44 核
「終わらせます。あなたがたには、この先に進んでも意味はない」
「あるかどうかは俺達が決める!」
俺の結界を打ち砕き続けるシオンの杖。
どうにかして、あの杖を防ぐことができれば、こちらに攻撃のチャンスがある。
パキン、パキンとガラスの割れるような音が響く。
俺の張った結界は今も割れ続けている。
一瞬でいい。
隙があれば、シオンを攻撃できる。
チャンスは一度きり。
失敗すれば、もう隙は見せてくれないだろう。
「オラァ!」
俺は気合いと共に衝撃波を放つ。
しかし、読まれていたかのように回避されてしまう。
「あなた方と私は構造が違います。反応速度の違いは大きいですよ」
反応速度を補う方法はない。
神はシステムのデータを見て動く。
システムのデータを直接見ているのだから、その行動に隙も遅延もない。
「反応速度の違いがあってなお、私の攻撃を防ぎ続ける」
「しかし、防御だけでは勝てませんよ?」
そう言ったシオンの背後から霊夢と摩多羅が攻撃する。
しかし、あちらも結界で守られている。
まともに攻撃が効かない。
一瞬の隙を付いて、核を破壊できれば。
それだけで、シオンは攻撃能力を失うはずだ。
しかし、その隙は一向に現れない。
全方位の結界に加え、神としての強烈な身体能力。
そして、未だに発動されないシオンの能力。
それが俺の敗北の可能性を強めている。
どうにかできないのか!?
「やはり、無理ですね」
シオンが呟く。
そういえば、シオンの能力は"原子"。
原子と言えば…………!
「何をするつもりですか?」
俺は能力を行使した。
シオンを壁の中に閉じ込め、内部に原子を集合させる。
唯一俺が持つ最強の物理的攻撃。
原子の衝突による、核融合。
そして、核爆発だ。
「そんな、バカな!」
流石のシオンも驚いている。
核爆発であれば、シオンも無傷ではいられまい。
シオンを閉じ込めた障壁が防護壁の役割を果たし、俺達を核融合の熱線や放射能から守ってくれている。
「くっ!」
俺は核融合が終わった瞬間、それに手を伸ばした。
能力を発動させた右腕。
この腕で、シオンの核を破壊する。
肉体の核を破壊できれば、いくら神でも精神状態となって行動不能になるはずだ。俺の推測が正しければ、このまま進めばシオンの核に辿り着ける。
「よし!」
シオンの肉体を貫通して手が入った。
そして、シオンの体の中心にあったコアに触れるや否や、俺は能力を発動させた。
「まさか、コアを破壊できるとは!」
もうシオンの戦闘能力は失われた。
これで、俺達はシオンに勝ったことになる。
肉体を失った神は俺たちへの物理的接触が不可能になる。
そうなれば、簡単には俺達を止めることは出来なくなる。
「完敗ですね。私はもう降参しましょう」
シオンは体を再構成してしまったようだ。
もしこれで再び戦う事になっていれば、今度こそ負けていたが、もうシオンは諦めている。
これで、俺達を阻むものは無くなったわけだ。




