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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
三章 「浄化異変」ACT2
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39 暗き空に佇まん

ついに一週間が終わった。

 もう、俺達の安寧は守られない。


 「行くぞ。最後の、戦いに」


 俺は霊夢達に言った。

 俺の前には神社の裏にある扉がある。

 俺達があてに出来る転移可能な場所はここだけだ。 

 摩多羅の転移能力を応用して神々の世界に転移する。

 そこから、俺達は戦い始めるのだ。


 「開くぞ」


 俺はカードを持ちながら扉を開いた。

 扉が開いた先に広がる光景は、俺達の知るそれとは全く違った。

 ノイズのような物が走っている。

 理解不能な記号のような物まで現れ、俺達は一瞬飛び込むのを躊躇った。

 

 「無視して突っ切るぞ!」


 俺達は扉の中に飛び込んだ。

 今使ったのは創造神の元へと通じるコード。

 シオンは、創造神へ話を通しておくと言っていた。

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「………………変な感覚だ」


 まるで、俺がここに居るべきではないかのような感覚だ。

 圧倒的な圧力に押されている。


 「ここ………… 見覚えがあるわね」


 霊夢が呟いた。


 「ここに見覚えが?」

 「ええ、私が声を聞いた場所よ。感覚は違うけど、この真っ暗な場所……………」


 霊夢が、力を貰ったと語る空間。

 それが、ここらしい。


 「力の流れを感じる。あっちだ」


 俺は右を指差した。

 俺達は全員で歩き始める。


 「………………………」


 今何か、自分の意識に空白が出来たような気がした。

 不思議な感覚だ。


 「また来たのかい?」

 「全く、寝てるときぐらい来ないでよ」


 突如空間に声が響きだした。


 「今の声……………… 来て! 会ってみたかったのよ」


 霊夢が叫ぶ。

 今の声にも聞き覚えがあったようだ。

 霊夢が虚空に向かって叫ぶ。


 「ああもう………… これで良いかい?」


 強大な気配を感じて俺が振り返るとそこには「人」がいた。

 人の形をした何かだった。

 姿だけでいえば、12才位の少女であった。

 しかし、その少女が纏うオーラはその姿にそぐわない。

 

 「あなたが、私に…………?」

 「まあ、それが正しいのかもね。君は面白い運命にある」


 いきなり運命などと語るその少女に向かって俺は視線を送る。


 「へえ、君は面白いね。これからの運命の中心に位置している。今の運命は、君が主役だ」


 俺はその意味が分からなかった。

 いきなり主役だ何だと言われて、理解は出来なかった。


 「けれど、今の君はここよりも行くべき所がある。そうでしょ?」

 「ああ、そうだ」


 俺は少女へと言った。


 「一つ聞いておくが、お前が創造神で間違いないな?」

 「そうだね…………… 正確に言えば、三人に分かれた内の一人」

 「は? 何だって?」


 三人に分かれた、だと?

 一体、どういうことだ?


 「下が勝手にやった事だけどね。半ば事故みたいなものさ」

 「その事故で僕は三人に分かれた。そして、僕がその内の一人」

 「中間(neutral)と呼ばれるべき創造神」

 「君達が倒すべきは、堕天(fallen)と呼ばれる僕。僕の負の感情を主体として分離した存在だね」

 「幸運な事に、堕天(fallen)はこっちほどに強くはない。権限レベルは下がってるし、能力も特に厄介な物は無いね」


 なるほど、俺達でも倒せると言う意味か。

 倒しやすい敵であるとこいつは語っている。

 俺達にとっても幸運ではあるが、なぜ自分を殺させようとしているのか。

 俺にとってはこいつらの思考は全くもって理解は出来ないのだ。

 言葉の裏に何が隠されているのかは、知れるはずもない。

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