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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
三章 「浄化異変」ACT2
35/56

34 「記憶」

 「行くわよ!」


 霊夢の号令で全員が動き出す。

 広大な空間となった大図書館だが、中心部しか開けていない。 

 外側にはまだ隠れられる場所がある。

 

 「なるほど、そう来ますか」


 メモリアが再び手を掲げた。

 すると、本棚が動き出したのである。

 

 「この動き………… 挟み込むつもりだぜ!」


 手加減は一切無かった。

 巨大な本棚で圧殺しようとしているのだ。

 全員で抜け出し、改めて正面で構える。

 メモリアが手を下ろした時には既に隠れられる場所は無かった。

 しかし、広大な空間は出来た。

 高さはゆうに100メートルを越しているだろう。

 元々の大きさは勿論、メモリアの地形操作で空間が広がったのだ。

 

 「さあ、もう逃げれませんよ」


 メモリアが静かに告げる。

 次の瞬間、霊夢達は地を蹴っていた。

 

 「食らいなさい!」


 霊夢のお祓い棒がメモリアに振るわれる。


 「遅いですね、そんなものですか」


 霊夢にも予想できなかった。

 まさか、お祓い棒をつかみ、そこを重心として霊夢を降り飛ばすとは。

 更にそこにメモリアの放つ鋭利な刃が追い討ちを掛ける。

 流石に直撃は無かったものの、霊夢は大きく吹っ飛ばされる。


 「行きます!」


 妖夢の刀が迫る。

 妖夢が一瞬の内に距離を詰めて攻撃を仕掛けていたのだ。

 

 「脆いですよ」


 メモリアが呟いた次の瞬間、妖夢の刀は粉のようになって消し飛んだ。

 分かる人には分かっただろう。

 そう、分子レベルでの構造破壊であった。

 妖夢はもう一本の小刀を振るう。

 しかし、こちらはリーチが短いせいか簡単に避けられてしまう。

 そして、メモリアの手の動きと連動して地面がせりだした。

 その地面は妖夢を吹き飛ばす。


 「ふぐっ」


 その様子を見ていたメモリアがため息を付いた。

 

 「貴女方の力はその程度ですか………… 期待するまでもないですね」

 

 その隙を見逃さぬと、魔理沙が遠距離からマスタースパークを放つ。

 しかし、いとも簡単に結界が防いでくる。

 

 「ええっ!?」


 魔理沙が大きく叫ぶ。

 驚きを隠せなかったのだ。

 その隙は大きく、魔理沙はメモリアに直接投げ飛ばされてしまう。

 軽く投げ飛ばしたように見えたが、その距離は80メートル。軽く、のレベルではない。

 格が違いすぎる。身体能力からして、全てが。

 勝ち目がまるでない。

 

 「spell attack command:anarchy(無秩序な) bullet(弾幕) hell(地獄)

 「target:enemy unit」

 「class3 priority unit call:execution」


 摩多羅がコマンドを詠唱し、攻撃する。

 唯一まともに攻撃が通るのだ、これを使わない筈がない。


 「援護しましょう」


 純狐が摩多羅の前方で構える。

 摩多羅が攻撃する間、相手を引き付けるのだ。


 「コマンドをただの神が? 興味深いですね」


 メモリアがそれを見て呟く。

 その直後、摩多羅にも理解できないコマンドが放たれた。


 「Order in the name of "memory"」

 「forget(忘れられた) the world(    世界    )

 

 コマンドであることは理解できた。

 しかし、1度も聞いたことのないコマンドであった。


 突如、メモリアの背後に巨大な魔方陣と文字列が並ぶ。

 文字列の明滅は繰り返され、魔方陣が変化していく。

 魔方陣が回転し出した。

 同時に、メモリアの体も宙に浮く。


 「さあ、そのコマンドを見せて下さい」


 メモリアが言うと同時に摩多羅の弾幕が放たれる。

 リングがメモリアに迫り、切り刻もうとする。

 しかし、メモリアの寸前で止まる。

 見ると、メモリアの展開した魔方陣から、光が漏れ出ている。

 止まっている原因は………… 本棚?


 本棚が光に包まれて浮遊している。

 そして、リングは消滅する。

 同時に、本棚から一冊本が出てくる。

 メモリアの手に乗ると同時に、本が開く。


 「なっ…………」


 思わず摩多羅は声を出していた。

 開かれた瞬間、摩多羅の物と全く同じ弾幕が展開されたからだ。

 魔方陣から一つ魔方陣が生まれ、弾幕の近くに浮遊する。

 そして、小さな魔方陣が回転し出したかと思うと……………

 その弾幕は猛烈な速さで襲いかかってきた。


 「摩多羅、あれは吸収よ! 吸収したものを模倣するの!」


 吹っ飛ばされてから立ち直った霊夢が、摩多羅に言う。

 そう、このコマンドは攻撃ではない。

 相手のコマンドを模倣し、反撃を仕掛ける物なのだ。

 

 「ふん、所詮摸倣………… 私の前では無意味」


 

 

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