か、最悪の二人組だ………………
「知られたからには許して置けない、不幸に落としてやる」
紫苑が言った。
「良いぜ、掛かってこい。返り討ちにしてやる」
俺は自信を持ってそう言った。俺の能力を使えば、憑依は無効に出来る。
俺以外の奴から邪魔もされないし、今の俺には憑依される相手もいない。
絶好のチャンスだ。
「姉さん、行くわよ」
女苑も言った。
「「我らが何故最凶最悪の姉妹なのか身を以て知るが良い!」」




