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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
三章 「浄化異変」ACT3
43/56

42 原子の神

 ______あれで良かったのかい?


 「良いんですよ、私は。これが最善ですから」


 ______そう。君の好きにすると良いよ。

 ______これを見ているのも楽しいからね。


 「では、失礼します。それでは、"創造神様"」


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「………………飽きたな」


 俺は目の前の男が言った言葉が理解できなかった。

 飽きた、だと?


 「そうだ。飽きた」

 「長く続ける戦いは好きじゃない。もう通って良いぞ」


 俺は、それが罠ではないかと疑った。

 これまで妨害してきたのに、何故ここで遠そうとするのか。


 「攻撃なんかしねえよ。疲れたからな」

 「俺はテーフォと出掛けてくるからよ。じゃあな」


 一瞬聞こえたテーフォという人物が誰か分からなかったが、彼はその言葉を言い残して消えた。

 同時に、摩多羅の声が聞こえてくる。


 「存在の移動を確認……………… 奴は去った」

 「何だったのかしら………………」


 霊夢が呟く。

 俺も分からない。

 何故あそこで、彼は自らの仕事を放り出したのか。


 「彼らは上位者の命令には逆らえない」

 「逆に言えば、命令されていなければ無視しても良いということに繋がる」


 奴等は、命令されていない…………?

 では、奴等の指導者は誰なんだ?


 少し前に現れた"創造神"は最高指導者が自らの片割れだと語った。

 そう、システムの最高権限者が指導者なのだ。

 しかし、命令はしていない。命令さえしていれば、放り出される事も無かっただろう。

 

 「進もう」

 「この先だ。大きな力の流れを感じる」


 俺達は同じように進み始めた。

 光線が飛び交っている。

 そして、その光が目指すのは一つの点。

 俺達はそこへと向かっていく。


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「門、か。奴等、門好きだな」

 「境が欲しいのだろう。この先は、別の世界だ」


 俺は息を飲んで扉に触れた。

 しかし、その扉は開くことはない。

 

 「何故だ!?」


 俺は扉を叩く。

 しかし、一向に開く気配がない。


 「何故だと思いますか?」


 俺は頭上から声を聞いた。

 悪寒を感じ、俺は門から瞬時に跳び退さる。

 

 「あんたは………………!」


 そこに居たのは、居てはいけない人物だった。

 

 「シオンさん、何故ここに居る!」

 「シオン…………… 彼女が、辰を助けてくれたのね」


 霊夢が呟く。

 シオンさんはここに居てはいけない人物の筈だ。

 力を失い、ここには来れない。

 そうであったのだ。


 「さて、何故開かないと思います?」

 

 俺はその言葉の直後に力の気配を感じた。

 彼女から力が門の中心に流れ込んでいる。

 

 「まさか、シオンさん……………!」

 「そうです。この扉は、もう開くことはありません。私が閉じさせて貰いました」

 「何故だ!」

 「何故…………… 騙した!」

 「騙した? 私は最初から嘘も吐いていませんし騙すつもりもありませんよ」

 「"名乗らなかっただけ"ですよ」


 俺はシオンを睨み付けた。

 まさか、このような展開になってしまうとは。


 「では、改めて名乗りましょう」

 「私はシオン。"原子"の最高神です」

 

 原子……………! 


 「本当に愚かな人ですね。ここに来れば、あなたは死んでしまうと言うのに」

 「ですから、あなたにはこの先には行かなくても良いのですよ」

 「これが最善、これが"歴史"なのです」


 俺はその言葉を即座に否定した。


 「俺は諦めない。あなたを消滅させるようなことがあっても、俺は諦めない」

 「………………愚かですね。私を消滅させる事は今のあなたには不可能なのですよ。ましてや、創造神様の半身を消滅させようなどとは」

 


 

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