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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
三章 「浄化異変」ACT2
37/56

36 拮抗

 「………………権限(priority)4?」

 「何故、貴女がそれを……………」


 戸惑うメモリア。

 最高神である彼女も、霊夢の身に何が起こったのかを理解できなかった。

 霊夢の権限は元は1であった。しかし、それが4まで上昇している。

 メモリアはシステム内の記憶領域を司る神である。

 よって、霊夢の身に何が起こったのかをシステムで覗くことが出来た。

 しかし、それでも彼女は理解できなかった。

 自らの力を越える者からの妨害があったのだ。それにより、断片的な情報しか得られなかった。


 「まさか、権限6から妨害を受けるなんて……………」


 彼女は権限5。システムの中では最高神、原初の神であった。

 その力はシステム内のあらゆる生物を越える。能力なしでも、根源の部分から通常の生物を超越した力を持っている。

 システムの権限レベルは1から7。その内、5が最高神である。

 「最高神」と言っているが、システム内では最高の力を持つわけではない。

 システム内での「神」と呼ばれる者の内、最高クラスの権限を持つものをそう言うだけである。

 では6は何なのか? 

 それは、システムを統制する神。システムの制御を任された、最高神をも越える神。それが権限6である。

 メモリアは権限5。彼女を邪魔できるのは、権限6以上のみ。

 それが意味するのは、彼女が「上司」から邪魔されているのだ。

 システムの神々は基本的に上位存在には逆らわない。

 もし逆らえば、自分は消されてしまうからだ。跡形もなく、文字通り消滅する。

 彼女はそれを知っている。だからこそ、霊夢の記憶領域を覗くのは諦めて戦いに専念しようとしたのだ。


 「たかが権限4で調子に乗らない方が良いですよ?」


 メモリアは静かに告げた。

 しかし、霊夢は止まらない。


 「権限が全てだと思っているの?」


 霊夢は挑発した。

 しかし、メモリアには通じない。

 霊夢はかけ出した。

 そのまま、メモリアに向かってお祓い棒を向けた。


 「夢想封印・極破!」


 霊夢の放つ弾幕が猛スピードでメモリアに放たれる。

 それは霊夢の「夢想封印」を強化したような物だった。

 権限4の力で弾幕を強化して放たれたそれは、メモリアの体に吸い込まれるようにして向かっていく。


 「小癪な………」


 メモリアは自らの腕を振り上げて弾幕を吸い込む。そして、それをコピーした弾幕を放った。

 霊夢は見抜いていた。

 メモリアのコピーには、僅かな時間発動しない隙が有ることを。

 システムが情報の集合である故の「仕様」。

 能力発動までは、宣言から僅かな時間を要する。

 メモリアのそれは他と比べれば大きな時間であった。

 約3秒。

 それが、メモリアのコピーに要する時間。


 「そこ!」


 霊夢は一瞬の隙を突いて一枚の札を投げた。

 それは、相手の体を束縛する呪札。

 

 「最後よ!」


 霊夢はメモリアに向かってお祓い棒を振りかざした。

 

 「終わるわけ無いでしょう?」


 霊夢のお祓い棒には神殺しの特性が付与されていた。

 霊夢が自らの能力でお祓い棒に付与した能力。

 システムの神を殺せる筈のお祓い棒は、いとも簡単に防がれた。


 「まだなの!?」


 霊夢は1回跳ぶと摩多羅の元へ駆け寄った。


 「逃げて!」

 「あなたは辰の所へ行きなさい!」


 霊夢は摩多羅にそう伝えると、宙に浮いた。

 それに合わせてメモリアも飛び上がる。

 霊夢は横目で摩多羅が去るのを確認すると、お祓い棒を掲げた。


 「幻想之賢者(幻想の賢者よ) 私的力宛与溜(我に力を与へしまえ)


 霊夢が唱えたのは幻想郷の賢者への祈りだった。

 博霊大結界の力を宿すと共に、自らの能力を極限まで上げる。

 博霊霊夢が編み出した秘術である。

 その祈りは霊夢の力と共鳴し、さらなる力を生んだ。


 「さあ、本番よ!」


 霊夢がすさまじい速度でメモリアに肉薄する。

 そのまま勢いよくお祓い棒を振るう。

 勿論回避されるが、気にせずに振り続ける。

 

 「邪魔です!」


 メモリアの強烈な一撃が放たれる。

 最高神は肉体的能力も高い。

 そのため、今の霊夢に対しても安定した一撃を繰り出せる。

 

 「遅いわ!」


 霊夢の動きが更に速くなる。

 オーラのような気質がぶれ始め、その素早さを物語る。

 

 「なら、こちらも!」


 メモリアも加速し始めた。

 能力をフルに使用した動きで霊夢に迫る。

 こうして、戦いは拮抗状態に入り込んだ。

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